ドットJP先陣争い

-未来の不動産、驚愕の結末。-


このページが立てられているドメインは(今のところ)www.tsuyama.netですが、こういうドメイン名を取得するのは、意外と簡単です。
あるところでは、ドメイン名が買い手の閑散とした市場に売りに出されてたなざらしになっているのも見受けます。
さらにあるところでは、既知の有名な会社名を持ったドメイン名を取得して、会社に意地悪をして儲けようと考えた人たちがいました。が、様々な形の係争に負けたりしてこれはいささか下火になったようです。

私自身、ドメイン名を必要以上に取得するのはよからぬ趣味だと思うのですが、世の中のネットワーク化が次第に進んでいくのを見るにつけ、短くて簡潔なドメイン名は中長期的な将来、不動産的な価値を持つものではないかと感じています。(短期的には、無理です。)

私なりにドメイン名の格付けをすれば、まず第一に世界標準なのは .com .net .org の3つでしょう。この3つは元来アメリカ発ですが、国を表す文字列が付かないために世界中の企業・集団・個人が取得して、簡潔な文字列というのは見つかりにくくなっています。
次に偉いと思うのは、日本国内においては .co.jp なのですが、これは企業にしか許されていないので尊敬のまなざしで見上げるだけです。
近頃は .tv というツバルのドメインや .to というトンガのドメインなんてのも取得可能ですが、国籍を偽るのもなんだか遠慮されます。

と、いうところに今年とんでもない事変が起こりました。

.jp という日本のドメインは .co.jp とか .ne.jp とか .or.jp とかいう風に.jpの前の文字列が種類によって指定されていたのを、.jpの前が何であれいっきに取得可能にするということになりました。ただし料金はけっこうかかります。
どうやらドメイン名の不動産的価値について気がついたお方があるようですが、私としては日本のネット社会がそれを受け入れるにはもう少しだけ未成熟なのではないかと感じています。

いっきにというのは実は言葉のあやで、.jpドメインの取得は次の4段階によって行われました。

今は第4区分の時期にさしかかっています。私のチャレンジできるのは第3区分からです。
4月7日、取得してみたいドメイン名のリストを片手に、まだ空いているドメイン名を検索してみます。

C0.JP とか ME.JPとかは「2文字以下は不可」というルールにより却下されたみたいです。
次に試したCOM.JPとかNET.JPとかは「予約語は不可」というありそうなルールによって却下されました。

次は単語の番です。
TSUYAMA.JPはさすがにどなたかが取得されたみたいです。
JUPITER.JPとかMARS.JPとか、惑星の名前を立て続けに試してみましたがこれも既に誰かが取得済みでした。
そこらへんであらかじめ準備していた単語リストが尽きてしまったので、怪しげなドメイン名C0M.JP(2文字目はゼロです)とかMET.JPとかを試してみましたが、これも既に思いついた方があるようです。

これはどうやら、私と似たことに興味を持った方々が互いに独創性を競い合っているみたいです。

試行錯誤の末、だいたいこういうことがわかりました。
3文字の名前のうち、AAAとかGGGとかは軒並み取得済み。
3文字の名前のうち真ん中が母音(A、I、U、E、O)のものはおおむね取得済み。
3文字の名前のうち語呂が悪そうなのは結構残っている。
惑星の名前はすべて済みだが、惑星の衛星にまで手を伸ばした人はいない。
企業名などはあえて試してみませんでした。そういうのはまたお好きな人があるでしょうし、企業の方も必死の防戦体制を敷いてきたことでしょうから私の興味の外です。

結局、入力フォームの数が5つでとりあえず一杯でしたから5つ選んでみました。

TUYAMA.JP
意外にもトゥヤマ.JPは空いていましたね。Sがないのが残念ですがメールサーバーでも運営したらわかりやすいドメイン名ですね。おっとそれではTSUYAMA.NETの存在価値がおびやかされてしまう。

PHOBOS.JP
フォボスは火星の衛星です。意味は「恐怖」。マガマガしい名前ですがゲームサーバーに向いていたりします。 私がこの単語を好むのは自作パソコンにこういう名前を付けたことがあるからです。

DEIMOS.JP
ダイモスも火星の衛星です。意味は「怖れ」。これまたマガマガしい名前ですが、抽選ですからどちらかでも当たればラッキーかなというところです。

HYDRA.JP
ハイドラは私が高校生の頃に流行ったTOTOの曲にあります。意味は「龍」なのですが、西洋風の火を吐く竜はドラゴンであるのに対して、水に棲む龍を表すようです。
私としては「まんが日本むかし話」のオープニングの「ぼおやよいこだねんねしな」の龍を想像するのですが、「ヒドラ」と読んでしまったら岩にくっついたクラゲのようなちっぽけな生き物として実在します。

VFX.JP
VFXの意味はいまいち謎ですが、私は3文字のドメイン名がぜひ欲しかったのです。
アメリカに仕事で行っていた友人のメールアドレスが○○○@hi.comだったのがむやみとかっこよくて、私が短くて簡潔なドメイン名にあこがれるひとつの動機になっていました。
ホンダのバイクは直4シリーズがCB、CBX、CBRと進化したのに比べてV4シリーズがVFからVFRにいきなり進化し、VFXという名前のバイクが出現しなかったのが由来となっています。
そこまで来ると話がマニアックで理解不能と思われますが。

さて、これだけ申し込むと、料金は5145円(980円×5×1.05)ですが、そこで問題が勃発です。

抽選に当たると否応なくそのドメインを取得することになり、最低でも1年間の維持管理料金7,980円を支払うことになります。
すべて当たると7980円×5×1.05=41,895円の支払いが発生することになります。
申し込みを終えてしばらくすると、「いくつ当たってくれるか」という抽選の結果待ちが「いくつ外れてくれるか」という「恐怖」の結果発表待ちにいつしか変わってしまいました。

そして今日、抽選結果を知らせるメールがやってきました。

おめでとうございます。すべて当選です!
(とは書いていなかったけれども)
メールにはしっかりと41,895円の請求明細が書いてあったのでした。
くれぐれもいらぬドメイン取得とかいう悪い了見の趣味をなさらないようお勧めします。


その後、使いもしない不動産の維持費負担に耐えかねて、上記5つのドメイン名は徐々に放棄してしまいました。
ところが、ふと面白半分に「vfx.jp」を検索してみたら、
[登録者名] ブロードバンドテレビ(株)
[Registrant] Broad Band TV Inc.
あれ、取得している人がちゃんとあるじゃないですか。
確かに、ドメイン名という新しい不動産には価値がありそうだと考える人は他にもあるようです。
しかし、私の経験から言えば、その名前の価値を決めるのは名前そのものでは決してなく、充実したコンテンツだと思うのです。(03.01.12追記)

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