競馬必勝手を探して

-的中50%以上・邪道の券法-


このページがwww.tsuyama.netからwww.kumapooh.comに移転してから4ヶ月ばかり経ちました。
移転の理由の一つは経済的事情により、サーバ借上げが負担になったこともあります。
経済的事情といってもそんなに深刻な事情ではありませんが、お小遣いの総額の1割をサーバ借り上げに費やすのが惜しくなったものです。

さて、お小遣いを増やすために私はもっぱら株式投資に頼っていますが、成績はトントンで貯蓄以上のものになっていません。株式のグラフをあとで見れば2年に1度ほどは株価が倍になっているのを見られますが、中途がだましの上げやだましの下げの連続で、待ちきれないために損失を出してしまう事情があります。
私が株式投資から学んだことは、

  1. 新聞や専門誌に載っているニュースは結果の説明であり、将来の予測にはむしろ有害である
  2. 証券会社の店員に技術論や推奨銘柄を聞くのは無駄である
  3. 底はきてみればたいていわかるが、天井は誰にもわからない
  4. 銘柄分散は利殖のためには安全でも有効でもない
  5. 1つの方法、少数の銘柄に熟達することが肝要
  6. 低位株に手を出すな
ということぐらいでした。
株式投資で悩ましいのは回転率が低いことで、資金を倍にするチャンスは周期的に巡ってきますが、それが2年に1度しかないので、先に述べた理由で次のチャンスが来たときには資金が元に戻っていることがしばしばです。

それにくらべて競馬はチャンスが1日に10回やって来て、しかも2倍をはるかに超える利益率が期待できます。ただし、失敗すれば資金は根こそぎパーになります。
複勝で2倍ぐらいの利益を積み重ねれば1日の終わりには1000円が100万円になっている可能性も(可能性だけは)あります。これを複勝コロガシといって、それを専門にやっている方もありますし、熟練すればこれで生計を立てることも可能です。
とはいっても、1回の失敗ですべてがパーになる投資に10回勝ちつづけることはマーフィーの法則が許しません。
複勝投資法の中に何らかの安全策を盛り込むことで、競馬の必勝手が編み出せないものでしょうか。
いえ、必勝手はきっとあるのです。そのことだけは確信しています。

競馬の道に踏み込むにあたって、誓ったことがあります。それは、

  1. 資金は一万円。これをなくしたら競馬は二度とやらない。
  2. 馬の名前や血統や戦績や騎手や賞金や馬場や天気を気にしない、覚えない。
  3. 穴馬を買わない。
ということです。これは株式投資に読みかえると
  1. 資金は大切にし、資金いっぱいの買いはしない。
  2. 出来高や新製品情報や仕手情報や店員の推薦を気にしない。
  3. 低位株を買わない。
という生き残りの教訓に由来しています。

まずは1番人気の複勝、しかも争いなくダントツの1番人気だけを厳選して買ってみます。
資料は金曜日に買って帰る「競馬ブック」で、土曜日の全予想が載っていますが日曜日の記事はほとんどありません。
真夜中に「競馬ブック」と鉛筆とを持ち、プリンタから引っこ抜いた白紙に電話投票用の入力票を作ります。電話番号・何とか番号・パスワード・・・場名・レース・投票方式・馬番・枚数・・・全て書き上げて朝9時を待ちます。

朝9時。電話機に番号を続々と打ち込んでいたら、奥様にバレてしまい、苦しい言い訳をしなければなりません。「電話投票の権利は1年間使わなかったら抹消になってしまい、今後一生電話投票ができなくなるから仕方なく権利維持のために投票しています。(これは本当の話)すみません。」

京都11月10日
レース馬番馬名掛け金着順配当
23ゼンノカルナック1001100
39エリーナ1002130
49サクセスビューティー1001100
69フェリシタル1002170
74メイショウチェリオ10060
合計500500
現在所持金10000

いきなり的中率80%です。しかし2つは元返しになっていて、収益は±0です。 すべり出しとしては好調ですが、元返しというのはリスクだけ引き受けてメリットがないということです。
調子にのって早速禁を破って翌日の話題のレースに手を出してしまいました。
(何というレースかは上記の誓いのために記録が残っていません)

京都11月11日
レース馬番馬名掛け金着順配当
111テイエムオーシャン10050
合計1000
現在所持金9900

とうとう所持金を減らしてしまいました。
元返しを見分けるための複勝予想オッズは「競馬ブック」には載っていませんから単勝オッズと見比べて見当をつけます。単勝予想オッズが2.8倍以下のものを除外すれば当たっても100円、110円という配当は避けられるもののようです。

方針を決めて翌週。「競馬ブック」を開いて困りました。
人気が同率首位という組み合わせが多数あります。
予想単勝オッズにわずかでも差があれば1番人気を買い、同率首位ならばあえて両方を買うことにしました。このため購入枚数がずいぶん多くなりました。

京都11月17日
レース馬番馬名掛け金着順配当
311コンバットブルボン1001120
512キゼンライジン10040
513サンキョウレリック10060
63ベルモントティアラ10050
74セトノアケボノ1003150
83フォーキャスト1001180
913タイギャラント10060
1012ロードプリヴェイル100170
116タマモルビーキング1001140
1112ヒダカクラフティー1002160
129アイアンリアリティー1002120
合計1100870
現在所持金9670

