郵便番号を解析する

-郵便局のパラダイム-

昔、某電波関係雑誌を立ち読みしていたら、力技で電話番号の解析をした記事が載っていたことがあります。どうするかというとまず、葉書ぐらいの白紙を100枚用意して、それぞれに10×10のマスを作り、番号を振ります。次に電話帳の最初から番号を拾っていき、出てきた番号を紙にチェックしていきます。たとえばxx-1359なら13枚目の59番のマスにチェックを入れるわけです。企業と個人が区別されずに載っていた時代でしたから、「あ」から初めて「わ」まで行くうちにはほとんどの紙にチェックが入るわけです。
ところが、「わ」まで行っても全く数字の入らない紙が何枚か出来るのです。たとえばxx-98xxのグループだけは何も入らないといった風に。
こうして突き止めた謎の番号ですが、記事の作者はそれだけではおさまりません。謎のままだと許せないので、考えに考えて思いあまってその番号をダイヤルしてみたわけです。すると、非常に長時間の呼び出し音ののち、誰かが電話に出るではありませんか。「もしもし。どなたですか?」「どなたって、あなたどこにかけているつもりですか。ここは公衆電話ですよ。」
彼は街角の公衆電話にリザーブされている番号を突き止めたわけです。

ここでは、彼にならって、津山市内の郵便番号を解析してみたいと思います。今のところ私にもどういう結果が出るか分かりませんが、HTMLのテーブルタグの勉強はできそうです。
津山市の郵便番号には708-00XXグループと、708-08XXグループ、それに708-11XXグループがあります。10×10のマス目の紙が3枚で足りるわけです。

まず、708-00XXグループ
708-00XX
一の位
0123456789
十の位小原上河原北園町山北城代町小田中総社
上田邑下田邑二宮院庄神戸戸島
北町山下大手町二階町
材木町伏見町河原町船頭町吹屋町南新座戸川町
鉄砲町新茅町茅町安岡町西寺町西今町宮脇町
椿高下田町細工町
元魚町京町小性町堺町新魚町桶屋町新職人町
下紺屋町美濃町本町福渡町坪井町上紺屋町鍛治町
以前から、「何で小原からはじまるんならー。」と、思っていましたが、配達区域が地区をたどるように伸びており、配達バイクのたどる道が何となく浮かび上がってきます。小原から始まっている道は001Xグループを突き抜けて002Xグループへ続いているようです。
きっと郵便局から出やすいように放射状に路線が配置してあるのだろうと思っていたのですが003Xと005Xのグループは遠い端から始まっていて郵便局へ近づく方へ伸びています。004Xシリーズはなるほど一方通行の道路を一巡して帰っています。地図を見ながら指でたどってみれば当分楽しめる地図散歩ができそうです。
この解析は紙にボールペンの手作業で行ったのですが、1時間ぐらいかかりました。最初はもやもやとしたイメージしか無かったのですが、コースがいくつか見えて来るにつれてこの隙間にはどの町が入るかなんて予想がついてきて非常に楽しくできました。これをお読みの皆さんも是非試してみて下さい。え?こんな暇なやつは君だけだって?そうかも知れませんが、思いついたことを自分でやってみる、独創と実践をこのページのポリシーとしたいので、人の記事の孫引きでは終わらせませんよ。

当初の目的とした隠し番号探しは、表の周囲に白地となって現れています。なんと無駄なことに一の位の8,9,0が全く使われていません。十の位の8,9もです。いや、弥生町のようにあとから出来てくる町名もあるでしょうからリザーブは必ず必要でしょう。周辺町村の合併のようにコースのリザーブが必要なわけもうなずけます。もちろん、電話番号と違って、この空き番号に郵便を送っても思いがけないところに着いたりはしないでしょう。確か津山局では708-85XXが企業や公共機関のエリアとなっています。初めからこの表の外にあるわけです。

