ライバルの背中

-自己流SEOとその結末-


昨年の春のことです。
「kumapoohさんのホームページって、どうやったら見れるんですか?」と後輩に聞かれて
「『なべのさかやき』という単語で検索してごらん。」と答えました。

私のサイトは当初「くまプー雑記帳」という名前でしたが、「くまプー」も「雑記帳」もあまりにありふれた単語だったので、絶対他とかぶらない名前にしようと思ってこんな名前にしたのです。
改名した当初は「なべのさかやき」で検索したら4件ほどのヒットがあって、その最下位に自分のサイトが位置していました。

家に帰って自分のアドバイスが正しかったかどうか、ちょっと「なべのさかやき」で検索してみたら、

・・・

70といくつかのページがヒットして、自分のページはその最下位でした。

そ、そんな。
私のページには毎日100人以上がお越しになっており、午後から深夜にかけては数分に1度の来訪者があることを把握しています。
それが、日本一有名でない「なべのさかやき」だなんて。
よく考えると、私のブラウザにくっついているのはgoogleツールバーです。
これに対して私のサイトにお越しになる方々は8割がYahoo!検索から、2割がMSN検索からで、googleからの来訪者は1割もありません。
どうやら、Yahoo!とMSNでは検索トップの私のサイトはgoogleに相手にされていないようです。

そこで私はgoogle検索に引っ掛けてもらうにはどうすればいいのかという研究を始めました。
検索エンジンに上位表示してもらうためのノウハウはSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)といい、Webサイトを商用利用している人には必須の技術のようです。

以下の記録はちょっとヒネクレたSEOにより「なべのさかやき」というキーワードで私のホームページ(トップページ)がいかに上位表示されるかという挑戦の記録です。多数のキーワードでむやみと検索にヒットすることを目的としたものではありません。また、商用利用に向いた手法でもありません。

PageRankについて
googleはキーワードの中身をよく言い表していて人気のあるWebサイトを的確に表示することで知られています。
その「人気」をどのように測定しているのかと思ったら、「そのページに張られているリンクの数」を基準にしているそうです。
多くのサイトからリンクを張ってもらっていると、そのサイトのランキングが高い。しかも、人気の高いサイトからリンクを張ってもらっているとその価値がますます高い。ということになっています。
あれ、そのリンク元としての「人気の高いサイト」ってどうやって測定するの?もちろん同じ方法です。ちょっとこんぐらかって来ました。

googleは世界中のWebサイトを覗いて回って、どのページがどのページにリンクしているかを調べ上げ、巨大なデータベースを持っています。それをエイヤーと連立方程式に放り込んでランキングを決めているようです。
これをPageRankといい、Google Toolbarをインストールしたら、見ているページのPageRankを知ることが出来ます。

右下の棒グラフがPageRank、ここでは1/10を示している。

昨年春の時点では私のページはこのPageRankの棒グラフが灰色になっており、googleに相手にすらされていない状態でした。
理屈を知れば納得です。私のページにリンクを張ってくれる人など世界中に1人もいなかったのですから。
そこで早速津山でもっとも有名なリンク集「津山県北エリア・全リンク」にリンクを申し込むことにしました。

申し込みフォームに記入して、送信して・・・何日たってもリンクしてもらえず、返事も来ませんでした。

今にして思えばフォームの不調で送信したデータが読んでもらえなかっただけなのですが、何だか腹が立ったので再びお願いすることはせず、次の手段を画策することにしました。

ライバルはblog
一方、googleで私のランキングが急激に下がったのは何故でしょう?
それは「なべのさかやき、いしのひげ」というblogを営むライバルが出現したことによります。

blogとはいまや有名になったので説明の要はありませんが「Web log(ネット上の日記)」で、日記に他人がコメントをつけたり、トラックバックといって他人の日記を引用することで自動的にリンクが作成されたりする機能を持っています。
blogはその存在自体がリンクの塊です。記事を書くごとにプログラム的にリンクが生成され、他人のblogと複雑に絡み合うためにリンクを重視するgoogleの目をいやが上でも引くことになります。googleは常に新しい情報に注目しています。

