株券返せ!?

-特報 涅槃株券の末路-

このHPを開設した10月16日その日、思いもかけぬ封書が舞い込んできて、すでに忘れかけていたことを思い出させてくれました。
手紙は国土開発株式会社の管財人からとなっており、「当社更正計画認可決定のお知らせと株券ご提出のお願い」となっています。どうやら、私の財産である株券を返せと言っているみたいです。返信用封筒まで入っています。

忘れかけていたといっても、もはやお金には変わるまいと思って放置していただけで、この株券は私にとって忘れられない思い出につながるものでした。
平成10年の秋、12年の今と同じように建設株の雲行きが怪しくなり、私と友人は「5社千株ずつの額面割れファンドを作っておけば、2社潰れても元は取れるだろう。」とかいった会話を交わしていたものです。
同じ話を職場のYさんにしたところ、「そりゃいいね、5社1万株ずつぐらい買っておけば面白いだろうね。」というお返事でした。(私はそれには不賛成です。危な過ぎます。きっとこの人は実際には株なんていじってないのだろうと思っています。)

額面割れファンド計画は実行したらうまくいったかどうかわかりませんが、この国土開発だけは職場の命運を賭けた工事を発注していたので、まず大丈夫だろうとエールを送るつもりで40円(1000株で4万円)で買いました。
そればかりか、この株券は、手元に取り寄せて裏に自分の名前を書いて貰った「本当の持ち主になった」初めての株でした。
4万円で買って、一時は倍にまでなった国土開発株ですが、同年12月1日(たぶん)、突然会社更生法適用申請をし、株券は紙屑同様となってしまったのでした。津山の皆さんなら覚えておいででしょう。水害の片づけも完全にはおわっていないのに、さみしい師走を迎えたその年でした。
株のことは元々ばくちだったのだから仕方がありません。本当に困ったのは国土開発に私の職場の命運がかかった工事を(何億も!)発注していたことです。当時額面割れファンドだとはやしていた建設株でもたちまちいけなくなった会社は他にはありませんでした。なのに、よりによってそんなことがあるんでしょうか。そんなバナナ!

会社更生法がどんなことになるのか私にはよくわかりません。ただ、国土開発は仕事をやってくれました。我が社も命脈はつながりました。
株券はこういうこともあるという教訓に額にでも入れて飾っておくのが適当だったのですが、困ったことに私はそのための株はもう準備していたのでした。

この株券は、にっかつが会社更生法適用を申請して後、上場廃止になる朝に寄り付きで5円で買ったものです。1000株で5000円。手数料が2500円、その消費税が75円。株を底値で買うことにはちょっとこだわる私でしたが、その株の歴史上最安値で買ったのはちょっと自慢でした。(馬鹿ですね。)わざわざこの株を戒めとして手元に置き、株にはこういうこともあるものだと心に刻んでいたわけですが、またまたやってしまったわけです。
にっかつのときは名義が書き換えられない時期になっていたので、実際紙切れとしての株券を入手しただけで、その後何も起こりませんでしたが、国土開発の時は実際に株主名簿に名前が載っていたわけですから翌年2月になって、東京地方裁判所民事第8部(どこだそりゃ〜)から「日本国土開発株式会社について更正手続きを開始する。」(もう知っとるっちゃ)という主文が書いてあり、関係人集会がしかじかで開催されますが出席の義務はありません。とかいう注意書きが添えられていました。

それから1年半。もう何もかも済んだと思っていたのですが、この思い出深い株券は、裏に私の名前が書いてあったばかりに本当に提出しなければならないのでしょうか?


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