次に708-08XXグループ
708-08XX
一の位
0123456789
十の位上横野大篠籾保勝部紫保井大田下横野
西田辺東田辺山方東一宮一宮
野介代林田弥生町志戸部
上之町東新町西新町中之町勝間田町林田町橋本町
川崎河辺国分寺瓜生原日上
新田池ヶ原堂尾中原金井西吉田福力
八出横山小桁金屋押渕荒神山
中島平福福田高尾
南町大谷一方津山口井口昭和町
周辺部に移り、コースが長くなっています。地図上で追ってみるとループ状のコースが多く、コースが非常に長い割には始点と終点が意外と近いところにあるものが多い気がします。
00XXの表と08XXの表を比べたら同じくらいの町名が並んでいますが、人口比をみれば3対1かもっと少ないでしょう。運ぶべき郵便の総量も大きく違っていることと思います。郵便局の内部表現としては「郊外」というところでしょう。
実は、もう一つ私の知りたかったのは、郵便局の内部表現が津山市の地図をどう塗り分けているかというところでした。
私はこれまで津山市の地図を小学校の学区程度を単位としたかたまりで見ていました。農協の支所などもおおむねそれに従った形で配置されています。郵便局の地理学は一方通行に影響されるなど、極端に便利を追求した地理学なので斬新な気がしました。案外、配達などを仕事としている人はこういう地理学に大いに共感するかも知れません。
許せないぐらい斬新なのは、行政的な境界が川を隔てて別になっているのに、立派な橋(新兼田橋)がかかっているために、川崎と河辺が一連のものとして扱われているところです。

実は私は郵便局にささやかな恨みがあります。この表の085Xのグループ(大崎地区)はかつては709-44という郵便番号を持ち、708-11の郵便番号を持っていた私の住所よりも番号が大きいだけに田舎であると心の底で意識していたのです。ところが今度の7桁化で私の住所は708-11XXのエリアとなり、互いに田舎とそしりあっていた同級生は708-08XXエリアとなったので、ここに私の定義するところの田舎の尺度が逆転してしまったのでした。自分で言い出したことだけにくやしくてなりません。これはバイク等の配達能力の向上と、局間の輸送が鉄道依存からトラック依存に変わってきたことによるものだと思います。

さて、最後に708-11XXグループ
708-11XX
一の位
0123456789
十の位三浦妙原堀坂綾部吉見
近長田熊福井河面野村草加部
上高倉下高倉東下高倉西高野山西高野本郷押入

こちらは集配の郵便局が元々別ですからこぢんまりした表になっています。
コースも、局を中心として北へ、南へ、東への3本に分かれていて、非常にシンプルです。

今回は津山市外の読者には全く意味の判らない内輪うけの内容になってしまいましたが、興味があれば自分の町の郵便番号で試してみることをお勧めします。きっと自分の町に今まで知らなかった道が開けて見えることでしょう。
津山市内の読者には、そのうち触れようと思いますので一つ宿題を出しておこうと思います。
郵便番号簿ではなぜか「一丁目」「二丁目」と分かれた町内をひっくるめて同じ郵便番号にしていますが、津山にはなぜか一丁目があって二丁目以降がない町とこれまたなぜか一丁目がなくて二丁目と三丁目がある町があります。それが何町か探してみて下さい。正解しても特別賞品は出せませんが。筆者としてはそれがなぜかを知りたくてたまらないのです。

今日は私としては初めてテーブルタグを使うお勉強となりました。初めてにしては首尾良く使えたと思っています。データの長さによって、勝手に表の欄が大きさを変えてしまうのはかっこわるいと思っていますが、逆にHTMLってこうした表を勝手に生成するのはすごいと思っています。欄の幅を固定するタグももちろんあるのですが、横着、シンプルがモットーですのでこれでこらえて頂きたいと思います。
なお、表の大きさに比べて文章が短いのでピクセル数が多いディスプレイで見ると表が勝手に変なところにはまりこんで奇妙なページになるようです。なるべくだらだら書くようにに心がけたのですが今日のページを作るにあたって実はそれが一番しんどかったところです。


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