近い将来 実で収益 遠い将来 木材として 価値の高い 植えて 楽しみな 一石二鳥の木
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◆まえがき |
![]() 写真説明 栃大経立木 鳥取県辰巳峠にて 筆者撮影 |
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そして今伐期をむかえた杉桧の原木が伐り出されて市場で商品化換金されていますが、外材攻勢と建築様式の変化による需要の減退、生産過剰などが重なって、内地材の価格は値下りし低迷に陥っております。 杉に至っては山から伐り出して換金しても経費を差引くと只同然という惨々たる現実に林家は泣かされています。 植林での収益性もさることながら環境保護の面からも今、広葉樹増植の必要性が大きく叫ばれています。広葉樹増植の重要性にようやく目覚めた国や県市町村などの指導のもとさまざまな形で各種の広葉樹の植栽が行われております。これら植樹の目的は将来の収益というよりも環境保全を重視してのことであり将来に備えて大変大切なことであります。然しこれとは別に将来収益を目指しての広葉樹の植林も又大切なことであります。 さて広葉樹の植林として将来に向けて、どんな木を選んで植えれば有望であるのか?そこで登場させたいのが栃の植栽であります。栃の植林と言っても里地の皆さんにはピンと来ないかも知れません。これまで栃という木が奥地の木と思われていて温暖な里地では育たないのではとの懸念からこの木の植林を考え着手する人はありませんでした。私はこの栃が里地でも生育する木か否かを確かめるため、四年間にわたって観察し実地に育苗植栽を試みて参りました。その結果里地とも言える津山市近郷の土地でも立派に生育する木であることを経験し確認した次第であります。 詳しくは別項の事項を読んでいただければ大変ありがたいと思います。 広葉樹専門木材業50年 川 口 悦 二 |
津山市の南端、佐良山地内で木材業を営む片山治朗さんは今から13年前、富村の山中で伐採作業中、苗丈50〜60pの栃の実生苗木数本を見つけて、ごぼう抜きにして持ち帰り屋敷に植えたところ、すくすくと見事に成長して、植えて10年後には実をつけはじめて、その後年々実の数も増加している。現在立木は、枝下3.2m、幹の胸高直径約20pに達しており、もともと栃の産地である奥地の知人もこれを見て驚愕感心している有様。この現実を見て、私もこれまで奥地の木と思っていた認識を改めて、現に昨年より自宅の周辺の畑地において育苗を行い、久米町の持ち山へ植栽を実施している。栃はつくりやすい木として項目にもあげているが、その理由として山に植えた場合、大風や大雪などによる折損、倒木などの被害を受けにくい点があげられる。植栽した栃の幹は、上に伸びてゆく過程で年間(一夏)に40〜60p伸長してその年を終える。そして翌年もまた同じような伸び方をして、徐々に年数を重ねて上に伸びていく。従って栃の場合、樹高3mになるまでに5〜6年を要する。このような形で樹幹を形成していくのは松とよく似ている。
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苗丈け 約35〜40センチ 茎 経 約1センチ ポット苗につき活着抜群の苗です。 |