通勤怪速への道(その12)

-タイヤ交換の秘訣-


C90フランケン号のタイヤは、リアに2年ほど前からブロックパターンっぽいミシュランのM62を履いていましたが、このほどかなり減ってきたので地味でカブに似合うパターンのM35に履き替えることにしました。
カブのタイヤには私はミシュランが好きで、代々ミシュランのタイヤを履かせています。
カブにサイドの硬いミシュランを自分で取り付けるのは かなり困難で、以前は取り付けたはいいけどチューブに穴が開いていて、もう一度外してパッチを貼ってもまた穴が開いていて、結局半日を費やしてようやく作業を終えるといったことが当たり前でした。

何度もタイヤ交換をしていると、さすがに熟練するもので、最近になって失敗せずにタイヤを履かせることができるようになりました。
バイク屋さんにとっては常識のことばかりかもしれませんが、今日はタイヤ交換を失敗しないいくつかの秘訣を紹介してみましょう。

@ちゃんとした工具を選ぶこと
まず、作業を順調に進めるにはちゃんとした工具を選ぶことが大切です。


DAYTONA デイトナ /タイヤレバー
DAYTONA デイトナ /タイヤレバー
マルニ工業  /ビードワックス40g
マルニ工業 /ビードワックス40g
この写真で、柄の赤いタイヤレバー(デイトナ)は少々値段が張りますがかなりスグレモノです。これ1本では作業が進みませんから、左寄り3本の自転車用タイヤレバーを補助的に使っています。
写真右端のタイヤレバーは頑丈なのがとりえですがカブのホイールとは反りが合わずあまり作業の役には立ちませんでした。
そして重宝するのが写真右寄りに写っているビードワックスです。これを惜しげもなくたっぷりと塗るとビードを落とし込む作業が劇的に楽になります。

さて、カブの構造のうちで、妙にハイクオリティを感じるのはここです。


カブのタイヤを交換する際は、タイヤとブレーキだけ取り外せばよく、チェーンを外す必要はありません。
車軸が貫通しているので片持ちサスというわけではありませんが、チェーン周りを何もかも外してしまうと組みなおして調整するのが大変面倒ですから、ありがたい工夫です。
ただしハブとタイヤを分離したり組み付けたりするのは引っ掛かりが多く、多少面倒です。
なお、このハブのホイール側にハブダンパーというゴムの部品がついていますが、長く乗っているとへたっていたり磨耗していたりしますから、たまには交換してやりましょう。(今回は準備していましたが交換の必要はありませんでした)

Aチューブの形を整える
何度もタイヤ交換・パンク修理を失敗していて、ついに気がついたことがあります。
新品のチューブは口金が邪魔にならないように折りたたまれていますが、この折りたたみ方が、さりげなくタイヤ交換の大きな障害になっていたのです。


新品のチューブは上の写真のように穴あき座布団のようなペタンコの形に空気を抜いて折りたたまれていますが、これをタイヤに押し込む際によじれたり、リムとビードに挟み込まれたり、タイヤレバーで引っ掛けたりしてあらゆるトラブルの元になります。
特にタフアップチューブの場合、チューブがよじれたまま組み込んでしまうと二層構造のチューブに封入された液体の中の繊維質が固まってしまって、内部で思わぬことになっている場合があります。

これらのトラブルを避けるには、新品のチューブはそのまま組み込むのに適した形ではない。ということを知っておくだけで十分です。 要するに組み込むのに適した形に直してやればいいのです。


上の写真のように穴あき座布団状のチューブの側面を手で引っ張って扁平タイヤ状のペタンコに直してやります。
それだけです。

これをタイヤに収めるときは、タイヤの一番軽い点に印がつけてありますから、チューブの口金が印に合うように収めてやります。


写真がピンボケで失礼。チューブの整形により、タイヤの内面にチューブがぴったりと寄り添い、その後の作業に全く邪魔にならなくなります。

Bビードワックスを惜しげなく使う
タイヤ交換の秘訣の最後は、ビードワックスを惜しげもなく塗りたくることです。


またまた写真がピンボケでした。
かつてビードワックスの存在を知らなかったころは、タイヤを組み付けても偏ってついてしまい、がんばっても直らないのでそのまま使ったり、タイヤレバーで力任せに作業してチューブを傷つけたりしていましたが、ビードワックスをたっぷり使うことで多くのトラブルを避けることができます。
いよいよ組み付けですが、上記@ABの秘訣を守っていたら力はいりますがあまり困難はありません。タイヤレバーを抜くときには斜めにしてチューブにできるだけ触れないように作業しましょう。

タイヤを組み付けたら、空気を入れる前に地面に押し当てて左右のビードの噛みこみ具合をそろえましょう。有効かどうかわかりませんが、チューブがタイヤとリムの間に噛み込んでいてもこの作業で外れるのではないかと思っています。

M35はタイヤの断面が真円に近く、M45やM62のタイヤ断面は扁平(大げさに言うとイチョウの葉のような形)になっていて接地面積を稼いでいるように見えます。


MICHELIN ミシュラン/M35 [エム35]
MICHELIN /M35
2.50-17カブ90純正幅
MICHELIN ミシュラン/M35 [エム35]
MICHELIN /M35
2.25-17カブ50純正幅
この違いは乗り味に結構影響があり、M35は直進安定性が少なく、倒しこむとペタンと深くまで倒れてしまい、切り返しがクイックですが、M45とM62は倒しこみにやや抵抗があり、コーナリング中に直進に戻ろうとする力を感じます。直進安定性やトラクションに重きを置いている感じです。

カタログや値段を見るとM45やM62の方がスポーツライクでM35は業務用の感じがしますが、私は峠を攻めることにかなり重きを置いていますからスパッと倒れこむM35の乗り味の方を好んでいます。
倒しこんだときのグリップはどうよという疑念もありますが、カブはある程度倒すとレッグシールドかセンタースタンドが接地してしまうため、深いアングルのままでコーナリングすることがあり得ないので問題を感じたことはありません。


2年前にモデルチェンジした新旧のM35を比べてみると、新しいM35には細いw字形をした溝が追加されており、パターンによってグリップを稼ぐ性質が強化されているようです。
なお、カブ50に2.50-17のタイヤをつけることは可能で、取り付けても特に支障はありません。また、カブ70は前2.25-17、後2.50-17が純正となっています。
M35の欠点は価格がそれなりに高い、ビードが硬くて交換しにくいというところでしょうか、ビードが硬いのが今回の記事を書くそもそものきっかけになったわけですが、少なくとも私にとっては一番お気に入りのタイヤです。

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