1.「続けること」と「ていねいさ」 
 私は、学級の目標をここ十年来「続けること」と「ていねいさ」にしている。「この二つができる子は、自ら伸びていく可能性をもっているのだ。」 と私は、よく子ども達に話している。
これは、向山実践から学んだことである。  ノートの乱暴さ等を取り上げて、「この二つができない者が、成功したためしはない。初心を忘れるな。」などと訓示をすれば効果てきめんである。 子ども達は、真剣な目をして聞く。ノートもガラリと変貌するのである。 子ども達に、この二つを課すうちに私は、「自分はどうなのか。」と自問するようになった。向山洋一教育実践原理原則研究会事務局センターの仕事 をご下命いただいてからは、「続けること」と「ていねいさ」は、私の座右の銘となった。人間は、どうしても易きに流されがちである。私は、今しな くてはならないことを、ついつい先伸ばしにしてしまいがちである。また、挫折しそうにもなる。そんな時、「とにかく十年は、続けるぞ。ていねいに 仕事をしよう。自分ができもしないのに、子どもに言えた柄か。」と心の中で呟くのである。 「続けること」と「ていねいさ」。これが、まず私を励ましてくれるのである。面白いことに、色々な所にこの二つの事を発表させていただいているせ いか、隣の学校の教室でも使われていたり、北海道から転校してきた子が前の学校の先生も同じでした。と話してくれたりもする。 2.「自我力」を廃する  「自我力」とは、仏教の用語である。自分一人で、すべてをしょい込んで自分の力だけで解決しようとすることである。 私だけのたった一人の力は、たかが知れている。いくら「続けること」と「ていねいさ」を目標にしても、どこかに無理が生じるのである。  私は、経験から、「自我力」になると閉鎖的な気分から過度のストレス状態となり、免疫力が低下して病気になるという仮説を持っている。  だから、私は、徹底して「自我力」を廃するようにしている。  私は、常に妻や子ども、小林幸雄氏はじめサークルの仲間など、みんなの力を頼りにしている。  しかも、私には、師である向山洋一先生をはじめとし、明治図書の江部満編集長、野口芳宏先生や石黒修先生、渡辺尚人先生、小松裕明先生はじめ全国 各事務局の先生方、原理原則研1300名の仲間たちと大勢の方々がご指導くださるのである。これほど、「自我力」を廃するのに適した環境はないと思う。  ただし、「『自我力』を廃する」ということは、無責任になることではない。自分の責任は、深く自覚しておかなくてはならない。 3.よく遊び、よく学べ  小学校を卒業する時、校長先生が「よく遊び、よく学べ。」という祝辞をくださったのが、今でも印象に残っている。  思い返すと中学時代、私は、この言葉を忠実に守った。よく部活の剣道をし、勉学にも集中できた。高校時代には、どうも「めりはり」がつかず、「よく 遊べず、よく学べず」の悪循環をくりかえした。そのせいもあってか、私は暗い浪人生活を福山市で経験するはめとなった。高校時代を反省した私は、浪人 時代、大学時代には「よく遊び、よく学べ」を励行した。浪人時代、勉強に疲れると近所のお好み焼き屋へ行き、お好み焼きとビールを注文した。一人で食 べていると、船乗りのおじさんが来て、外国の面白い話をしてくれたりもした。大学時代は、ポンコツの車を買い込んで、のんびりと北海道ドライブとしゃ れこんだりした。 教職についてからも「よく遊び、よく学べ」は、同じである。  とにかく、私はよく休んでいる。今春建てた、ログハウスの書斎で、音楽を聞きながら、横になる。横になってボーとするのが、大好きである。徹底して 休むと、急に「やる気」が出てくるし、面白い発想も沸いてくるのである。「よく遊び、よく学べ」も、味わいの深い言葉である。4.計画的に行う  人は、極端に走る傾向がある。左翼思想や右翼思想に凝り固まった人に出会うことがある。また、省エネや環境と言えば、当たりかまわず徹底する人もい る。環境といえば、先日、「割り箸を子どもに持参させるかどうか」を学年団会で検討していたら、全く関係の無い先生が、会に乱入して来て、「割り箸批 判」を延々と始めたのだった。いいことでも、やはり、極端はいけない。中庸こそ肝心なのである。  私の場合、何に極端に走るかといえば、「よく休む」ということについてである。無計画に休んでは、後々苦しい思いをいつもしている。  幾分、最近では計画をするようになってはいるが、どうしても直前にならないとその気にならず、皆さんにご迷惑ばかりかけている。  極端に休み過ぎずに、計画的に少しずつ着々と仕事をするのが、目下の私の目標である。 5.向山洋一教育実践原理原則研究会 こうして、皆さんのお力添えで向山洋一教育実践原理原則研究会は、発足以来6年目を迎え、全国屈指の研究集団に成長した。全国には、志を同じくする仲 間が1300名事務局も長野事務局はじめ全国各地に誕生している長野では、小松裕明先生、宮澤宏祐先生、田中公男先生、そして近藤一彦先生はじめサークル 飯田の先生方のお力添えで、法則化運動・向山洋一原理原則研が急速に浸透している。  志しを同じくする者として、本当にうれしいことである。 1999年の春には、会員の努力の結晶である『向山洋一教育実践原理原則シリーズ』(明治図書)続刊の第11巻から第20巻が、全国の書店に並ぶ予定である。  新しい年の大きな問題提起になることは、間違いない。 子どもにとって、価値ある教師であることをめざし、教師修業を持続していく。  授業・教育の原理原則を向山実践の分析・検討を通して明らかに、世の中に貢献していく。 この初心を忘れずに、多くの仲間たちと邁進して行きたい。