山洋一教育実践原理原則研究論文/ 6学年 社会 /明治時代/

百科事典を活用した向山洋一実践「明治時代の授業

岡山県津山市立北小学校

      岡田 健治  


図書館の百科事典を活用した授業で有名なのは、向山実践「明治時代」の授業である。向山洋一年齢別実践記録集第十九巻に収録されている。また、明治図書発刊の向山洋一全集にも収録されている。

一.「明治時代の授業」開始!

 私は、明治時代の単元に入るとすぐに

明治維新でいったい何がどう変化しましたか。

と発問した。
 班ごとに作業させ、すべての班に板書させ、発表させた。
ここは、向山実践と同じである。
この後、向山先生は、寺子屋と開知学校を比較させる活動を通して、「学問を学ぶしくみがどのように変わったか」を授業している。私は、「村に学校ができた」
という教科書のページから「わかったこと、考えたこと、思ったこと」を箇条書きさせ、発表させた。
今の小学校と比較しやすいので子ども達は、けっこう興味深く学習に参加していた。

例えば、体育の授業が無く休憩時間がその代わりだったりするのである。
そして、国が学校に通っている子にメダルを付けさせ、就学率のアップを狙ったことや、兄弟を負ぶって授業している写真を提示して、授業を進めた。
当時極めて高い授業料であったことも、子ども達は驚いていた。

 向山洋一年齢別実践記録集には、開知学校の「生徒罰則」の原典を向山先生が収録している。
私も、子ども達と見たが、これがなかなか面白い。
授業中の私語は、十分間の直立などと細かく決まっているのである。
勝手に帰宅したら三十分の直立である。

そして、明治政府の「富国強兵」策の一つとして教育が利用されたことにふれた。

 さて次に、向山先生は、明治時代のクイズ八問を出している。例えば、「汽車に乗って十円の罰金を取られた原因は何か。」といったような楽しい問題である。ちなみにこの正解は、窓からのおしっこである。私は、これらのクイズに加えて鉄道開通の授業をした。

二.初めての百科事典の授業

 向山先生は、次に、

明治時代に入ってきた物を調べなさい。

と指示している。
百科事典を活用させて、物がいつ日本に入ってきたかを調べさせ、「はじめはいつからか」という資料冊子を子ども達に作らせ、人数分印刷し、配布している。

 私は、いざ百科事典でこの学習活動を組み立てるには様々な気がかりがでてきた。
本当に小学生が百科事典を活用できるのか、また、学校の図書室に百科事典が何セットあるのか、何セットあれば授業が成立するのかなどである。

 私の学校の図書室には、幸い五セットの百科事典があった。
私が教室に一セット置いているので、合計六セットとなった。

 私のクラスは六班あるので、一班に一セットの百科事典があたることになる。何とかなりそうである。

 まず、私は、

君達のまわりにはどんな物がありますか。

と問い、子ども達が「服、ズボン、帽子…」と言えば、「着る物」と板書した。
同じようにして、「食べ物」、「乗り物」、「建物」、「しくみ」、「生活日用品」、と向山先生と同じカテゴリーを示し、何にも入らないものは、「その他」とした。

 この後、どのカテゴリーを調べたいかを班で相談させ、代表のジャンケンで決めた。
百科事典の使い方の指導については、年齢別実践記録集には、詳細に記述されていない。
そこで、私は、次のように指導した。

 まず、百科事典の索引の一ページを人数分印刷し、「これから、良い物を配るよ。」と言って配布した。子ども達は、キョトンとして見ていた。そこで、

これは、百科事典の索引の一ページです。索引は、百科事典の命なのです。」と説明し、「自動車をさがして、マーカーを引きなさい。

と指示した。そして、次に、

何が書いてありますか。

と尋ねた。「一七」と子ども達。

「そうです。一七巻に自動車のことが載っているのです。次にその巻の名前である『科学技術』と書いてあり、次に二四六と書いてあるのは、ページなのです。」と確認していった。

 次に、その246ページを印刷した物を配布し、

自動車が日本に初めて入ってきたのは、いつだと書いてありますか。そこに、マーカーを引きなさい。

と指示した。子ども達は、「あった。あった。」と喜びの声を上げていた。

 次に、調べる時のポイントとして次の四つを板書した。

@必ず自分の予想を書いてから調べ始める。

A結果とエピソードを簡単にまとめる。

B出典を示す。

C家、教室、図書室で調べる。

 向山学級の「はじめはいつからか」には、イラストやエピソードと共に自分の予想が記されている。私も、予想を必ず書かせることにしたが、これは、重要である。予想を書かせ、その予想が正しいかどうかを追究する過程こそが楽しいのである。

 ノートにまとめる時間を三時間程度確保し、その後、ファックス原紙(B4サイズ)を各自に一枚ずつ配布し、清書させた。この原稿は、約四分の一に縮小し、四枚貼り合わせてB4サイズにし、人数分印刷した。それから、紙取り作業をして、ホッチキスで止めた。発表の時間は、二時間とり、全員に読んで発表してもらった。

 向山先生は、「時代が変化した時に、日本に新しい物がたくさん入ってくるのです。」と述べている。子ども達も、実際に調べて見て、明治の初めにたくさんの物が日本に流入していることに驚いていた。以下は、子ども達の感想である。

●明治から昭和にかけて、いろいろな物が日本に入ってきている。〔木下〕

●物がいつ日本に入ってきたか、いつ始まったのかは、身近に物があるわりには知らないと思った.家の棚にも百科事典があるので、効果的に使いたい。〔八木〕

●私は、百科事典は持っているが、使ったことはあまりなかったので、これからは、調べたい。こういう社会科の授業もあるのだと驚いた。〔和田〕