那岐山 タイムアタック(2007年4月15日 くもり)
<早朝登山>
今日は岡山の山メーリングリストの那岐山登山の日。
予定は、午前8時半に奈義町役場の駐車場に集合し、鳥取側からの登山。
奈義に8時半ならば、早出をすれば、どこか軽く登ってくることができそうだ。
2時間くらいで下山が可能な近辺の山を考えて、思いついたのが岡山側の那岐山。
何がうれしくて、と言われそうだが、それはそれで楽しそう。

この企画、今回の本編にも参加されるガキタロウ氏に相談する。
ぜひ行きましょう、と快諾で、二人でアホ企画を決行することになる。
ガキタロウ氏も、こういったパワー系登山が好きなのである。
好きだけでなく、実際にすごいパワーを持ってもいる。
一人では、途中であきらめてしまいそうだっただけに、心強い味方だ。

夜明け前の午前5時半に、ガキタロウ氏に迎えにきてもらう。
薄明るくなった津山周辺は厚い雲に覆われているように見える。
展望は無理かと西に向かって走っていると、那岐三座がくっきりと見えはじめる。
穏やかな朝の雰囲気が、今日のこれからを期待させてくれる。
国道53号線、津山市楢のあたりで、オレンジ色の幻想的な朝日を見ることが出来る。

途中のコンビニで食料調達と地図のコピーをし奈義町に向かう。
今回はCコースのピストンなので、第3駐車場に駐車。
私はウエストバッグに水だけ入れて、ダブルストックを持つ。
ガキタロウ氏はディパックで、普通に準備した荷物を背負う。
明るくなったばかりの林道を歩き始める。

<タイムアタック>
下山完了の時間が決まっているので、のんびりした旅にはならない。
どうせやるなら、とタイムアタックをしてみることに。
タイムアタックとは言ってみるだけで、少し頑張って登ろうか程度なのだが。
とりあえず、目標は三角点まで1時間以内での到着。
今までも、1時間少々で登ったことがあり、そこから考えてみた設定時間。

勢い良く歩き始めるが、すぐに苦しくなってくる。
準備運動もせず、いいかげんに出発したので当然だろう。
体も温まりきる前で、汗こそ出ないが、息はどんどん上がってくる。
朝の冷気を心地よく感じながら、Cコースの皆伐地帯を登る。
時々ふり返り、朝の静かな遠望を楽しむ。

林道と交差するところで小休止、見下ろす景色は白く霞んでいる。
立ち止まってみると、既に相当バテている自分に気付く。
こんな調子で山頂まで行けるのか、不安になりながら出発。
森林学習の広場を過ぎると、正面に山頂が見えてくる。
「山頂を見つめながら登るのはつらいものがある」とガキタロウ氏。
確かに、向こうに聳える山頂までは随分遠く、離れているように見える。

水場を過ぎると、倒木処理のされた、はげ山のような登山道。
23号台風以降、初めて登るガキタロウ氏は、その変わりぶりに驚く。
体が本格的に温まり、ペースも徐々に落ち着いてくる。
一気に噴出してくる汗が、目に流れ入り、気が散る。
黒土の笹原を抜け、大神岩で激しく荒れた息を整える。

<山頂へ>
ガキタロウ氏は、まだ世間話が出来るくらいの状態。
私は相槌を打つのが精一杯の限界状態。
私が前を歩いているのでなんとか持っているが、逆ならもっと苦しいだろう。
自分勝手な私は、自分のペースで歩くのを、こよなく好む。
文句も言わず付き合ってくれるガキタロウ氏に感謝する。

大神岩から山頂までは、勢いの押し倒し的登山。
さすがのガキタロウ氏も、徐々に言葉が減ってくる。
私は苦し紛れの掛け声で、必死で自分を鼓舞し続ける。
「あと少し、もう少し」とやかましいくらいに。
のどからヒーヒーと乾いた悲鳴がこぼれる。

へとへとになりながら、静かな山頂に到着。
到着時間は出発してから57分、こんなものだろうか。
私は広場で大の字になり、クールダウンというか、ノックダウン。
ガキタロウ氏は三角点の周辺などを散策してまわる。
山頂を吹き抜ける風が、上昇した体温を下げるのにちょうど良い。

空を見ながら息を整えていると、どうも休憩舎から音がする。
一番乗りと思いきや、どうも、先客がいるようで、話し声が聞こえてくる。
しばらくして、大きなザックを背負った男性3人パーティが現れる。
軽く会釈をして、縦走路を滝山に向かって歩いてゆかれる。
話すことはできなかったが、多分、山頂で一泊されたのだろう。

<登山に向けての下山>
まだ朝も早く気温も低い、じっとしているとだんだん寒くなってくる。
天候は良いが、強い風が吹きつづけており、体温が奪われてゆくのが分かる。
1255mピークは、この後の2本目で目指すことにし、下山を開始する。
寒い寒いと言いながら、小走りに山頂を出発する。
ガスは濃いままで、山頂付近からの遠望もあまり良くない。

いいかげん、登りで体力を使い切っているので、下りも安心出来ない。
8時過ぎくらいに車に到着すれば良いからと、無理せず歩くことに。
二人で無駄話などしながら、のんびりと下る。
登りがけに、第一駐車場で登山準備をされていた方と1150mあたりですれ違う。
「早いねー」と言われ「後の予定もあるもので・・・」と。

水場の辺りでジーパンにスニーカーの若者と出会う。
「あの、あそこに見えるのが頂上ですか」と引きつった微笑み。
「大丈夫大丈夫、遠そうに見えて、案外近いから」と無責任な応援。
初めての登山だろうか、無事に登頂され、山は結構楽しいものだ、と思ってもらえたら。
賛否は別として、名前先行の那岐山、このような軽装の登山者とよく出会う。

二人で無事に、そして元気に第三駐車場に到着。
出発時には、他に一台もいなかった駐車場が賑やかになっている。
午前8時、第三駐車場には6台の車、次々に山へ向かって出発される。
この他の場所にも7台ほど駐車してあり、春の行楽シーズン到来を感じる。
今日一日でどれくらいの人が那岐山に入るのだろうか。

時間に余裕があるので、第二駐車場へ行き、水場で顔を洗いすっきりする。
火照った顔に、春山の冷水がとても気持ち良い。
登山準備中のご夫婦と少し話をし、今日の本番登山の集合地、奈義町役場へ向かう。
タイムアタックまでする必要は無いが、早起きすればもう一段、違った山が楽しめる。
花や景色を愛でもせず、写真も写さず、無味乾燥な行程だったかもしれない。
それでも、また機会を作って、挑戦してみたいと思える今日のスタートであった。



<今回のコースタイム>

[ 那岐山岡山側Cコース往復 ]
第三駐車場6:10−6:45大神岩6:47−7:07那岐山三角点7:14−大神岩7:31−7:57第三駐車場


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