しばしの対面のあと、私が歩を進めようとするとカワセミはチィーッという声を残して水面すれすれに飛び去っていきました。
しかし、ここは市役所と、総合体育館と、市営プールと津山商業高校に隣接した街の真ん中ですよ。
それじゃまるで、津山がすごく田舎みたいじゃないですか。
二度目の遭遇は数日後、池に浮かぶ高瀬舟のへさきにとまっている姿はまさに一幅の画でした。
その後衆楽園に行くたびに気をつけて観察すると、数回に1回はどこかでカワセミの姿を見かけるようになりました。2羽いることもあります。
目にするのはたいてい飛び去っていく瞬間ですが、瑠璃色をした小さな三角が水面すれすれを滑っていく姿を見て、「ああ、セミに似ているなあ。」とカワセミの名の由来をひとり納得しました。
聞けば一宮あたりの宮川では少し前は普通にカワセミを見ることができたそうです。(近年どうであるかは不明です)
流れにダイブして、小さな体に不釣合いな大きな魚を捕り、石に打ちつけて魚を気絶させた後、頭から丸呑みにするのだそうです。
その美しい色合いがカワセミの愛される最も大きな理由でしょうが、不釣合いに長い嘴とか、不釣合いに短いしっぽとか、不釣合いに大きな魚を丸呑みにするとか、そういったおかしさを持ちながら、本人だけがちっともおかしいと思っていない、そういうところがまたご愛嬌のような気がします。
こうして私は暇さえあれば衆楽園でカワセミを追う、勝手に野鳥の会を始めてしまうことになりました。
衆楽園は津山に殿様がいたころの殿様の庭でした。中央の池の周囲を小径がめぐる回遊式庭園で、「霧島」「中島」「蓬莱島」「紅葉島」の4つの島があります。
(写真は津山市ホームページの地図システムから拝借)
カワセミはいつも油断しているときに現れ、すぐに飛び去ってしまいますから、とうとう私は衆楽園を歩くときは200ミリ望遠をつけたカメラを抜き身で提げて歩くのが習慣となりました。
こうして準備万端を整えるとなぜかカワセミは現れません。
この池にいつもいる鴨のうちいくらかはアイガモではないかという疑念をいだき、鴨の姿をかつてレポートしたことはありますが、こうして気をつけてみると他の鳥もけっこう見られます。
そうして図らずも私は衆楽園のカワセミ以外の鳥たちとばかり仲良くなってしまったのです。
![]() |
カルガモ |
---|
![]() |
コサギ |
---|
![]() |
キジバト |
---|
あと、珍しくない鳥の二番手はヒヨドリでしょうか。
体は大きめ、色は茶色、くちばしは短い、飛行高度は高い、食べ物は木の実が多いが農作物の被害がばかにならない。ときたらカワセミの正反対のキャラクターですね。
カワセミがつれなくするので、ヒヨドリとも仲良くなりました。
体が大きいのと、人をあまり恐れないことから写真はなかなかいいのが撮れています。(後日掲載予定)
カモとは逆に池の東岸の木立を好むようです。
![]() |
ムクドリ |
---|
今年は桜が10日近く早く咲き、一昨日ぐらいから衆楽園の池の上を帰ってきたツバメが飛び交い始めました。
さて、肝心のカワセミの写真は。
1ヶ月半の激闘の末、やっと1枚撮れました。
![]() |
カワセミ |
---|
![]() |
![]() |
![]() | |
鳥たちの中には臆病で写真の撮れる距離まで近づけないものもいます。
私は写真を撮って帰って図鑑と見比べて初めて何という鳥かわかるといったシロウトですからまだまだ研究の余地はありそうです。
今回よい写真がとれなかったけれども、衆楽園で見たことのある鳥といえば
ツバメ、スズメ、カラス、モズ、セグロセキレイ、ゴイサギなどですが、それって珍しくない鳥のリストですか?
![]() | ![]() |
舟に止まった・・・ | カワセミ |
---|