これに対してYahoo!などはそのサイトの歴史を重視している感があります。

Yahoo!のページ検索結果のリンクは例えばこんな風なURLが書いてあります。
http://srd.yahoo.co.jp/PAGE=P/LOC=P/R=1/*-http://www.tsuyama.net/zakki
このリンクをクリックしたら、最初にブラウザがアクセスするのはwww.tsuyama.netではなく、srd.yahoo.co.jpです。
srd.yahoo.co.jpという名前の(たぶん複数ある)コンピューターは、アクセスを受けると「お、www.tsuyama.netのリンクをクリックしたお客がいたな。」ということを記録してから「本物はコッチだよ。」と画面をwww.tsuyama.netに転送しています。
したがってYahoo!は検索を行ったお客が実際にどのページを見に行ったのか把握しているわけです。

Yahoo!の検索結果も2004年5月末まではgoogleの結果と同じでしたが、私のひそかな闘争が始まったのと時期を同じくしてそういう仕組み(Yahoo Search Technology、略してYST)に変更されました。
この場合は20世紀から存在している老舗の私のページの方が累積では多くの来客数を記録しているわけです。
そうです。今はやりのblogか何だか知らないけれど、ウチはblogやブロードバンドなんて誰も知らない頃から、インターネットは電話代を使って56kbpsのモデムで読みに行く時代からやってんだぞ!
おまけに記事は他人の仕事の評論ではなく、自分の手足と頭で作っているんだぞ!ソースはすべて「メモ帳」で手書きだぞ!

意地になった私は、自分のSEOについてヒネクレた指針を作りました。

  1. 更新頻度を無理して上げない。
  2. 特にblogによらない。
  3. リンクは本当によく知った人に頼む。

これは裏返して言えば「暇がない。金もない。友達もいなけりゃ、やる気もない。」ということです。
初めから勝つためのカードをみな捨ててしまった横着SEOがどこまで通用するでしょうか。

自分でリンク集を作る
自分でリンク集を作ったいきさつは以前に記事にしましたが、これはリンク集そのものが誰からもリンクされていないと何の意味もなさない対策です。
また、PageRankは「リンク元のPageRank÷そのリンク元から出ているリンクの数」をリンク先のPageRankに加点するため、1つのリンク集から500もリンクが張ってあればその効果はますます薄まります。
そういう意味ではSEOとして笑止千万な対策ですが、まあそこは津山全体のネット界で何らかの役割を果たしたい私にとって、必要なボランティアであったと言えましょう。
このデータベースは実はMicrosoftExcelによって生成されています。カテゴリ分類、五十音並べ替え、そして一部作為的な順序の変更などは他にプログラミングの技を持たない私にとってなかなかの大作業でした。

見聞録Websearch津山の謎
googleはリンクからリンクへとたどってWeb全体を調べていくわけですが、そのスタート地点はどこにあるのでしょう?
それはYahoo!のディレクトリとDMOZというディレクトリです。
googleはこれらに登録されているページを起点としてクロール(Webの探索)を始めますから、この両者に登録されれば相当の重要さを帯びて必ず検索結果に表示されるようになります。

Yahoo!はともかくとしてDMOZって何でしょう?
これはODP(Open Directory Project)といって、平易に言うとボランティアによって運営されている世界規模のリンク集です。

DMOZを「地域」−「日本」−「岡山」−「市町村」−「津山市」とたどっていくと津山のサイトが十数件登録されていました。
しかし、その画面の下のほうには「このカテゴリはエディタを募集中です」と表示されていました。
DMOZの各カテゴリにはそれぞれにボランティアによるエディタがいて、登録依頼のあったサイトを実地調査してから登録するかどうかを決めることになっています。
ところが多くのカテゴリでエディタが決まっておらず、そういう場合はその上位のカテゴリのエディタが暇を見て世話をすることになっているそうです。これは事実上の放置に近く、エディタ募集中のカテゴリへの掲載依頼は望みが薄いということでした。

適切なカテゴリがないということもあって、私はDMOZへの登録は挑戦もせずにあきらめた訳ですが、DMOZの津山市のカテゴリの中に「見聞録Websearch津山」という見慣れないページを発見しました。
これは誰でもサイトが登録できる自動リンク集になっており、ここに登録すれば当然googleの巡回コースにも加われるわけです。
しかし、不審なことに隅々まで見てもこのサイトを誰が何のために運営しているのかどこにも書いてありません。
だいたいこういうサイトがあれば私はその設置意図を怪しむことにしています。中にはDMOZのように世界的な奉仕精神に基づいて設置運営されているものもありますが、はっきりしたポリシーがあるならば必ずその主義主張がわかりやすいところに書いてあるはずです。

しかし、見聞録Websearch津山だけはあまりにオイシイ場所にあるために、私はかまわずリンクを登録することにしました。
登録したのは「なべのさかやき」と「津山リンク集」です。
見聞録Websearch津山のサーバはどうやら東京にあるようでしたが、問い合わせのメールに返事は岡山から返ってきました。
「面白い情報が盛りだくさんで、遠慮なくご登録ください」というお褒めの言葉まで頂いて、これでgoogleへの足がかりが出来たとひと安心したのも束の間。

1ヶ月ばかり後に、見聞録Websearch津山は突然消滅してしまいました。そして二度と復活しませんでした。
いったいアレは何だったのでしょう?

