木剣を作る

-常にクリエイティブでありたい-


私のこのページにおける主義主張は、あえて言ってしまえば、常にクリエイティブであれ、面白いことは自分で作り出せ、出来るなら自分の手で具体的なモノを生み出せ。決して人の作ったものをカネで買ってきて自慢するな。モノでも情報でも単なる消費者になるな。というところですが、今日はこのところ凝っているモノ作りを紹介します。

小学校の4年生のころだと記憶していますが、近所の子どもたちの間で木刀作りが流行っていました。
河川敷に生えている柳などの枝を切ってきて、せっせと削って木刀を作るのです。
上級生は上手に樹皮を剥いて、仕込み刀のように鞘まで作りこんだ木刀を作っていましたが、私はそれほどの技量はありませんでしたから、この程度の木刀しか作れませんでした。
桜の木でできていて、刃渡り28.5cmと貧弱ですが、今にして思えばなかなか上出来な刀でした。
これが私の木剣作りの原体験でした。

次は剣ではありません。
これは12−3年前に「おじゃる丸」を見ていたら、おじゃるが手にしている笏が欲しくなって、売っていないので自分で作ったものです。
製作手順は、
DIYショップで手ごろな材木を買ってくる。(木目に注意して材を選ぶのがコツです。)
のこぎりで斜め部分を切り落とす。
カッターナイフで形を整える。
サンドペーパーで仕上げる。
(ピンク色に着色する。)
です。
着色バージョンもありましたが、無着色のほうが手元に残っています。

神主さんが持っている本物より分厚くて重いので、これは棍棒と呼ぶにふさわしいかもしれません。ノリツッコミに使ってはいけません。
私が子どものころは世間にはDIYショップさえありませんでしたから、木刀を作るときには河川敷に材料調達に行く必要があったわけですが、笏を作りながら、こりゃ便利な時代になったものだと思ったものです。

次は5年ほど前、山小屋で退屈していたとき、小屋に落ちていた板切れを、刈り込み鋏の刃で削って作った木刀です。
これは材料も適当、作り方も行き当たりばったりの、まさに退屈の産物でしたが、「木刀って、自分で作れるんだ。」という実感を感じた一品です。

これを作ったところ、我が家の子どもにウケたので、子供用にももっといい木刀を作ることにしました。

これは1本100円ぐらいの材木で2本作って、1本300円で我が家の子どもに売りつけました。
こらこらお父さん、そりゃワイルドがすぎませんか。
子どもたちはチャンバラに使ったりせず、家の宝として保存してくれています。

こんどは昨年の話になります。
子どもがゲームばかりして、モノ作りはおろか外で遊ぶなんてことがめっきり減っていると思うので、お父さんはまた、「自分の手で具体的なモノを生み出せ。」という主義主張を体現するために、今度は剣を作ることにしました。
剣としては私の第1作ですが、刀身の根元の部分がやや広がっているところや、2枚の板で挟んで鍔を作るところなど、かなり苦心しました。宝石っぽいのは100均で調達してきて、銀色の着色は缶スプレーのペンキ塗りです。

先の作品は杉材でしたが、これに気をよくして桧材を使った長剣も作ってみました。
桧で作ると、木目も美しく無着色でもなかなか迫力があるのですが、やっぱり銀に着色してしまいました。
長剣は両手で持つ場合もあるので刀身と柄のバランスは悪いと思います。
何気なく作った第1作をなかなか超えられないということは実際にあるものです。

次は大作に挑戦しましたが、着手から1年近く経っても未完です。
刀身は我ながらなかなかの出来だと思うのですが、鍔の彫刻を一つひとつ刻むのに気力がいるので、よほど暇なときにしか製作が進みません。
刀身の文字は見よう見まねで彫ったのですが、ルーン文字でDRAGON QUESTと書いてあるようです。
前2作もそうですが、刀身と鍔が重なる部分は、鍔の方に刀身の茎が収まる溝をカッターナイフと彫刻刀で彫って収めてあります。
完成にはまだまだかかりそうですが、完成した暁には、このページで披露することにします。

この剣に手を焼いているうちに、新しい課題が出来てしまったので、取り急ぎ作ったのが次です。
刀身が集成材でできており、柄の部分は刀身の材をバルサ材でサンドイッチして削り出しているので、形は作りやすく速くできたのですが、仕上げは粗くなっています。
レバーはスーパーカブの純正ブレーキレバー(新品)です。リビングの片隅で拾った由来不明のスプリングを入れて、握った後自然に戻るようになっています。

なお、木剣の製作・所持は銃刀法には抵触しないようですが、往来で隠し持っていると軽犯罪法違反、往来で見せびらかすと県によっては迷惑防止条例違反に問われますので、注意を要します。
また、子どもに与えてチャンバラに使わせると不測の事故を招くので(それより不測の恥をかく惧れが大きいか)避けたほうがいいでしょう。

具体的なモノ作りにこだわった挙句のこのケモノ道ですが、モノ作りに打ち込むことには引き続きこだわっていきたいものです。
おまたせしました。
未完だった大作が仕上がったので、写真を追加します。
鍔の造形が電動ルータなどで刻むとどうしてもシャープに仕上がらないので、こつこつカッターナイフで刻んで、めんどくさくなったら放置。またやる気を出しては刻む。の繰り返しでした。
柄の微妙なふくらみはバルサ材を貼り付けて改めて丸くなるまで削り、隙間をパテ埋めして成形しています。

着色するとこうです。
赤い宝石っぽいものはアクリルの半球で、「アクリル ラウンドカボション」のキーワードで検索して、手に入る一番大きいもの(14mm)を通販で買いました。
柄に巻いてある皮っぽいものは、バトミントンラケット用のグリップです。

バランス的にはちょっと柄が長過ぎ、鍔が大きすぎですが、自分で作ると何ともいえない愛着、そして味が出るものですね。
(14.11.20追記)
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