・・・靴取り違え事件・・・

そ の 1

靴取り違え事件は、一年に1回位はあるんですが、今回は未遂でした。

患者さん「今、家に帰る途中なんですが、靴を間違えたらしくて左右が互い違いなんですが・・・」
私「え〜っと、靴は残ってないし、他の人からも苦情はないんですが・・・」
患者さん「おかしいなぁ〜 何処で間違えたんでしょう?」
私「うち以外、何処かに寄られましたか?」
患者さん「いいえ、何処にも・・・」
私「じゃあ、家を出る最初から間違ってたんじゃないですか?」
患者さん「そうですかねぇ〜、家に帰って確かめます」

今回はこんな訳で一件落着しました。
家に帰るまで気が付かなければ、事件にならなかったのに・・・


そ の 2

靴取り違えがあると、間違えられた人よりも先に帰った人の中から推理する訳です。
長年の勘で(?)だいたい犯人は分かります(笑)

怪しい第一候補から順番に電話していきます。
(皆さんも第一候補にならないように・・・)
確定してない訳ですから、言葉使いが難しいんですよ。
相手を怒らせないように、あくまで丁寧に・・・

分からずに履いて帰ったんですから、電話してやっと分かる人、電話しても本人は分からず家族に言われてやっと分かる人・・・色々です。

一番面白かった言い訳は、

患者さん「似た靴があったので、古くて汚い方を履いて帰ればいいだろうと思いまして・・・」
私「・・・はぁ、そうですか。」(内心は、ガハハハハ)

もちろん、間違えられた人にそんな事、正直には言えませんでした。


そ の 3

靴を間違えられた人はどうするかと言いますと、
@ 間違えた人が持って来てくれるまで待つ。
A 車などに代えの靴があったり、当院のスリッパでよければ、それを履いて帰って頂く。
B 以上がダメなら、我が家のツッカケなどをお貸しする。

・・・でありますが、一番傑作だった事件を(誤解を恐れず)お話ししましょう。

60才前半の男性Aさんの場合。

Aさん「おい! 俺の靴が無いぞー 誰なら、間違えて履いて帰った奴はー」
私「そうですか、すみませんね。至急電話して調べます」
Aさん「靴を間違えるなんて信じられん。ボケとんと違うかー」

この後、ここには書けないようなお言葉が続きます。。。

例によって、私は仕事の手を止め、怪しい第一候補から順番に電話していきます。

Aさん「待っとれんから、先に帰るが、どうしたらエエンなら!」
私「すみませんが、差し支えなければスリッパで帰って頂けませんか・・・」
と言う訳で、何とかお引取り願ったんです。
第二・第三候補と電話しても、その人が帰ってなかったりして、昼休みになっても見つかりません

困ったなぁー どうして無いんだろう?
あの剣幕じゃぁ 弁償しないといけないかな?
などと考えているところに、Aさんからの電話。

私「すみません。まだ靴は見つかっていないんです」
Aさん「あー、靴の件はもういい!」
私「えっ?・・・?」
Aさん「お宅に行く前に寄った歯医者で、わしが靴を間違えてた」
私「そうですか。それじゃあ解決ですね」
(内心: 馬鹿野郎!!  散々悪態を付いてたくせに〜 
 あんたがボケとるんじゃがー)

それから、Aさんは顔を見せません。
そう言えば、あのスリッパを返してもらってないなぁ・・・


そ の 4

靴を間違えた人は、普通、直ぐに持って来て頂けるのですが・・・
70才代後半のAさんは市外から週一回程度、タクシーで来院される品の良い、おっとりしたおばあちゃんタイプ。

電話すると、Aさんは
「それは、すみません。来週行く時に持って参ります」
これを聞いた被害者Bさんは
「まぁ、失礼な! 間違えたのに来週ですって! その間、私はどうすればいいんですか? 」
Aさん「タクシーしか足がありませんので、それまで別の靴でお願いできましたら・・・」
Bさん「私なら自分が悪いんですから、たとえ遠くても、タクシーを飛ばしてでも、直ぐに持って来ますわ!」

間に入った私は・・・どちらの気持ちも分かるし・・・困りました。
でも、被害者のBさんの方に分があると思ったので、Aさんにお願いして直ぐに持って来て頂きました。

お年寄りは同じような靴を履きますよねー
来院時には、奇抜な靴でお願いします ^_^;


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