競馬必勝手を探して(その5)

-3連単をナニするプログラム-


昨年の競馬の成績は、1月18日の500円馬券を買って510円のリターンを得た10円勝ちというプラスのトータルで終わるはずでした。
しかし、ちょっと暇ができた午後、つい馬券を買ってしまいました。
方式はやはり「ダントツ1番人気の複勝買い」です。
結果は
阪神12月19日
レース馬番馬名掛け金着順配当
98エアセレソン10040
1010ラタフィア1001140
111オースミハルカ10090
121ベレノス10060
合計400140
損益-260

と惨憺たるありさまでした。

この日は午前中に順当なレースが続いており、午後になって荒れました。
こういう波は必ずあるわけですが、前のレースの(馬の)勝ち負けがその後のレースの(馬の)勝ち負けに影響を及ぼしているわけではありません。
影響を受けているのは馬券を買った人々の投票行動です。

順当なレースが続いた場合、順当な馬券に人気が集まるために、ちょっと外した馬のオッズは意外と高くなっています。逆に荒れたレースが続くと人々が意外性を狙った馬券を買うために順当な馬のオッズが高くなります。レースそのものは公平に行われているのですが、人の心は常に動いていきます。
今回はその流れをまったく無視したための敗北と言っていいでしょう。
私なりに自信のあった必勝手ですが、万能ではないようです。

さて、買った馬券が8割は的中しないと気に入らない私ですが、世間では私の全く逆の馬券が人気を呼んでいるようです。
3連単は1−2−3着を順番どおりに当てないといけないので、18頭だと18×17×16=4896通りに1つが当たりになります。 18通りのうち3通りが当たりという複勝とは比べものにならないぐらいキビシイ世界です。

友人のひだりうま氏が、この3連単の買い目を決めるためのプログラムを作れないかと問題をくれたので、当サイトへリンクしてもらえたお礼にちょっと知恵をしぼってみることにしました。

何でも、3連単には「連単ながし」という買い方があって、軸になる馬を決めて一回の投票で関連する馬券を一気に買えるようになっているそうです。ところが、選択の幅を広げるとすぐ1回の購入組み合わせが300通りとかに膨れ上がってしまうので、うっかりして購入方式を誤ると一発で3万円も思わぬ馬券を買ってしまったりする事態も生じかねません。
そこのところをあらかじめ表示して、どんな馬券をどれだけ買うのがいいか、自分の予想を入力したら一発表示するソフトが欲しいということです。

ちょうど自己流必勝手に行き詰まったところですから、3連単を題材に頭の体操をしてみましょう。
まず、3連単の買い方を見ると、組合せを一つずつ指定して買う「基本」と、「ボックス」「フォーメーション」「連単ながし」があります。
「ボックス」と「フォーメーション」は似ていて、フォーメーションの特殊な場合がボックスと考えていいでしょう。

連単ながしには「軸1頭」、「軸2頭」と「マルチ」があります。
軸とは、1着、あるいは2着・3着になると予想する馬を固定するために決めるもので、「マルチ」は組み合わせが同じで着順が違ったときでも当たりになるように多めに組み合わせを買っておくことです。
軸2頭の「マルチでない」組み合わせは、軸以外に選んだ馬の数と同じになりますから、考慮の必要はありません。

方式別に、軸以外に選んだ(「その他の馬」と言います)馬の数と、実際に買うことになる馬券の数を表にすると次のとおりです。
相手マーク数1点2点3点4点5点6点7点8点9点10点11点12点13点14点15点16点17点


軸1頭2612203042567290110132156182210240272
軸1頭マルチ618366090126168216270330396468546630720816
軸2頭マルチ6121824303642485460667278849096

これは券売機用のマークカードにも印刷されています。
この表の表している数学的法則はいったいどういう式になっているかを解き明かすのが今回の第一の問題です。

まず軸1頭。
軸にするのは1着と仮に決めて「その他の馬」の数をn頭とすると、2着の馬がn通り選べます。
そのそれぞれについて3着の馬を選ぶと、2等に選んだ1頭は使えないので(n−1)通り選べます。
結局、組み合わせ(数学的に言えば順列)の総数はn×(n−1)通りになります。
これは「その他の馬を5頭選べば5×4=20通り」「その他の馬を10頭選べば10×9=90通り」と言う風に暗算でできる計算です。九九の範囲を超えるような買い方はやめましょう。

