何だかカメをよく拾う日

-ミシシッピアカミミガメ-


今日は何だかカメをよく拾った日でした。

午前中に拾ったのはクサガメで、深さも幅も1.2mぐらいの農業用水路の中にいました。水深は大したことありません。
田舎といえども、のどかな小川などなくなって、はいあがることの出来ないカメにとっては殺伐とした世界だろうと思います。
その上、このカメは怪我をしています。いや、怪我をしてから治った形跡があります。
甲羅は後脚のところからほぼ中央にかかるまですっぱり割れています。
反対側の前脚は大けがをして指が1本しか残っていません。
この季節になると、道路で轢かれるカメも多いことから、一度轢かれて、何とか生き延びたものだろうと初めは思ったのですが、あとから思い起こせばそれは耕耘機の爪の跡でした。
カメにとってはいよいよ殺伐とした世界なわけです。

用水路からすくい上げたカメを田んぼに入れてやると、ゆるゆると進んで田植えが済んだばかりの足跡に深々と身を沈めていきました。

午後になって、ベビーカーを押して川土手へ子守りに出かけたとき、草むらからまたまた大きなカメの甲羅が見えていたのでどきりとしました。
日本のカメではありません。
私は以前カメを拾おうとして車を停め、交通事故を起こしたことがあるので、やたらとカメを拾うのは不見識なことと承知しているのですが、今度ばかりは見たことのないカメだったのです。

真っ黒い背中に黄色っぽいまだらの腹、手足には緑のストライプが入っています。
甲羅は妙になだらかで、クサガメのようなにおいはありません。
左手には30cm近い大きさのカメ、右手にはベビーカーを押して家へ急ぎました。

子供をまじえてカメを検分していたら、首を引っ込めた甲羅の奥で、カメが凶暴そうに口を開けていることに気がつきました。
そこにあったナイロンひもを差し出したらかみつきました。引っ張ると首が伸びて、耳のところの赤い帯が見えました。
これはチョコエッグの説明でよく知っているカメ、しかも欲しくてたまらなかったカメです。

「ミシシッピアカミミガメ」  通称「ミドリガメ(緑)」です。

ペットショップなどで売っている時は緑色をした3cmぐらいのカメですが、飼っていると意外と大きくなって黒色になります。日本でも近年野生化したものが河川に生息しています。とかいう説明だったと思うのですが。チョコのおまけも役に立つものですな。(そりゃ2万円もつぎ込めばね。)
噛みつく力は強く、藁くずなどだったら咬みきってしまいます。

これは困りました。

クサガメなら、自然に帰してやろうねと子供に言い聞かせて田んぼに放してやれば済むのですが、ミシシッピアカミミガメは自然のものではありません
一度飼い始めたら、最後まで面倒見てやりましょう。というのは世間の常識ですが、こうして拾ってしまったからには、こいつをミシシッピ河に帰してやるか、死ぬまで面倒見てやるかしか選択肢はないのでしょうか。
カメにとっても、人間にとっても、やりにくい世の中になりましたなあ。
なお、カメの処遇は未定です。かみつきたがりのカメがご入り用の方。元の飼い主の方はお知らせください。



山梨県甲府市の舞鶴城公園で発覚した「カメデス」の亀もミシシッピアカミミガメですね。
ミシシッピアカミミガメは現在のところ特定外来生物に指定されておらず、捕まえても「駆除」しなくてはならない対象とはなっていません。
しかし、「ミドリガメを輸入し市販すること」の方が、亀の背中に「カメデス」と書くことよりもはるかに罪深いことだと思います。
ミドリガメを輸入すること、気軽に買ってくること、逃がすこと。こんな不見識なことは韓国に倣ってそろそろ止めにしてもいいのではないでしょうか。
(10.06.12追記)
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