6年1組 三つの学級目標
始業式が終わり、子ども達と教室に入りました。教室には、暖かい春の日差しが差し込み、何ともいえず爽やかな春風が窓から入っていました。
私は、まず、
机を整頓させて、椅子を引いて背骨を伸ばしなさい。手に持っている物を置きなさい。
と指示しました。どの子も私と目が合いました。
「今から先生が言うことは、卒業式が終わった時まで守っていください。」と前置きして、
親や先生や友達の話をしゃべらずによく聞きなさい。
と言って、「しゃべらずに聞く」と黒板に書きました。
どんな話がなされても、自分勝手にしゃべっているだけでは、その子の成長にはつながらないのです。教育は、「素直に聞く」ということが、大前提だと思うのです。
そして、私は、紙に書いた今年の学級目標を3つ示しました。
一つ目は、
続けること。
です。
先生が担任した子で、すくすくと伸びていった子は、みんなこの「続けること」ができる子です。水泳の25メートルを達成するには、1回や2回の練習では無理です。何度挑戦しても失敗の連続です。しかし、この練習を「続ける」ことで25メートルを達成できるのです。くる日も、くる日も、努力し続けなければ、成功はしないのです。これは、逆上がりでも縄跳びでも勉強でも同じです。
と話しました。どの子も、どの子も真剣な目をして聞いていました。
次に、二つ目の
ていねいさ
という学級目標を示しました。
資源をほとんど持たない日本が、このように豊かな暮らしができるのは、日本人の作った製品がていねいで優れているからなのです。無論、江戸時代の人々もこの丁寧がありました。「ていねいである」ということは、非常に優れたことなのです。 ていねいさがある子が、成長します。
最後に、三つ目の学級目標である、
人を幸福にしよう。
と書いた紙を示して、次のように話しました。
みんなは、ご飯を食べたら体は大きく成長します。しかし、それだけでは、「心」は、成長しません。「心」を成長させるには、「人を幸福にする」行動をすることが極めて重要です。元気な、さわやかな挨拶をするのもその一つでしょう。入学式の準備をすることも「人を幸福にする」行動です。今日、みんなの教科書を運んでくれたのもそうです。
岡田先生は、人を幸福にする行動をみんながやった時に褒めます。
逆に、人を不幸に落とし入れる悪い行動をみんながとったときに叱ります。友達の悪口をいったり、暴力をしたりする「いじめ」や自分勝手な行動も人を不幸にします。このような行動は、いじめられた人の心もいじめた人の心もダメにしていくのです。
私は、学級びらきに際して、以上の3つの学級目標を提示しました。是非、この1年間、ご家庭でも、この3つ学級目標について、話題にしていただけたら幸いです。
余談ですが、教師になって、常にこの目標を子どもたちに示してきました。
先日、スーパーで買い物をしていたら、以前担任した子のお母さんが、「岡田先生、うちの子は、大学の下宿の机の前に、いまだにあの目標を貼っているんですよ。」と教えてくれました。また、年頭には、もう三十過ぎの教え子から、「先生、この年になって、あらためて、先生が示してくれた目標の意味が認識できました。」という賀状が届きました。何かうれしさが込み上げてきました。
さて、本年度の学級通信の題は、「教育ユートピア」としました。6年1組に教育の「理想郷=ユートピア」を創造したいという気持ちから命名しました。今の自分の気持ちにもっともピッタリした、いい名前だと我ながら惚れ惚れしています。(笑)