■編集前記     向山洋一
かつて、日本の初等教育は世界一と言われました。松下村塾をはじめ、各地に逸材の人物を輩出した教育システムもありました。多くの国が、日本の教育に学び、国を再生、活性化させたのです。現在の日本の教育は多くの問題を抱えています。とりわけ、家庭の教育力の低下は、国立教育研究所の調査結果から見ても明らかです。過保護、溺愛、過干渉と親子関係のゆがみ、食をはじめ子どもを取りまく環境の変化も見逃せません。反面近年、脳科学の研究から明らかにされてきたことも数多くあります。そうしたことをふまえ、今や、失われた日本の家庭教育力を復活させねばなりません。本誌「家庭教育ツーウェイ」は、保護者に上質で知的な教育に関わる情報の提供をし、具体的な子どもとの関わり方を示していきます。四月は、入学・進級とすべての子どもが、学校生活に期待し、楽しみにしている時期です。どのような子どもが伸びるのか、また、伸び悩む子はどのような改善点が必要なのか、親の果たすべき役割について特集いたしました。教師が、多くの子どもたちとの出会いの中で、親と子の関係を思い出し、伸びる子ども、伸び悩む子どもについて分析し、対応術を示します。ぐんぐん伸びていった子どもたちとの出会いで、教師が感じとった伸びる子の条件、親としての心得、考え方を示しました。陥りがちな親の心得違いも指摘しました。ミニ特集は、親の知り得ない学校での一年生のエピソードをとりあげました。学校生活入門期に、親が知っておくべき子どもの姿、問題点(プロブレム)をあげ、その対処法を示しました。私たちの教育運動は、TOSSとよびます。価値ある教育技術を共有化していこうという運動です。全国の心ある教師たちがボランティアで教育サイト(インターネットランド(TOSS商標)http://www.tos-land.net/を作り上げました。一度、お子さまと一緒にこの教育サイトをおとずれてみてください。子育てに役立つ情報が満載です。
■家庭教育ツーウェイ/次号予告
特集 ホントに必要な家庭教育の基本型
1 脳の臨界期―向山洋一
2 臨界期を知る大切さ―澤口俊之・齋藤勉・水野美保
3 幼稚園の園長が証言する臨界期を意識した指導―石間戸宗明・舘野健三・渡辺操
4 早期教育で気をつけること、はずしてはいけないこと―斉藤孝子
5 医師が証言する「手遅れ」にならない為の注意事項―横山浩之
6 わが子に気をつけていたこと―伴佳代・松垣和年・坂元弘平・平田淳・槇田健
7 ことわざが教える乳幼児期の教育―酒井臣吾・市毛勝雄・佐藤洋一・平松孝治郎・勇眞
ミニ特集 子どもの作文に見る家庭教育―師尾喜代子・森川敦子