ポケット・ブラック・ライト

-紫外線LEDで遊ぶ-


子供の学習教材に、半年ほど前、こんなものが付いて来ました。

問題集に蛍光インクで答えを印刷しておいて、答えを書かせた後このライトで照らすと正解が浮かび上がるというカラクリです。

昔はブラックライトって高くて取り扱いにくいものだったのに、子供の雑誌の付録に付くようになったんだ。と感心した私は、自分用ポケット・ブラック・ライトが欲しくなってきました。
秋月電子と若松通商の通販を探したらどちらにも紫外線LEDがありました。一方が100円、一方が300円ぐらいでしたが、あえて高い方を選んでみました。結局どっちでも効果は同じだったように思われます。
これを100円ショップでテキトーに買ってきたLED懐中電灯のLEDと交換してしまえば、実費400円ほどでポケット・ブラック・ライトは完成です。
ただし、テキトーにとは言いましたが、もとのLEDが白か青に発光するものを選ぶのがいいと思います。
これらは中に電池が2個組とか4個組で入っていて、電圧が高くなっています。赤色に発光するタイプのものは電池の電圧が低くてうまくいかない可能性があります。
また、金属製の筒のものはどうしても開け方がわからなかったので私は挫折しました。

上記のポケット・ブラック・ライトを製作して2ヶ月後、100円ショップのダイソーで、私の意図していた以上のものを見つけました。
無色の蛍光ペンで、キャップがブラックライトになっていて、書いただけでは見えないものが、LEDで照らすと浮かび上がって見えます。
秘密の手紙を書くのにすばらしい効果を発揮することでしょう。……大人になってそんな必要に迫られたことはありませんが。

さて、私がなぜこんなものを欲しがるのか。
それは第一に、身の回りの環境や体に優しくない(疑いがある)ものをチェックすることができるからです。

論より証拠、夜中の室内をこのブラックライトで照らしてみれば、意外なものが白く光り、もともと白いものは光らないという現象を目にすることができます。
まず、シャツやタオル、ハンカチなど、単に洗ったから白いのだろうと思われているものは、紫外線を受けて派手に光ります。
蛍光染料が生地に含まれている場合と、洗剤に含まれている場合が考えられますが、我が家の場合、多くは洗剤由来のものだろうと思います。これらはきれいに洗えたから白いのではなく、日光の中の紫外線を受けて、実際以上に白く光るように(黄ばみを隠すように)蛍光染料を混ぜられているのです。
結果がよければたいてい許す私でも、これは度が過ぎればいらぬお節介と考えます。

同様に、普通に白い材料で出来ているのだろうと思っていたもの、例えばぬいぐるみ、毛布、紙(上質紙)、壁紙なども蛍光物質を含んでいます。蛍光物質による色のごまかしは生活用品の相当な割合で行われています。

それから、プラスチック製の子供のおもちゃも紫外線を当てるとすばらしく光ります。
決して「蛍光=悪」とまでは言いませんが、せめて口に運ぶものぐらいは蛍光物質の混入を避けて欲しいものです。

なお、環境保護に熱心な方々に、ブラックライトで歯を照らしたら光るのは、歯磨き粉に蛍光塗料が含まれているからだと教わりましたが、何日も磨いてない歯が光る上、歯磨き粉自身は光らないので、これはガセビアのようです。人体のうち歯と爪は自然の状態で蛍光を発します。

私がブラックライトを欲しがった理由の第2が、第1の理由と似てはいますが、普段見えないもう一つの景色を見ることが出来るということでしょう。
当然光ると思われるのが蛍光灯、それからテレビのブラウン管、ただしどちらも白いシャツほどには光りません。
意外と光るのが前出の歯、それから爪が黄色く光って見えるのはなぜでしょうか?ひょっとして汚れ?
ビーズやスーパーボール、本などは、いかにも蛍光を発しそうなものが光らなかったり、まばゆいばかりに光るものがあったりと、白色光と紫外線の対比が面白いです。

子供は一般に懐中電灯を持っての探検が好きですが、ブラックライトの懐中電灯を持って家中を探検したら、大人でももう一度童心に戻ることが出来るのではないでしょうか。(いつまでも童心なのは私だけ?)

いい大人がブラックライト片手に、夜中の自宅を探検しているうちに、ネット上(こちら)で新しい情報を見つけました。
「チョコラBBを飲んだあとのオシッコは、ブラックライトで照らすと光る。」そうです。

早速、薬局に走ってチョコラBBを買ってきました。
通常1錠のところを2錠飲んで、しばらくしたら、

・・・これまでにも紫外線をあてると光るものをいろいろ見てきましたが、これはすばらしく美しく光ります。
もとは「トリビアの泉」で「リアルゴールドはブラックライトを当てると光る」というネタが出たところから来ています。
リアルゴールドやチョコラBBに含まれるビタミンB2は紫外線を吸収し可視光線を発するのでブラックライトで光るわけです。

これは面白い!暇なオヤヂは、朝夕2回チョコラBBを欠かさず飲んで、トイレに行くたびにブラックライトを持っていったのでした。
これは最近「科学と技術と男と女」で話題となったオシッコの飛沫を可視化する装置に他なりません。
なお、ビタミンB2ばかりでなく、「尿酸」も蛍光を発するので、今飛散したばかりのオシッコの飛沫ばかりではなく、普段オシッコの飛沫がこびりついては乾燥するところもまた蛍光を発します。

・・・私がどんな事象を観察したか、ここでは多くは述べずにおきましょう。

ブラックライトによって、様々な事象を可視化することは、昔から知られていた技術、ちょっと気のきいた科学遊びです。
しかし、その鍵となるライトが100円ショップで売られていて、いつでも誰でもポケットに携帯できるということは、遊びの幅に革命的な進歩を与えるのではないかと思います。
いえいえ、ただの遊びではありません。こうした経験を重ねることによって、何かの得があるかもしれません。科学の進歩もそこから生まれるかもしれません。
生活から無用の蛍光物質をそっと排除したり、トイレを念入りに掃除するべきポイントがわかったり、虫歯を見つけたり、偽札が見破れたり、ちょっと友人を感心させる(引かせることもある)小ネタを提供したり。・・・
ぜひ一度お試しあれ。

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