危険な時差式信号

-月曜恒例どうにかならぬか-


写真は、津山市内のイーストランド前の信号です。
この信号と、その東隣の信号は、市内でも最も事故の多い交差点として例年交通事故ワースト地点に数えられています。
もう2年程前になりますが、この信号に通りかかって、この信号の危険性を身をもって体験したので、その危険性をレポートしてみます。

私がこの信号に差し掛かったのは、日中の仕事中でした。
国道53号線を東向きこの信号にやってきて、右折で南に曲がろうとしました。
しかし、交通量が多いため、なかなか右折できません。後ろにはいくらか直進したい車が並んでいます。
そのうち目の前の信号が赤になり、やれやれ右折の機会がめぐってきたと私は思いました。
対向車線にはオレンジ色の神姫バスがあまり速くない速度でこちらにやって来ているのは確認していました。
よし、赤になって数秒たったからバスは止まる。
と、そう判断してダッシュをかけたら、バスはスピードを緩めずに私の車の横腹をめがけて突進してきました。
間一髪バスの直前を横断しきれたからよいようなものの、あやうく大事故になって命までも失うところでした。いえ、バスの運転手や乗客に迷惑をかけたのかもしれません。

ふりかえって考えれば、ここは「時差式信号」です。
右折の流れをよくするために右折待ちが生じる方の青を長く設定してあって、右折待ちの滞留による渋滞を防ぐ工夫です。
時差式信号は通常三差路に設置してあって、枝道が右折になる側の青が長く、枝道に左折で入る側が早めに赤になるように設定してあります。
しかし、ここは四差路です。いったいどっちの青が長く設定してあるのでしょう?
私の失敗は、「その信号を熟知していなかった」ことが落ち度であるということのようです。
そんな馬鹿な!「その信号を熟知していない」ことを理由に命をとられるほど危険な目にあう信号を安全のための施設と認めることは出来ません。
どう考えても四差路に時差式信号を作るべきではないのです。
今日ばかりは、面白半分の路上観察日記じゃありません。私は偶然助かったが、ほんまに命をとられた人がいるんじゃないかと、今後も危険な目にあう人がいるんじゃないかと、全力の抗議です。(って、ここに書いておくだけでよいのか>俺)

次に、なぜこの信号が時差式であるのか、なぜ西向きの青が長いのか検証してみましょう。
津山市の交通事情を概観すると、ハシゴを横に倒した形に似ていて、北の産業道路と南の国道53号線を幹線とし、東西の交通に不便はありません。
ところがこの2つの幹線の間を連絡する南北連絡道路が貧弱で、人々が無理して通る間道を含めても4−5本しか連絡道路はありません。
さらに、北の幹線の北側には住宅地が広がり、南の幹線の南側には主要な工業団地がいくつか(勝央、金井、及び川崎)立地しているために、問題は一層ややこしくなっています。

この交差点の細い方のわき道は、奴通り、鶴山通りに次ぐ第3番目の南北連絡道路の出口にあたっており、道の規模の割に異常に交通量が多くなっています。
そのことに配慮してか、この四差路では、細い方の脇道に入る右折を優先するように時差式信号が設定してあるのです。

近い将来、天神橋付近の国道53号線とコープ林田付近の産業道路を結ぶ連絡道路が完成する見込みです。
それを機に、ここを時差式でなく右折矢印式の信号機(あるいは普通の信号機)に改良すれば、渋滞をさほど悪化させることなく危険な状態を解消することが出来るのではないでしょうか。

さて、岡山県のホームページに「マルチメディア目安箱」というのがあり、平成14年9月のところにこんな質疑応答が掲載されていました。
○ 柳町2丁目交差点の信号について
(問)
 岡山駅方面からイトーヨーカドーへ行く場合、柳町2丁目交差点を右折するが、この交差点の信号機が時差式でないため、イトーヨーカドーに行く車で渋滞する。
 当該信号機を時差式に改良できないか。
(答)
 ご指摘の信号機は、イトーヨーカドー前の柳町二丁目交差点の信号機と思われますので、これについて回答いたします。
 まず、時差式信号機とする場合の一般論から説明いたしますと、通常の十字路交差点では 北行きより南行きの青を長くする時差式信号機とした場合、早く赤になる北行き方向側車両の右折が困難となることから、三差路を除き現在は新たに実施していません。
 したがって、十字路の柳町二丁目交差点で実施するとすれば、南北方向の青信号の後、時差ではなく、右折矢印とすることになりますが、イトーヨーカドー等の夜間の閉店時間帯には、駐車場へ至る通路が閉鎖されて南行き右折ができなくなりますし、大変交通量の多い南・北方向へ直進する車両にとっては青時間の短縮となり、渋滞の原因となることなどから、いずれの方法も採用できないのです。
 もちろん、これも交通の変化によっては柔軟に対応していくこととしておりますので、ご理解いただきますようお願いします。(警察本部)
これを読むと、県警本部はかなり以前から四差路に時差式信号を設置することを不適切と認識していることがわかります。
命の危険にさらされた者にとっては「右折が困難」では片付けられない問題ですので、ぜひとも「交通の変化によって」「柔軟に」対応していただきたいものです。

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