続・スローライフな1日

-DE50とスローライフ列車-


今日は津山駅のDE50と転車台の見学に行き、そして「みまさかスローライフ列車」に乗ってきました。

見学はこれまでにも数回行われていたのですが、私はこれが最初の参加になります。
今年から展示スペースが充実しており、鉄道ファンにはかなりの人気がある見学だと思われます。
もちろん、一般の人にとってもこの独特なレトロな雰囲気は一見の価値ありと思っています。
使用済みブレーキパッドはお持ち帰り可

駅長さんの案内で構内に入ると、まず目に入るのは錆びた鉄塊の山です。これは使用済みのブレーキパッドらしく、今日は欲しい人は持ち帰ってよいという話でした。(今後はどうか知りませんが)横に使用前のブレーキパッドがあるのですが、数センチも磨り減っています。あまり強くブレーキをかけると車輪の方も減ってしまうとの話でした。

「最大最強にして唯一の」

扇形車庫の中のDE50は、好きなようにさわったり、登ったり、乗ったりすることが許可されました。観光キャンペーンの話がなかったら、今年には解体される運命であったという話です。
運転席の脇にはタブレットキャッチャーが付いていました。これはタブレット閉塞の時代が終わるとともに機関車から取り外されてしまったはずのものですから、休車・廃車のままで長年過ごしてきたこの車輌にだけ残っているのはある意味当然です。
最大最強エンジンを積んだ最新鋭車両、しかし時代の波に乗れず消え行くもの。それは国鉄の残した戦艦大和だったのでしょうか。

いまにも発進しそうなDE50の姿

転車台をグルリと一周させて、DE50の格納されている線に向けて止めました。
日本最大規模の旭川の扇形車庫は、再開発事業によって取り壊されるという話ですから、近い将来ここが日本で第2位、現役使用中では最大の扇形車庫ということになります。

ここならではの構図

私なりに気に入っている、扇形車庫ならではの構図です。
手前から1本目の線と2本目の線の間に転がっている鉄棒は、どうやら手動で転車台を回す時のための梃子のように思われます。

閉塞機は実働可能…

展示施設では閉塞システムが実働可能な状態で展示されていました。
昔、駅で聞いていた「チン・チン・チン」と鳴っていた電信の音の意味がやっとわかりました。
OBの方が「これの操作を誤ると列車の運行に支障が出るので、非常に気をつけて操作していました」と説明して実演されたのですが、機械に規定の真鍮版がセットされていなくて苦笑い。

キハ65・キハ58が目覚める

非常にゆっくりとした見学時間ですから、皆は思い思いの構図で写真を撮ったり、心に留まったものをじっくりと見学しています。
と、留置されていたスローライフ列車がエンジンを始動してモクモクと煙を吐き始めました。
普段はこれほど煙を吐いたりしないはずですが、ちょっとサービス精神を発揮という感じです。

運転台の様子(美作滝尾駅にて)

午後はスローライフ列車でスローな旅です。
一緒に旅をしてきた息子は、そのスローさ加減に飽きて、一時はゲーム機を取り出して遊んでいたのですが、美作滝尾駅のあたりから車窓の景色に引き込まれ、旅人の顔つきになってきました。

津山の名所紹介と四国の路線図

沿線には、延べ人数で言えば乗客より多いのではないかという数のカメラマンが繰り出しています。
これはJR四国の車輌をJR西日本で走らせるという、ある意味椿事であって、懐かしい風景であるという以上に鉄道ファンを呼び寄せたのではないかと思われます。
キハ58 293とキハ65 34というこの編成は、普段は予讃線で普通列車として運行されている有名な組み合わせのようです。

因美線のライバル智頭急行

智頭駅には因美線のライバル智頭急行が待っていました。
電化された新線と、今走ってきた山岳非電化路線では比べるべくもないのでしょうが、それにしても因美線は「これって走って追いつけるよな」と思うような速度制限のところが結構あります。
その代わり落石のおそれのないトンネルの中はめちゃめちゃ飛ばしていたのが印象的でした。

松ボウキ橋梁から鉄道マニアを望む

乗客より沿線のカメラマンの方が多いのは、この列車があまりにスローなため、撮影しても車ですぐに追いつけるためです。
カメラマンがトンネルの手前などの避ける余地もないところで待っている場合、妨害を受けているのかサービスなのかわからないぐらい、一層スローで走ります。
一方、乗客は鉄道ファンが半分、もう半分は「珍しいから乗ってみよ」というノリのおっちゃん・おばちゃんが多いようです。
1日乗っていて、たしかにいいショットを撮るにはその列車に乗っていてはダメだと悟りましたが、そこはそれ、「スローライフ列車」ですから、目的なく・スピードなく・ナイスショットなく、あくせくせずに1日を過ごせという極意なのだろうと思いました。

11月9日から11日までの3日間、スローライフ列車が運行されたので、今度は家族連れで乗りに行ってみました。
今度の編成はキハ58 563と、キハ28 2329、おや?春の編成と違っています。
非常に塗装がきれいで、ドアの近くに「岡オカ」と書いてあります。
砂丘ではありませんが。都城駅のゴミ箱

これは元々「急行みよし」に使われていた車両でしたが、7月1日のダイヤ改正で「みよし」が廃止されてしまったので、スローライフ列車にするために塗装しなおしたようです。岡山電車区に移管されているようです。津山の宝がまた増えたということでしょうか。
なお、上の写真の車名表示板はこの列車に乗るために発売されている切符です。きっとこういうイタズラを想定して作ってあるのでしょう。
これは津山線・因美線フリー切符で、列車自体は予約なしに普通切符で乗れます。私は車掌さんに車補を作ってもらいましたのでこのイタズラの主ではありません。
車内には都城駅の名前が入ったゴミ箱があったので、想像以上に数奇な運命をたどってきた車両なのでしょう。
列車全景・美作加茂駅にて

(07.11.10追記)
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