ブルーギルの三枚おろし
-特定外来生物との付き合い方-
ウチの子供は、小さなリール付き釣り竿を入手して以来釣りに目覚めて、おじいさんにせがんではいろいろな釣りに連れて行ってもらっています。
今回釣ってきたのはブルーギル。おおっと特定外来生物です。
ブルーギルは1960年に日本に持ち込まれて以来、全国の川や池で繁殖して、釣り人の楽しみの一つとなっていますが、肉食のため国内の在来種の生息を脅かすので、飼育や放流が禁止されています。
ということは、こいつは釣ったら必ず食べなければならないということですね。
他の人がブルーギルを釣った場合、どうしているかは知りませんが、我が家的には命あるものは生かしきって正しい取り扱いをしてやるべきと考えます。
ブルーギルは独特の生臭さがあって、あまり食用にされないということですが、一方で正しい調理法に従えば意外とおいしいという話でもあります。
私は釣りにも料理にも経験豊富ではありませんが、ひとつその「正しい調理法」とやらにチャレンジしてみましょうか。
今日の獲物は9cm、10cm、13cmと、決して大物とは言えません。
ブルーギルの臭みは「うろこ」と「ぬめり」、そして「はらわた」にあるそうですから、これをうまく取り除くのが料理のポイントです。
ただそれだけです。
うろこを取って、ぬめりが取れるまでよく洗うと、こういうことになります。
ここで、上の写真の水色の線で頭を切り取り、黄色の線を切ってはらわたを出します。
ここからがやってみてわかったことですが、赤の線で背びれ、胸びれの両側の皮にも切込みを入れておきます。
頭とはらわたを取り除き、再びよく洗うとこうなります。
これもやってみればわかることですが、皮を尾の方からむくと、身がささくれて台無しになりますから、背びれの前方からむき始め、腹びれの後方へとむいていくと、気持ちよく皮がむけます。
しょせん小魚ですから、皮をむく前の段階で焼いたり揚げたりして食べるのもいいでしょうが、我が家の場合は最初が肝心で、一度失敗作の料理を作ってしまったら、「ブルーギル料理禁止!」となってしまい、以降は釣っても埋めるしかなくなりますので、もう少し丁寧に行ってみます。
かくして、ブルーギルの三枚おろしが出来ました。
刺身もありかなとは思ったのですが、寄生虫とかの心配もあるので、フライパンに多めの油をしいて塩焼きにしました。
小さな切り身のためごくごく弱火で、崩れないように、焦げないようにゆっくりと焼きます。どっちかというと油炒めの感じです。
食べてみると、これがうまい!
変な小骨もなく、さっぱりとした柔らかい白身で、匂いもほとんどありません。
肉食だから臭いとか言われていますが、きちんと料理をすれば、立派な料理に仕上がります。
食材としての欠点は、あまり大きな魚でないことと、希少価値がないというだけでしょう。
生態系の破壊だとか問題視されて、何かと肩身の狭い魚ですが、何にでも生かしきる道はあるものです。
ブルーギルを釣られる方は、ぜひおいしく食しましょう。
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