十数年前にもチョコレートにおもちゃを閉じ込めたものはブームになったのですが、今回はおもちゃというより動物模型、しかも非常に精巧なものが入っています。「ヤウイ」というオーストラリア産チョコエッグも買ってみましたが、精巧さという点では日本産に及びもつかないものでした。
原型は日本で作り(松村しのぶ氏、その世界では有名なモデラーです)、中国で彩色しているようですが、特に目や表情の描きこみが丁寧で、いたずらっぽいダックスフントの表情やゴールデンレトリバーの潤んだような目はとてもチョコのおまけとは思えない凝りようです。
これまでにもフルタは「レッドデータアニマルズ」のような動物模型付きお菓子を売っていたのですが、これは中身がわかるよう番号がついていたので、これから述べるように多くの大人を地獄に送り込むことはありませんでした。
中身がわからないというのはちょっとした工夫で、35種類の動物をチョコレートに閉じ込めておくだけで、全て集めるには100個もそれ以上もチョコレートを買わなければならなくなるわけです。
このチョコレートがまたひどく甘い!すでに持っているのと重複した動物が出て挫折を噛み締めながら食べるにはちょっとむごい味です。
そして、職場の引出しの中は5センチぐらいの動物がうようよしてボールペンや消しゴムを埋めてしまい、仕事にまで差し支えるありさまです。
チョコエッグが世の中を席巻しつつあるのは、決して子供に人気があるためではなく、昔そういったものが欲しくてたまらなかった大人の欲望に火をつけてしまったからに他なりません。他社もデジモン、キティちゃん、「あたらしいおもちゃ」など、卵状チョコレートに閉じ込めて売り出しましたが、フルタは独走完勝態勢です。
津山でも10月後半から新シリーズ「日本の野生動物第4集」が出るはずだったのですが、都市圏で箱ごと買い占める大人が続出したため、新シリーズの地方での発売は延期となっています。それでも、店頭に必ずチョコエッグが置いてある地方の私たちはしあわせなのかも知れません。並べるたびにすぐさまなくなってしまうチョコエッグを買い集めるために店をはしごする人たちも世間にはいるようです。
熱狂している大人のみなさん、少し冷静に考えて見てください。こういった子供のおもちゃは子供のような買い方をして、一日1つの卵を開けて一喜一憂するのが本当の楽しみではないでしょうか。もし、中身の動物だけをおもちゃ屋で売っていたならば一個50円でも買わないのではないでしょうか?
ハマってしまった私が声高に説教できるものではありませんが。
あの、カプセルを開けるときの高揚感、そして、すでに持っているものと重複したときの失望と憤り。昼休みに一個、残業の買出しとともにもう一個、一日300円ばかりの無駄使いは引出しの中に死屍累々と積み重なっていきます。
表面のチョコレートはしっかりとおへその周りに貯えられていきます。ああ、早く新シリーズにならないかなあ。ペット動物シリーズは野生動物シリーズの間の中だるみらしく、種類も少ないし、顔ぶれも今一つ新鮮味に欠けるのです。
チョコを開けるたびに一喜一憂というのはまだ地獄とは言えません。甘すぎるチョコもお茶が一杯あればのみくだせるでしょう。本当に恐ろしいのは、この引出しの中の不良債権が奥様にバレて
ゴールデンレトリバーはやたらとたくさん出て、これまた悩みの種でしたが、カプセルを開けたら犬の生首(バラバラになって入っているため)が見えたので、ちょっとやけくそに机の上にバラ撒いてしまいました。すると、何だか針金のような部品が入っているではありませんか。部品数もやや多く、作りもしっかりしています。
これを不良債権の山にちょこんと載っけて持って帰ればありとあらゆる地獄の罪の免罪符になるかも知れません。うちの奥様というものはこういうレア物に弱いのです。(世のダンナというものはこうした女のロマンは理解しないこととなっております。)
一旦は引退のきっかけをつかんだはずでしたが、地獄のチョコエッグ道はまだまだ私の前に続いています。
あと5種(インコ3色、日本猫ぶち、カメ緑)揃えばコレクション完成なのですが、そうしたらまた野生動物シリーズが深淵を覗かせてくれるのでしょうね。ああ、誰かなんとかしてください。