連続放火犯を推理する

-素人プロファイリングはこうだ!-


昨日の早朝、「大谷で火事だって。消防団で行かんといけんの?」とたたき起こされました。
大谷は私の分団の担当地区外なので出動の必要はまずありませんが、誰もが「またか」と思うような火事でした。

市街地南部では今年の春からこんな不審火が相次いでおり、10件以上を数えます。 今朝の山陽新聞の記事、それから手元の記録から最近の類似の火事をリストアップしてみるとこうです。
14月20日元寮
24月28日大師堂
35月2日長法寺
45月3日八出天満宮
55月11日空き家
65月19日元学生寮
77月9日古倒木
87月12日木材
99月7日空き家
109月21日倉庫
1110月17日福南公民館
1211月15日吉田楽器倉庫
1312月1日大谷公会堂

地元では、警戒に駆り出されたり不審者の情報に気をとがらせるなど、不安と疑心暗鬼の日々が続いています。

私としても微力ながら、この見えない犯人に反攻の狼煙を上げてみましょう。
(といってここに意見を述べるのが何ほどの役に立つのか、はナゾですが。)

まず、みんなが「またか」と思うのは、この連続放火にかなりはっきりしたパターンがあるためです。
それはまず、現住建造物を狙わず、空き家・祠・神社・資材など無人の物件を狙っているということです。
次に、事件は深夜か早朝に多いということです。

上の情報に、時刻と曜日を重ね合わせてみるとこうなります。
情報はおおむねつやま災害情報メールシステムから届いたメールによっています。
 日付曜日時刻場所
14月20日12時10分元寮
24月28日04時41分大師堂
35月2日05時45分長法寺
45月3日03時07分八出天満宮
55月11日19時40分空き家
65月19日05時03分元学生寮
77月9日23時45分古倒木
87月12日02時47分木材
99月7日23時53分空き家
109月21日02時12分倉庫
1110月17日20時59分福南公民館
1211月15日01時59分吉田楽器倉庫
1312月1日05時22分大谷公会堂

こうしてみると、一部を除きみごとに週末・週明けの夜間・早朝に集中しています。
そこで夏ごろには「ははあ、犯人は仕事か学校にストレスを持つ者じゃないだろうか」という想像がつき始めたのです。
そこにきて7月中旬からピタリと放火事件がおさまります。そして9月に入ってまた放火事件が起こり始めたところで、「学校が夏休みの間には事件はなかった」というところに私は着目しました。

要は「学生かなあ?」というだけですが、理屈っぽく突き詰めると次のようなまとめが出来ると思われます。
  1. 犯人は仕事か学校にストレスがある者である。曜日に関係のない生活をしている者の可能性は相当に低い。
  2. 学生か、有職者か、という点ではどちらかというと学生である可能性が高い。
  3. 犯人は原付バイクか、せいぜい自転車程度の行動力を持つ者である。自動車を使用している可能性は低い。
  4. 犯人は地元の地理や状況に精通している者である。地元に住み、被害物件の無防備さを平生から熟知していることはほぼ間違いない。
  5. 若いということで付け加えれば、大人なら神仏や公共財に放火することの罪深さを身にしみて知っているのではないか?
連続犯罪というのは、繰り返しエスカレートするごとにこうして犯人の姿を浮き彫りにしていくものです。
火災現場に消防団として出動すると、警察の人は必ずカメラを持っていて写真を撮りまくっているのを見ますが、注意して見ると被害状況や証拠になりそうなものだけでなく、野次馬を含めた周囲の人物を多数カメラに収めていることがわかります。
複数の事件に共通して登場する人物、そうした形でも犯人検挙の材料は着実に積み重ねられていると思われます。

連続放火犯の検挙に本稿が一助となることはあまり考えられませんが、私もまたこの卑劣な犯罪にかなり憤っています。
早く事件が解決して地元に平穏が戻ってくることを願っています。

その後、一連の連続放火と思われる案件は12月29日22時27分と12月30日21時04分に津山駅近くで起こりました。
いずれも消防団が年末夜警を行っている最中です。
このタイミングはわざと警戒中を狙ったものでしょうか。それともハリキリ過ぎた消防団員が犯人なのでしょうか?
全国的にはそういう事件もありましたが、地元の消防団としては高齢化と人手不足でハリキリ過ぎるなんて冗談じゃないという状況です。
(09.02.14追記)
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