どちらがあさのでどちらがきしだ

-究極超人あ〜るの残した謎-


ゆうきまさみ先生の「究極超人あ〜る」は、私の大好きなマンガです。
昭和末期の高校生の感覚を巧みにとらえ、この作品をきっかけに私も銀塩写真の世界に踏み込んでしまった、私の若かりし頃を象徴する作品でした。


この作品中の光画部員の中に、そんなに部員が多いわけではないのに名前を呼ばれたことのない部員がいます。作者も意図的に名前を出さなかったように読めるのですが、ついに名前がわからないまま連載が終了してしまいました。

もっとも、どちらかが「あさの」でどちらかが「きしだ」だというヒントはありました。


最近になって「どちらがあさのでどちらかきしだ?」という20年来の謎の答えをWikipediaほかネット上の情報で見つけたので、ここに証拠調べをしてみたいと思います。


まず、OVAを見ていると、どちらが「あさの」でどちらが「きしだ」なのか、声優がいるので決まっていることはわかります。私はなんとLDでこのOVAを持っていますが、テロップで声優が出てきます。(画像はCD『KYUKYOKUCHOJIN "R" BOX』のキャスト)
「あさの」の声優は伊崎寿克、「きしだ」の声優が長谷有洋となっていますが、その他のアニメにうとい私は、わかる人にはわかっているんだろうなあということまでしかわからずに長年月を過ごしていました。

正解のカギは、先ほどの「あさのときしだはどーした。」の2ページ後にありました。
曲垣が「きしださんに借りました。」と言って持っているカメラがあさののカメラではない。と言うのが答えであったようです。


ええっ?たったそれだけ?
確かにあさののカメラはCanon AE−1です。
曲垣の手のカメラがAE−1でないことも明らかです。
メカ描写がお家芸のゆうきまさみ先生ならではの謎かけでした。


きしだがカメラを持っている姿はコミック1巻に1度だけ出てきます。Wikipediaには「ペンタックスの何かかオリンパスOM10」とされていますが、ニコンFEあたりのようにも見えます。ペンタックスMEスーパー等でもおかしくはありません。


長身の曲垣が持っているとOM10みたいに小さく見えてしまいますが、1巻の絵ではオリンパスらしくない大きさです。少なくともOM10ではないだろうと思います。

このお話に出てくる時代のカメラはオートフォーカスもプログラムAEも装備していませんでしたが、それだからこそ撮れる写真というものがありました。
銀塩写真を駆逐してしまったデジカメですが、その便利さと撮影枚数ゆえに何かを失った気がします。
フィルムの1コマずつを惜しみ、単焦点のレンズでアングルを決め、光を読み、シャッター速度と絞りを決め、被写界深度を気にしながらピント合わせ、緊張して撮る1枚の味と言うのは、近年のデジカメに慣れた人ではなかなか到達できない境地ではないかと思います。

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