時期を同じくしてYahoo!にも掲載依頼をしましたが、これまたなしのつぶてでした。

基本に返ってリンク依頼
万策つきたところで(といって半年間の間有効な手は何も打っていないのですが)改めて「津山県北エリア・全リンク」(PageRank3)にメールで掲載依頼をしました。
今度は早速返事が来て、リンクしていただけました。

次にリンクを依頼したのは実の弟(PageRank3)です。彼は今ではとあるIT企業の専務取締役ですが、1997年2月から書き溜めた日記をWeb公開しています。

1月になって知人の気象予報士の方(PageRank3)も相互リンクしていただけました。

旧友ひだりうま氏(PageRank2)には家まで押しかけてリンク依頼をしました。彼のページもWeb上では老舗です。頼んだら目の前でリンクを作成してUPしてくれました。

「津山県北エリア・全リンク」の方は知り合いではないわけですが、あとの3人は単なる知人という以上の近い間柄です。ある意味何を今さらという対策ですが、この4件のリンクをしてもらってから数日後にはたちまち私のサイトがPageRank1になりました。

ところが、この対策と平行してgoogleが奇妙な振る舞いを見せました。
11月10日から急に私のページのミラーサイトの方へgoogle経由のアクセスが増えたのです。

当時私のこのサイトはネット上の4つのアドレスで読むことが出来ました。
1つ目はwww.tsuyama.net/zakki/(メイン)すなわちここでアクセスアップをがんばっているサイトです。
2つ目はwww.tvt.ne.jp(プロバイダ)の下にある自分のスペースでしたが、航空写真を大量掲載したら10MBの制限が一杯になってしまったので整理中でした。
3つ目はwww.h6.dion.ne.jp/~kumapooh/で、上記プロバイダの領域が一杯になったためと、PocketPostPetのモバイル実験のために月額250円で借り上げた場所です。
4つ目がwww.kumapooh.com/です。これはアクセスすると即座にDIONに転送される仕組みになっていました。

こうして複数の場所に同じコンテンツを置くことを昔なら「ミラーサイト」と呼び、サーバの負荷分散のためや一方のサーバに事故があるときに他方で代替するために同じデータをネット上の複数の場所に置くことが普通でした。
特に私の場合はレンタルサーバが一定の転送量をこえたらボッタクリ的課金になる時代があったり(そんなに読者が来たことは今に至るまでありませんが)、プロバイダを移転したり、tsuyama.netとkumapooh.comのどちらをメインにするか迷った時期があったりして余計多くのミラーをこしらえていました。

ところがSEOを研究していたら、これはデュープリケイトコンテンツ(DuplicateContents)といって、検索エンジンに嫌われるやり方だと知りました。極端な場合はペナルティとしてサイト全体を検索結果から削除されてしまう場合もあるといいます。
googleはwww.kumapooh.comとwww.tsuyama.net/zakkiの内容が全く同一であることを把握していて、この場合はメインのサイトが検索結果から全く削除されていたわけです。

Yahoo!の裏切り
12月から1月にかけて「なべのさかやき」というキーワードで検索するとYahoo!とMSNでは1位、googleでは3位(ただしミラーサイト)に表示されるようになり、私のSEOも一応満足なレベルに達したと思っていました。目標まであと一息というところです。
しかも、私は上で決めた指針の通り、せっせと記事を書いたわけでもなく、見ず知らずの人になりふり構わぬリンクを頼んだりしたわけでもありません。
1月に入るとgoogleがメインのサイトを3位に表示するようになり、代わりにwww.kumapooh.comの方が検索結果に現れなくなりました。
あと一息の対策には何をしたらいいでしょう?

