アタゴであってトマソンでない

-トマソン探索第2弾-


アタゴとは、てっきり梨の種類かと思ったら、この種のトマソンが最初に発見されたところにちなんだ名前のようです。
道路わきにある、何だかわからない突起物のことをアタゴと呼びます。

道ばたのこういうものは比較的狭い路地で、車が頻繁に通るところによく見られますが、車が個人の敷地や、家をこするところまで入り込まないように「家のバンパー」として設置されているものがほとんどだろうと思われます。
現代的には花壇でも作って、ガーデニングとしゃれこむところでしょうが、石屋さんが手ノミで刻んだような石が横たえてあるのはちょっと趣があります。
目的がはっきりしているためにトマソンとは呼びがたいものが多いのが残念です。

古そうなものの中には「石敢當」と書いてあるものがあります。
どうもこれは決まり文句のようですが、由来はよく知りません。
「石に当たるほど近づくな」と言いたいところに「石に敢えて当たれ」と書いてあるのだから謎です。
今風に言うと「石に当たるか〜。」と言うところですか。
これも目的がはっきりしている(らしい)のでトマソンとは言えませんか。

コンクリート製の比較的大きなアタゴに、角が欠けているものがありました。
車の障害になろうという目的をみごとに果たしたものと見受けました。
よく見ると欠けた内部にみかげ石がのぞいています。
このみかげ石は本当はどんな形をしたものが入っていたのでしょうか?
  1. アタゴとそう大きさの変わらない石が入っている
  2. 石柱がガードレールがわりに立っていたが折れたのでアタゴを作った
  3. 石柱をこのアタゴが保護していたのだが、アタゴの破損と同時に守るべき石柱も折れた
この場所の写真手前にはやや深い用水路があります。
しかし、車が用水路に落ちるのと、車がこのアタゴにぶつかるのと、被害はどちらが大きいことでしょうね。

阿部定付きアタゴを発見しました。
どうやらカーブミラーのようなものがここには付いていたのでしょう。
この物件がある場所は、古くからの出雲街道がクランク状に曲がっているところで、家のバンパーがどうしても必要なところなのでしょう。
続く2物件も同じ場所にあるものです。
これはアタゴとしては月並みなものですが、こんな大きな阿部定が放置されているものとして見れば特異な例でしょう。
この柱がないといけない理由は、その向こうに見えている次の物件が物語っています。


タイトル:厳重保護アタゴ
説明:交通戦争を戦い抜くアタゴ
アタゴが「正しく」使われています。そろそろ使命に耐えかねています。
この重装備にひとつ付け足してあげるとすれば、交通安全のお守りでしょう。


これまた同じシケイン(サーキットによくある「無用な」急カーブ)に見られる新造アタゴです。
歴史も浅そうですが、すでに戦って得た勲章は数知れません。
(トマソンとしては非推薦)

最後のこれは、何となく見過ごしそうな物件ですが、私はトマソンに推薦したいと思っています。
この物体は数十年前からここにあるのですが、私の記憶の最も古い部分ではここに滑り止め用の砂(そういう発想も今ではちょっとナンセンスです。今では砂が浮いていると一般に車両は滑るものと考えられています)が盛ってあったような気がします。
きっとその前は防火水槽か何か、水のたまったものだったような気がします。
その後、ここは凍結防止剤置き場となり、さらにコンクリートで固められて大きなアタゴとなったわけです。
防火用水→滑り止め用砂置き場→凍結防止剤置き場→何だかわからないもの
と、しだいに役に立たないものに変化していった物体の歴史を想像させるところが、トマソンの定義に合致するかなあと思うのです。


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