ついに発刊になりました。

子どもを励ます
授業中の言葉かけ
中学年

教育技術中央研究所編
岡山教育技術研究所著
定価 本体2060円+税

(明治図書)

支援の技術シリーズ
岡山教育技術研究所が、全身全霊をあげて執筆した「子どもを励ます授業中の言葉かけ」が明治図書よりついに発刊されました。皆様からのご支援ご指導、本当にありがとうございました。「授業中の言葉かけ」が、なぜ必要かから始まり、タイプ別気になる子への「言葉かけ」、各教科の「言葉かけ」など厳選された有効な言葉かけを収録。しかも、これらは、向山実践の原理原則に裏打ちされた「言葉かけ」なのです。
是非、書店でお手にとってご覧ください。 

 まえがき

 紀元前三世紀頃に活躍したギリシャのゴルギアスは、
言葉は大きな力であり、それは小さくて眼にみえない体をしていながら、最も神に近い働きをする
 と言っている。
 これは、「言葉かけ」が人間のすべての活動を支配する大きな力を持っていることを端的に示している。
 「言葉かけ」が、人間の心をも支配すると言っても過言ではあるまい。
 もし「おまえは、駄目だ。どうしようもない人間だ。」と言われ続けたとしたら、その人は本当に駄目になってしまうであろう。
 逆に、「きみには、世の中を幸福にする使命がある。どんな苦しいことがあってもそれを乗り越えれば、きみの魂は磨かれるし、必ず使命を完遂できるよ。」と言われたら、人は今まで思いもよらなかったような力が全身にわき出てくるものである。
 さて、このように大きな力をもつ「言葉かけ」を、私たち教師は教育の現場ではどのように使えばよいのだろうか。
 そのためには、まず教育の目的とはいったい何であるかを明確にしておかなければならない。
 そして、教師の発する指示や発問、説明などの「言葉かけ」は、教育の目的に添ったものでなくてはならない。 教育技術法則化運動代表の向山洋一先生は、「授業の腕を上げる法則」(明治図書)で次のように述べている。     
教育の根本的な目標をただ一つだけ言えといわれたら「人間の生きていく気力を育てることである」 と言える。
  「生きていく気力」があって次に「生きていく技、つまり学問など」を身につけさせるのである。  「やる気にさせる」ときに、最も大切なことは「励ます」ことである。「励まし続ける」ことである。 (中略)「励まし」とは、教師が子どもと共に一緒に欠点を克服していこうとする連帯の証しなのである。
 教師の「言葉かけ」は、「子ども達に生きていく気力を育てる」という目的にそっている必要がある。私たち教師は教育の目的を達成すべく「励ます言葉かけ」をしなくてはならないのである。  
 本書は、中学年の教室でそのまま役立つ具体的な授業実践を提示し、その中での「子どもを励ます言葉かけ」を厳選して収録した。
 しかも、この「言葉かけ」は、普遍的な「授業の原理原則」に裏打ちされたものである。したがって、本書でご紹介した実践でのみ有効なものではなく、低学年でも高学年でも有効に活用できるようになっている。
 また、個に対応するという観点から、全国どこの教室にもいるような「授業中気になる子」をタイプ別に洗いだし、彼らの可能性を引き出すために有効な「言葉かけ」も収録した。
 「子どもが授業に集中しない」とか、「学力がついていない」ということを子どものせいにしてはならない。
 私たちは、目の前の子ども達の可能性が少しでも引き出されるような有効な「言葉かけ」を具体的にすることが肝心なのである。
 本書が、全国の教室で少しでもお役に立てれば幸いである。
 
                          一九九七年七月二〇日
                            岡山教育技術研究所
                             所 長 岡田 健治

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