そこで私は日記ランキングサイトに自分のページを登録することにしました。
ランキングサイトはいくつもあるのでしょうが、私の目標はReadme! Japanと昔から決まっていました。

トップページにだけアクセスチェック用のバナーを貼っていた間は毎日20件ほどのアクセスでランキングは3500位ぐらいを上下していました。これは常連客の数を表すものと思われます。
各ページにバナーを貼ったら毎日200件を超えるアクセスとなり、ランキングでは1000位そこそこまで浮上しました。この差は検索エンジン経由のアクセス数を反映しているわけです。
Reamdeのアクセス分析ページを見ているとアクセスの大半は「平成の大合併」(www.h6.dion.ne.jp/~kumapooh/zakki/040522.html)の記事です。Yahoo!で「平成の大合併」というキーワードを検索すると私のこのページが1位に表示されていました。ローカル色あふれるこの記事を見て、検索した人はさぞかしがっかりしたことでしょう。

ところで、Yahoo!はいつからDIONの方を表示するようになったのでしょう?
「なべのさかやき」で検索すると、いつの間にか検索1位はDIONのページと入れ替わってしまっていました。
またもやデュープリケートコンテンツの弊害です。

検索エンジンに上位表示してもらう努力がSEOなわけですが、努力も度が過ぎるとWebSpamと呼ばれ、検索サイトがペナルティを課す場合があります。これがOOP(Over Optimization Penalty、過剰な最適化への罰)です。
いろいろ試しているうちに検索窓に「=なべのさかやき」と半角イコールをつけて検索するとトップにメインサイトが表示されることに気がつきました。「べのさかやき」や「のさかやき」で検索してもちゃんとメインサイトが1位に表示されます。
どうやら、「なべのさかやき」の検索結果から意図的に私のトップページを除外している感じがします。
私の身の上に起こったのがOOPだったのかどうかはわかりません。きっと単なる判断の変更だったのでしょう。しかし、自分自身のミラーサイトによって、自分のメインサイトが駆逐されてしまったのは非常に悲しいことです。

googleの時はそこを経由してくる訪問者が少なかったことからあまり問題にはなりませんでした。しかし、Yahoo!の検索は私のページに関する限り来訪者の8割を握っていたので影響は重大です。きっと全国的にも何気なくYahoo!で検索する人が圧倒的に多いのだろうと思います。

対策はミラーサイトを削除してYahoo!の次のクロールを待つしかないのでしょうか。しかしそれでは始めたばかりのReadmeJのランキングが5000位以下に落ちてしまいます。第一せっかく検索して訪問してくれる方々に非常に失礼なことが起こります。
結局、ミラーサイトだけトップページの上のほうに

<META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX, NOFOLLOW">

というタグをつけることでYahoo!の検索結果からDIONのミラーサイトのリンクやキャッシュを削除することにしました。(Yahoo!の説明
ミラーサイトへのアクセスが減ったところでミラーサイトを削除し、デュープリケートコンテンツを解消しようという作戦です。

変更してから間もなく効果が現れました。確かに検索結果からミラーサイトが消滅しました。
しかし、替わりに2位に浮かび上がったのはすでに削除してしまったwww.kumapooh.comのurlでした。

だから違うっちゅーの!

NOINDEX,NOFOLLOWによる効果はすぐに現れて、10日あまりで検索結果の1位に意図したとおりのメインのページが現れました。
そこで気をよくして、ミラーサイトの個別のページにも1個ずつ手作業でNOINDEX,NOFOLLOWを書き込んでUPしました。
今度は効果がなかなか現れません。それもそのはず、トップページに書いておいたNOFOLLOWとは、そのページからのリンクをたどらないで欲しいという検索エンジンへのメッセージですから。
そこで一時的にミラーサイトのトップページからNOINDEX,NOFOLLOWを外します。
すると翌日から個別ページへのアクセスがミラーサイトからメインサイトへ移行し始め、3日で半数のページが入れ替わったようです。

Yahoo!のサーチエンジン(YahooSlurp「ヤフースラープ」といいます)はのんびりやってきますが仕事は迅速です。

間もなく、迅速で確実なYahoo!はまたもや私のサイトがデュープリケートコンテンツ状態になっていることを発見してしまいました。そしてペナルティとして、メインサイトもミラーサイトも一切検索結果から削除してしまいました。
Yahoo!は過剰なSEO(決して私は過剰なつもりではないのですが)に対しては非常に厳しい措置を取ることを身をもって体験しました。
まるで世界のYahooSlurpが私だけに注目しているのではないかというぐらい迅速で手厳しい措置でした。
これを見た私はもちろん、早速ミラーサイトのほうへNOINDEX,NOFOLLOWを書き込んでUPし直しました。
Yahoo!は手厳しい措置の割には、反省した者への名誉回復も迅速です。
しかし、歴史を重んずるYahoo!も、長年1位であった私を一夜のうちに駆逐してしまうなんて、なかなか油断のならないパートナーであると言えましょう。

googleの変調
Yahoo!の異変とほぼ同時期にgoogleの検索順位もずるずると落ち始めました。ある日自分のサイトが検索5位になっているなと思っていたら、数日して一気に22位ぐらいまで転落してしまいました。