的中率こそ50%を超えていますが、収益率は79%です。
馬券を買えば買うほどお金は2割ずつ減って返って来ます。
ううむ。へたな必勝法は必敗の法なのかもしれません。
予想単勝オッズが4倍以上の馬は確かに入賞する率が低いので、今度はさらにリスクを避けるためにそういう馬を除外してみることにしました。

さて土曜日。仕事の都合で「競馬ブック」が買えませんでした。
奥様は保育園の参観日で不在ですが、1歳のボクちゃんを置いていってしまいました。
最寄りの競馬ブックを手にするには2kmほど離れたコンビニまでご町内を突っ切っていかなければなりません。
ボクちゃんを古風な紐で結びつけるおんぶひもで背負い、風除けの毛布みたいなものをさらに重ねて背負います。布おしめを替えるのを忘れていましたが、出てしまったら強行突破です。
おっと知り合いのおばさんに捉まってしまい、大通りの信号わきで非常に恥ずかしい姿で立ち話です。
コンビニでよれよれのトレーナーを着て眠りこけた子供を背負い、不精ひげを伸ばして「競馬ブック」をカウンターへ。
「コレと肉まん。」
私はいったい何者なのだ。

そういった事情で昼過ぎのレースしか買えませんでしたが、研究に研究を重ねた結果。

阪神12月1日
レース馬番馬名掛け金着順配当
73シーセモア1001130
97サイドワインダー10040
1014スペルティグレス1003150
118マヤノアブソルート10060
合計400280
現在所持金9550

研究を重ねるほどに収益率は下がってゆき、とうとう70%になってしまいました。
最初の無欲無心の頃の成績がどうしても出せません。
トータルの収益率は78%です。

おや?それは控除率に限りなく近づいているのではないですか?
JRAは馬券の売上から経費や賞金、上納金を差し引いて残りを配当金として払い戻します。その率が控除率で25%が控除されるというわけです。
そして私は「一定の方法でかなりな数の馬券を買うと収支は控除率に近づく。」というしごく当たり前な事実に達したのでした。
やはり達人は馬を知り、レースを知っているからこそうまく行くのでしょうか。

一から研究しなおすため、ここで実地研究はしばらくお休みとなりました。

馬の世界の大先輩は私の3つの誓いを聞いて「君は競馬を知らない。」と大笑いしたものです。
「1600円儲けたからといって得意になっちゃあいけない。君のは邪道だ。お遊びだ。わしは今年は60万儲けたぞ。」
「すごいですね。それを稼ぐのにいくら馬券を買ったんですか。」
「80万だ。」
「80万突っ込んで60万返ってきたなら2100円突っ込んで1600円返ってきたのと同じじゃないですか。」
「君なんかとは違う。」
そうです。確かに差は歴然です。私は本年450円の損失であったのに、大先輩は本年20万円の損失で、それが私よりはるかに優れたことと誇りにしているようです。


ここまでの記事を掲載したところ、古くからの友人のひだりうま氏からメールをいただきました。
先の話の「大先輩」とは勿論別人です。
興味深く読ませてもらいました。
競馬は「記憶」のスポーツだとか言われています。
11月11日の京都競馬場で行われた1枠1番がテイエムオーシャンと言うレースは「エリザベス女王杯」です。
(「何というレースかは上記の誓いのために記録が残っていません」と言うのは本当かなと思いながら読みました)
武豊鞍上のトゥザビクトリーが優勝しました。
3歳以上の牝馬限定のG1レースです。
テイエムオーシャンなど3歳馬の3強と4歳以上の熟女の戦いと言われたレースです。
勿論このレースいただきました(^^)
(中略) ・・・などと、各馬の経歴、血統、その週の調教の様子や時計、京都競馬場の外回り適正、距離、馬場状況などを考慮しひだり馬のファクターがはじき出した答えは見事的中しました。
回収率は270%で、何も言うことはありませんでした。
メールを読みながらひしひしと反省させられました。
私の試みは競馬ファンとしての取り組みではありません。(必勝手を見つけてからほざけって?そうですが)
決して収益がプラスでなかったら競馬をしている値打ちがないなどというものではありません。
そういう意味で「正しい競馬ファン」を罵倒しているように読めたら申し訳ないことと思っています。

そうではないのです。「私は競馬ファンではないのです。」
これは競馬は投資の対象になるかという問いに対する模索であり、僕のようなやり方をする人は競馬ファンではありません。
競馬ファンとしては外道なやり方をあえて試みるのがこの取り組みです。

相場の仕事というのは退屈でスリルのない方法が一番儲かる。
しかし多くの人が(私も含めて)スリルのある方法へ走ってしまうために損ばかりしている。
競馬は立派な趣味ですが、投資(相場)を趣味と考えている人にこの話(そして僕の見つけようとしているもの)は一石を投じています。

と、そういう趣旨のやりとりがあって、最後に

競馬はロマンと素人(あほ)は言う!
ギャンブルとしての競馬、馬そのものが愛しい、両方好き、競馬ファンにもいろいろあって、君の試みが競馬ファンと対極にあるとは思えません。
ただ、君は歴としたギャンブラーである事に間違いはない!
ううん。言い当てられてしまった。
株で損ばかりしている私も、競馬を存分に楽しんでいる方々と同じく(いや、よりたちの悪い)ギャンブラーに過ぎません。

これに懲りずに必勝手探しは続きます。


「なべのさかやき」目次に戻る