我が家のたまごっち騒動

-maxellの電池とPanasonicの電池-


我が家はかなり熱心なたまごっちユーザーで、現在4個のたまごっちが稼動中です。
これだけあると世話が大変!
しかし、3個目と4個目の「じんせーエンジョイ!たまごっちプラス」(略して「エンたま」)は不具合続きで、非常に困りました。
バンダイのサポート電話もこの1ヶ月間パンク状態で、同じような不具合をかかえたユーザーが多数いたのではないかと思いますので、我が家に起こった騒動と、その解決法をここに記します。

(じらさずに先に書いておきますが、正解は、「さっさと電池を交換しろ」でした。)

(訂正です。確かにダメなたまごっちはあるということを認め、またまた交換するはめになりました。)

エンたまは、昨年の夏頃から発売されていましたが、今年の1月になって供給量が増え、並ばなくても買えるようになりました。
異変が起こったのは買ってきた3日目ぐらいからでした。


突然、電池交換後のリセット時に表示されるはずの「ろーど・りせっと」という画面が表示され、たまごっちが止まってしまいました。(写真は異常時のそのときではなく、後に再現したものです。)
「ろーど」を選ぶと、とりあえず中のたまごっちは復活して、世話は続けられますが、しばらくするとまた同じ「ろーど・りせっと」の画面になります。
これを繰り返していると、突然画面が消えてしまい、中のたまごっちは失われて、また1世代目の卵から育て直しとなりました。
早速販売店に行って、同じエンたまと交換してもらいましたが、また3日ほどたつと、交換してもらった新しいたまごっちも同じ症状が現れました。そんなバナナ!

2度目の交換の時には「2度も故障した人なんていないんですけどねー。」と店員さんも訝ります。そんなこと言われたって動かんものは動かんのじゃ。

そうしているうちに、不具合のなかった方も使用開始後1週間経たずして電池交換マークが現れました。
もうお店に頼るのも限界です。

ところが、バンダイの問い合わせ窓口の電話はパンク状態です。1日中かけ続けてもつながりません。 栃木県の修理・配送センターに(商品についてのご相談は承っておりませんとホームページには書いてありますが)かけて何とか1度だけ電話がつながりました。
妻がやりとりしたので、やり取りの詳細は不明ですが、「電池は2週間から3ヶ月ぐらいは持つものとなっていますので、そんなに早く電池交換サインが出たということは本体に異常がないとは言い切れません。」ということで、またまた交換してもらうことになりました。
栃木県の「おもちゃのまち」という住所から、新しいたまごっちが届きましたが、子供は具合の悪いたまごっちを手放したがりません。

たとえ3日でも、大切に育てた友達がそこに閉じ込められているのです。
「おもちゃのまち」で誰かがこの子をかえりみてくれるのでしょうか。

送られてきた新品のたまごっちを起動し、育つのを待って不具合のたまごっちが持っている所持品を全て渡します。
それから、不具合のある方におやつをたくさん食べさせて、おなかとごきげんのメーターが一杯になるようにして、返送用のゆうパックに詰めました。
泣きじゃくる子供に、「この子達は、故障した機械に閉じ込められて病気になったから、ごっち星に送って直してもらうんだよ。」と言い聞かせて、送り出しました。

お葬式のほうがまだましです。生きた友達を何で遠くへ送り出さなければならないのでしょうか。

「おもちゃのまち」から来たたまごっちを起動して数日。

再び「ろーど・りせっと」の画面が現れました。


ここに至って、ようやく科学者のパパが立ち上がりました。
「機械に問題があるとすれば全ての人が同じトラブルに遭遇するはずだがそうではない。問題は電池にあるに違いない。」
ひとまず、電池を交換して様子を見ることにしました。

2度目の不具合のときも電池を交換したのですが、その結果を見る前に(新品の電池を装着したまま)たまごっちは栃木県へ送られてしまったので、原因はわからずじまいでした。
ここはぐっとこらえて結果を見守りましょう。

と、いつまでたっても不具合は起こりません。

やはり、原因は最初から装着されていたテスト用電池にあったようです。

取り外した電池はmaxellの電池で、2つとも「5Y」と印字してあります。
電池に問題があるとしたら、ひょっとしてこの「5Y」は、使用期限が2005年11月であることを表しているのではないだろうか。
そう考えた私は、(もはや連絡も取れないバンダイを相手にすることをやめて)今度はmaxellに問い合わせのメールを送ってみることにしました。

日立マクセルからのメールはすぐにやってきました。
電池に印字されている「5Y」は、電池の製造年月日を表し、2005年11月製造という意味だそうです。この場合、使用期限は2010年11月になります。バンダイさん、疑ってすまなんだ。
また、電池の現物を持っている場合は、工場(研究所?)に送れば電池の状態を調査してくださるそうで、その住所も書き添えてありました。本当に丁寧な対応です。