次は軸1頭マルチ。
結果から言えば、マルチでない組み合わせの3倍になります。
理屈はn頭の中から2頭を順に選ぶとn×(n−1)、この中には必ず逆順の組み合わせ(「3→5」と「5→3」のような)が対になっていますから、組み合わせだけの数を言えばn×(n−1)÷2。
この組み合わせに軸馬を入れて、3頭の馬を順に並べる方法は6通りあります。(1-2-3,1-3-2,2-1-3,2-3-1,3-1-2,3-2-1)
この結果を総合すると、軸1頭マルチのその他の馬にn頭選んだときの組み合わせは
n×(n−1)÷2×6 = 3×n×(n−1)
通りになります。

軸2頭マルチは逆に組み合わせが減っています。
2頭が固定されているから、その他の馬がn頭ならそこから1頭選ぶのは単にn通りです。
これに3頭の馬を順に並べる6通りを掛け合わせたら6×n通りになります。
ありゃー、そう言われてみたら確かに一番下の列は単なる「6の段」です。
数学的な分析ができたら、久しぶりにJavaScriptの本を引っ張り出してホームページ上でこの数学を実装する方法を研究します。 あらかじめお断りしておきますが、

  1. 以下の分析プログラムは自分の考えをまとめるための道具であって、馬券の当たり外れや収益を予測するものではありません。
  2. 3連単の実際を知らないプログラマですから、現実にそぐわない展開があるかもしれません。
  3. ブラウザの「戻る」ボタンで入力画面に戻ると正しく動作しない場合があります。
  4. JavaScriptを使ったコンテンツ(1種のアクティブコンテンツ)の表示を制限していると動作しないかも知れません。
  5. だからといって、気やすく表示を許可しちゃダメですよ。作者の私が信用できる者かどうか(プログラムにウイルスを含ませたり、個人情報を盗もうとしていたり、アクティブコンテンツはいろいろな悪事も働けます)よく考えてからにしてください。
まず第1作。
熊風゜式三連単穴らいざver.1
◎印を入れた馬を1着の軸にした軸流し方式の賭け方を表示します。2・3着固定の軸流しは考慮していません。
◎印がなくても3頭以上の馬に印を入れたらそれなりの結果を表示します。
ひだりうま氏の論評は「自分の付けた印がオッズと比例しないので、買い目切りに使うときは慣れが必要。」とのことでした。
要するにクセがあって使いにくいようです。

続いて第2作。
熊風゜式三連単穴らいざver.2
1着固定の軸1頭流し、1・2着固定の軸2頭流しの組み合わせだけを表示します。
書いていてうんざりしたのはエラーチェックの連続であるという点です。

熊風゜式三連単穴らいざver.3
軸流し方式のシミュレーションです。
単勝オッズを入力するだけで、その馬が2着・3着になる確率めいたものを計算し、それによって順位付けをしています。
ただし、数学的にそれらしいものを計算しているだけで、個々のレースの結果がこれに従うかどうか、そもそもプログラムの基本的な発想が正しいかどうかは保証しません。

熊風゜式三連単穴らいざver.4
同じ発想のプログラムで、フォーメーション方式です。ver.3よりプログラムが簡単なのでver.4が先に出来てしまいました。

このプログラムで私が言わんとしていることは、「3連単は、数を買わなきゃ当たらないよ」ということなのですが、実際に個々の馬券が当たる確率がかなり低いことがわかっていただけるでしょうか。
もちろん、このプログラムを駆使して買い目切りを慎重に行えば多少なりとも結果を有利な方向へもっていくことができるでしょう。
しかし、経験のの浅い私では無理のように思われます。

これらのプログラムは「メモ帳」で書いて、InternetExploreで試して作ったため、最初はFireFoxでは動きませんでした。
足掛け2ヶ月、FireFoxで動作するようにようやく(05.03.25)修正しました。
Ver.3は足掛け3ヶ月、4月11日に完成しました。目安オッズを表示するよう改造していますが、目安オッズが果たしてどれくらい信用できるかは未知数です。

それぞれのプログラムは単体のHTMLファイルですから気に入っていただければお持ちのパソコンにダウンロードして使えます。
ファイル名を変えると「クリアして戻る」がうまく動かなくなります。
使用してもネット上にパソコンの情報や個人情報を送信することはありません。


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