地震の前兆現象について考察

-大地は水晶で出来ている-


昨日の山陽新聞朝刊にこんな記事が出ていました。

鳥取県西部地震3ヶ月前
大気イオン濃度上昇した
”前触れ”か
岡山理大・弘原海(わだつみ)教授が確認

大気中のイオン濃度は、地震による地殻変動で地中の鉱物に含まれる放射性物質が放出されて上がるとされる。
同教授によると、昨年7月11日、研究室のイオン測定器の濃度が通常値の1cc当たり千個以下から約1万個に上昇。いつ、どこで起こるかは分からないが、マグニチュード6.5程度の地震発生を予想し、インターネットで「要警戒」の緊急情報を流した。
その6日後の7月17日、鳥取県西部で同4.3の地震が発生したが、規模が予想より小さかったことから「大規模地震の前震では」とみて「要警戒」の情報を継続。3ヶ月後に同7.3の鳥取県西部地震が起こった。
同教授は、地震発生後の10月21,22日に現地で聞き取り調査を実施。「地震直前に多くのウサギが現れた」「珍しくイノシシの姿が目立った」など動物界の”異変”を示す証言も得たという。
現在、鳥取、岡山、島根など7県の軽60市町村に前兆現象の有無などを聞くアンケートも行っている同教授は「イオン濃度の分析や動物の異常などを組み合わせて地震の危険性予知の可能性を探り、地域の防災に役立てたい」と話している。
この記事の冒頭部分、大気中のイオン濃度の上昇についての説明について、最近私が気が付いてすてきだなと思っている別の考え方があるので書いてみます。
もちろん弘原海教授の理解が違っているという訳ではありません。きっと先生はすべて理解なさっていて、記事にするときに端折られた部分だろうと思います。

地震が起こる前後には、大気中のイオン濃度に限らず、夜空が光る、地震雲が見られる、場所によっては地震虹が見られるなど、「空に予兆が見られる」ことが多くあります。
特に阪神・淡路大震災の時には朝焼けかと思われるほどの発光現象があったようです。
私は(いや、私でなくても)これを何かの電気が発生しているしるしだろうと思います。
さて、地面に電気が発生するといっても、断層がずれるときに摩擦が起こるからかな?というぐらいに漠然と思っていたのですが、実は違うようですね。

大地を成す岩石の主成分は何でしょう?
日本で見られるたいていの岩石に普遍的に含まれているのは石英です。
石英が六角柱状に結晶したものが水晶です。
実はこれには取り違えがあって、江戸時代の文献では岩を割ったときに水が凍りついたごとき透明の部分があると「水晶」と呼び、空洞に石の花(英)が咲いているように六角柱の結晶が咲きそろっているのを「石英」と呼んでいたのが、いつの間にか入れ替わってしまい、結晶していないものを「石英」と呼び、結晶したものを「水晶」と呼ぶようになってしまったものです。英語では共通してQuartzと呼びますが、これは日本では電子部品の名称のように扱われています。

さて、話がそれたようですが、この電子部品としてのQuartz、最近はパソコンでも、腕時計でも、携帯電話でも、これなくしては成り立たないもののようです。
水晶は圧電効果といって圧力をかけると電圧を発生し、電圧をかけると体積が変化するという性質を持っています。決まった大きさの水晶を切り出し、ちょっと電圧をかけてやると振動が始まり、上手にコントロールしてやることで一定のサイクルの電気振動を得るのが水晶発振子、いわゆるクオーツです。

話がそれきったところで考え直すと、大地を成す岩石の主成分がそういうもので出来ているなら、地震の前触れ「目に見えない地中の大きな圧力の変化」が電圧の変化になって現れるのはむしろ当然な気がします。
もちろん石英の結晶は地中にバラバラな方向を向いて埋まっていますから出てくる電圧もバラバラです。しかし、1mmの石英が仮に1mVの電位差を発生しても、数十キロメートルの大地の厚さを積算すると数十キロボルトになる計算です。雷よりは桁が少ない電圧ですが、大気をイオン化させたり、動物を驚かせたり、夜空を光らせたりするには充分な電圧が発生するのではないでしょうか?

私が新聞記事のイオンの説明を読んでおやっと思ったのは、大気中のイオンの組成を変えるほど地面から何かが吹き出したら、必ず人目に止まるだろうと思ったからです。地面がキロボルト単位の電位を帯びれば大気中のイオンを増加させるにはそれだけで充分だろうと思うのです。
(地面から放射性物質がしみ出してくる量も馬鹿にならないという別の記事も読んだことがありますから、私の主張も事実の一側面に過ぎないのですが)

私がこのことを主張したかったのは、地震学の進歩に貢献することが目的でなく、われわれが水晶の塊の上で暮らしていることに気づいたのが何ともすてきだったからです。

そんな考えにとらわれていた私は、元日の午前零時に見てしまったのです。
初詣に行くため庭先に出た私は、南西の空がボウッと光るのを繰り返し見ました。
おっと、地震の前兆か!しかし、タイミングが良すぎるぞ。とうとうキリスト教の神様が民衆を選別するためにおいでになったのだろうか?しかし、それなら東から西へとやってくるはずだ。
光らなくなった空を呆然と見つめながら、それが中央町のあたりで打ち上げられた新年の花火だったことに気が付いたのはずいぶん後のことでした。

最近の地震はちょっと今までと違う気がします。
フォッサマグナ(糸魚川〜静岡構造線)や、中央構造線(紀伊半島〜四国)といった、教科書的なところで起こっているのが印象的です。
本物の怪光を見てしまうのも怖ろしいことですが、そのときのために何か備えをしておく必要はあるかも知れません。


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