これは全国的(全世界的)に起こった大変動のようです。
googleはこの半年間くらい、新規参入のWebサイトの順位を意図的に引き下げる操作をしていたそうです。
1月25日にいきなりそれが解除になって、私のページは思いっきり割りを食らうことになりました。
私のページにリンクしてくださっている人のページ(に書いてある「なべのさかやき」=アンカーテキスト)の方が軒並み私自身より上位に表示されるようになってしまいました。
ここでも、手をこまねいて見ているわけには行きませんので、苦しまぎれの一手を打って見なければなりません。

検索エンジンは、検索キーワードの内容を最も適切に表しているページを上位に表示するよう期待されています。
具体的にはページのなるべく早いうちに(上のほうに)検索キーワードが繰り返し出てくる、なんてことが判断基準になっていたりします。
逆に、せっかくのタイトルが画像で表示されていたり、「なべのさかやき」に関する説明が全くなかったりすると検索エンジンは重要度を低く判定しています。
「なべのさかやき」を適切に言い表しているページなんてもともと皆無に近いのですから、ちょっとした努力で点数が稼げるかもしれません。
そこでまた、次のような説明文を冒頭に入れることにしました。よく考えれば今までよくぞ何の説明もなくここまでやってきたものです。

「なべのさかやき」サイトへようこそ。

このページは、筆者の居住する岡山県津山市の地域の話題、科学の話題、路上観察の話題など、「役に立たないことを無駄にツッコむ」ことをテーマとして追求しております。
サイト名は、一休禅師の道歌「仏法は なべのさかやき 石のひげ 絵にかく竹の ともずれの音」に由来しています。

この対策が功を奏したのか、上の"NOINDEX, NOFOLLOW"が効いたのか、それともgoogleが心を入れ替えたのか(ほんとはこれが当たりみたいです)理由は不明ですが、3月4日を境に私の検索順位は再び上昇し始め、間もなく4位に落ち着きました。
その後も順位は変動を続けていましたが、よく見ると私のページの評価が異常に低いプログラムと、私のページがまずまずの評価になっているプログラムとの、2種のプログラムがあり、どちらかの結果がランダムに表示されているみたいでした。
googleのデータ・センターには、我が家にも転がっているような安価なLinuxサーバが大量に配置されており、それらが協調運転することで多量のデータ収集、高速な検索、無停止の連続運用を実現しているそうです。

プログラムのうち1種はアンカーテキストを重視し、もう1種はあまりアンカーテキストを重視しないのだそうです。
そこで私が次に取った措置は自分のサイトのトップページをさすリンクのアンカーテキストを”目次に戻る”から”「なべのさかやき」目次に戻る”にせっせと書き換えることでした。

まさか自分のサイトから自分のトップページへのリンクがそれほど有効だとは思わなかったのですが、この措置の5日後から私のページの検索順位は安定して3位を確保するようになりました。
アンカーテキスト=キーワードとする(アンカーテキストマッチ)より、アンカーテキストの中にキーワードを含む簡単な文を書く(アンカーコンテキストマッチ)の方が有効とは知っていたのですが、まさか、自分自身のサイトの記述が長年の間自分自身の足を引っぱっていたとは気がつきませんでした。

改めてライバルの姿
改めて(私に対してライバル意識を全く持っていない)私のライバルについて見てみましょう。
私と身長が全く同じ、年齢もさほど離れていないライバルは、職業的プログラマです。
実はblogのプログラムも自分自身で作成されています。
雨後の筍というか、猫も杓子もというか、blog全盛の世の中にあって、こんなコアなブロガーは他に見たことがありません。真に尊敬に値します。

また、リンクしあっている他のblogを良く見ると
***.**.infoseek.co.jpにメインのblogがあって、
***.exblog.jp
blog.goo.ne.jp
d.hatena.ne.jp
blog.livedoor.jp
blogs.dion.ne.jp
geocities.yahoo.co.jp
に、関係するblogがあるわけですが、気をつけてこの7つのblogをみれば全て同一人物であることがわかります。