早速電池を送りました。
しかしまた、もうひとつ気づいたことがあります。
今年の冬は記録的な寒さでしたが、我が家のたまごっち達も夜は0℃近くまで冷えるリビングに眠っています。日中だってそう暖かいところにあるわけではありません。
この異常な寒波、そして暖房費をケチる我が家にたまごっちのトラブルが続出したのは(そして他の家ではそれほどでもないのは)、寒波が電池に悪影響を与えたからではなかったのでしょうか。
ちなみに、たまたま買ってきた電池はPanasonicの電池です。

調べてみると、同じ電池(CR2032)にもメーカーによって個性があります。使用温度範囲はmaxellの「CR2032 H」が−20℃〜85℃であり、Panasonicの「CR2032P」が−30℃〜60℃となっています。どうやらPanasonicの電池のほうがより寒冷地向きだったようです。
さらに調べていくとこんなグラフが出てきました。
maxellのCR2032Hの温度特性 出典 PanasonicのCR2032Pの温度特性 出典

たまごっちに初めから入っているmaxellの電池は、0℃近辺では初めから2.8V程度しか電圧がないようです。(なんか作られたグラフっぽいですが)
これに対してPanasonicの電池は、グラフに0℃の線がありませんが、2.9V以上は確実のようです。

そろそろ、私なりの結論が見えてきました。 この三者の要素が複合して、「我が家のエンたまは使用開始3日目に電池交換の警告なしに停止する。」という現象が繰り返し起こったと推定されます。
と、いうことは、ここんところ多少暖かくなってきたので不具合のたまごっちも激減したということでしょうか。

一昨日(2月23日)になって、maxellから電池の検査結果が届きました。
もとより「エンたま」の不具合の原因を追究するため、問題の切り分けがしたいのでmaxellに対する苦情ではないということをお断りした上で検査をお願いしたものです。
さて、結果は(以下は抜粋です。表現は変えてあります。)
外観
異常なし(写真入り)

電気特性及び寸法
開路電圧が若干低下していたものの標準値内の値を示していたので電池としてはまだ容量が残っているものと判断される。
また、閉路電圧、寸法等についても標準値内の値を示していた。(測定値一覧あり)

分解調査
分解調査の結果、内部状態に異常は認められず正常に組み立てられたものであった。

考察
電池は正常品と判断される。
開路電圧が若干低下していたことから玩具に装着されて放電されたか、取り扱いや実装時の外部ショートの可能性が考えられる。(3日ほど使っていますからね)
別の玩具で新品電池でも再現し、2〜3日で使えなくなるとのことなので、玩具側の消費電流の大きいモードに入ったことで使用できなくなった可能性が考えられる。

小さな製品について、自社製品の欠陥でないことを承知した上でここまで丁寧に対応してくださるとは、立派な会社です。
ただし、これは「当該製品は設計仕様どおりに製造された当社の標準的な製品です」という確認であって、0℃近辺で、比較的消費電力の多い玩具に装着されて連続運転をした場合に耐えられるかという検証はなされていません。つまりは、全てのエンたまと全てのmaxell製CR2032Hの組み合わせで同じことが起こってもおかしくはないということがほぼ立証されたと思われます。

たまたま同じ日に、バンダイの相談センターに電話がつながって、妻がバンダイ側の言い分を聞いていました。
と、いうことで、この1ヶ月ほどの苦情の嵐に学んで、応対マニュアルが出来上がっている様子が伺えました。

結局、エンたまに入っている新品のmaxellの電池を捨てて、100円ショップで売っているmaxellの電池ではなく、おもちゃ屋やスーパーののレジの横で250円ほどで売っているPanasonicの電池に交換するという対応が正解だったようです。
丁寧な対応をしてくださった日立マクセルさんには申し訳ありませんが、寒冷地であるウチに限ってはそういうことのようです。

記録的な寒さだった今年の冬が引き起こしたトラブルは、水ぬるむ春の到来とともに自然解消に向かうはずですが、バンダイさんが電池の特性についてもう少し慎重な検討をしていたなら、無辜のたまごっちが非業の死を遂げることもなかったのではないかと思います。

このレポートを書いてその後、約1ヶ月は交換してもらったたまごっちは無事に動作していました。
しかし、水ぬるむ春になっても、Panasonicの電池に替えても、やっぱり1ヶ月で電池が済んでしまい、電池交換サインが出てしまいました。調べてみると確かに電池の容量を使い切っています。これは危険です。

やっぱり異常に消費電力の多いたまごっちは実在するということでしょう。しかも我が家にそれが当たったのは4個目です!
バンダイの側も、使用期間がある程度長いけれども、こんなに速く電池が消耗してしまうのは異常と思われるので交換してくださいとのことでした。

そしてまた、お葬式より辛いたまごっちの旅立ちです。

と、いうことで、我が家のたまごっち騒動は、たまごっち側に主要因(消費電力が多い異常)があって、電池側に副要因(極寒時に電圧が不足する)があったということに決まりました。
(06.04.01)
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