
真言宗の特色![]()
真言宗は仏教の1つの宗派であり、仏法僧つまり、仏陀である釈尊(仏)と、
釈尊の説いた教え(法)と、その教えを守る僧侶の社会としての仏教教団(僧)
という三宝に帰依することを説くのは、他の宗派と同じです。しかし、真言宗の場
合の仏とは大日如来をさします。 したがって、法とはその大日如来の説いた教
えであり、僧とはその教えを広めようとしている人々であります。釈尊は教えを説
く相手の能力に応じて方便をもって説いたといわれますが、大日如来は方便を用
いないで、真実の言葉で、悟りの境地をそのまま説いたのです。この点が真言宗
の特色です。
即身成仏と真言宗の教え![]()
真言宗の教えは大日如来によって説かれ、宗祖・弘法大師がそれを体験して
広めたものであります。その教えの中心となるのが、即身成仏です。これは今ま
での宗派が、人間が悟りへの心(菩提心)をおこして修行しても、数えきれないほ
ど長い時間をかけなければ成仏できないと、考えていたのに対し、今現在生きて
いるこの身のまま成仏できるというものです。それは、大日如来を自分自身の中
に確認し、それと一体となることです。つまり、仏と自分とが一体になった状態こそ
即身成仏ということです。そのような生活ができるように、真言行者は身と口と心
の修行である三密行実践するのであります。
真言宗の御本尊![]()
真言宗は大日如来を教主として仰ぎます。大日如来とは、宇宙の真理を意
味する仏、つまり法身仏です。しかし、私たちが直接対象とする世界は、つまり曼荼
羅の世界です。大日如来はこの曼荼羅の世界で、それぞれの世の中に応じて、教化
しやすい仏の姿をとっているのです。ある時は、お不動様に、ある時は、観音様に、い
わば、大日如来はすべての仏・菩薩・如来の本体なのです。それぞれの人が因縁によ
って結ばれた本尊を通じて、総本尊の大日如来に結ばれているのです。
曼荼羅
金剛界曼荼羅 密教の経典『金剛頂経』に基づいて、衆生(この世の中)
の菩提心と大日如来の智恵そのものを示しております。「金剛」とは、如来の
悟りの智恵が堅固で、すべての煩悩を打ち砕く、優れた働きがあることを讃え
ていったもので、その働きを「界」といいます。全体は、成身会(じょうしんえ)を
中心とする九つの独立した曼荼羅から構成されているため、九会(くえ)曼荼羅
ともいわれます。

胎蔵界曼荼羅 密教の経典『大日経』に基づいて描かれた曼荼羅で、大日
如来の智恵を表す金剛界に対し、理法の面を表すといいます。母胎にはぐくまれ
た子が、母親の慈愛によって、煩悩の覆いを除かれて悟りの世界に目覚めること
から、大悲胎蔵生(たいひたいぞうしょう)曼荼羅ともいわれます。