ライバルはSEOにはblogが有効ということを早くから知り尽くしていて、blog同士の絡み合いを利用して検索順位を効果的に増幅しています。もちろん、私のハマったようなデュプリケートコンテンツになることはありません。

なお、このライバル「いしのひげ」氏にあっては、おめでたい動きが現在進行形であるようです。
嫁なんてもらって、子供なんか出来たら、それこそblog更新頻度の危機ですョ。

首位奪還
4月7日、この1年続けてきたように、なにげに「なべのさかやき」のgoogle検索をしてみたら。
私のサイトがライバルをかろうじて抑えて検索1位に浮上していました。
この1年間の目標地点

ちなみに私のページはPageRank1のまま、ライバルのページはPageRank2のままです。
さらに調べてみたら、Googleに多数あるサーバの4分の1ぐらいが私のページを1位に、残る4分の3ぐらいがライバルのページを1位に表示しているようです。
実はgoogle首位は「奪還」したわけではなくて、初めての体験です。この1年間首位であり続けた、いしのひげ氏からちょっと借りているだけです。
しかし、blogによらず、2ヶ月以上も更新をサボり、既知の人以外とは交流を深めない、そんな私のサイトでも工夫次第でここまで来ることが出来るのだなあと、改めて感心しました。
今後も検索エンジンは進化し続け、検索ランキングは踊り続けるのでしょうが、思わず目標に到達した今日をもって1年がかりのこの実験を締めくくろうと思います。
この挑戦を通じてSEOに関して私が得た知見を列挙してみましょう。
世界は動いています。検索エンジンも日々進歩しています。以下の知識もそう長く通用するものではないはずです。
  1. Yahoo!は多少ピントの外れたお客を多数連れてくるが、googleは当を得たお客を少数連れてくる。
  2. googleは新しい話題に敏感で、Yahoo!はページの歴史を尊重する。
  3. googleはリンクを重視し、Yahoo!はキーワードを重視する。
  4. blogは現在のところgoogleに注目してもらうための非常に有効な方法である。
  5. 同じ内容をインターネットの方々に置くのは「デュープリケートコンテンツ」といってよくない結果を生む。
  6. 検索結果に表示して欲しくないページには<META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX, NOFOLLOW">と記述しておく。(別の方法もあり)
  7. 自分のページ宛のリンクには、リンク文字列(ホットテキスト)にキーワードを含ませるのが効果的。
  8. 過剰なSEOにはペナルティがあり、検索結果から削除されることもある。
  9. googleのホームページ探索の起点の一つにDMOZがある。
  10. googleの検索ロボットはgooglebot(グーグルボット)、Yahoo!の検索ロボットはYahooSlurp(ヤフースラープ)という名前のプログラム。
  11. 他からリンクを期待する前に、自分のサイトの構造を見直そう。
  12. 独自ドメインは上位表示にかなり有効。ディレクトリ階層が下になるほど不利。
なおこの試みの知恵の種はおおむねここ(SEO塾)で仕入れました。感謝とともに紹介します。
その後、検索順位はGoogle、Yahoo!ともに1位を保っています。

ちょうどこの4月初めを境に、Yahoo!ではそれまでのリンク関係や検索キーワードの重要度の見直しが大規模に行われたようです。私のサイトも来客数が激減しました。
Yahoo!のこの変更は、ページの歴史を重んずる態度から、より現在を重視するGoogle的なものへの変化だと感じました。
歴史が長かろうと、私のサイトのような駄文がメジャーな検索キーワードの検索トップに現れるのは何かの間違いだったろうと思うのです。

私を1位に導いたGoogleの大変動は、1月末ごろから始まっていて、長い試行錯誤の後にYahoo!と同じく4月上旬にに終了したようです。
この変動はちょうどYahoo!に起こった見直しの裏返しで、それまでは被リンク数を絶対的に重視してきたGoogleが、アンカー文字列などの文脈に対する重み付けを重視するようになったものと言えるようです。
してみると、私の「なべのさかやき」検索1位は、どこまでが自分自身の努力の結果で、どこからが検索エンジンの考え方の変更だったのかはわからずじまいになってしまったようです。

なお、今日気がついたことですが、「津山リンク集」がDMOZのディレクトリに掲載されているようです。
これは大変名誉なことですが、Googlebotは1つのページからのリンクは100までしか処理出来ないらしいので、現在600ほどあるリンク先の皆さんにはGoogle検索順位アップの恩典はない見込みです。
(05.05.23追記)

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