まず吉井川を横切る最も大規模なものです。
だいたい、一度汲み上げた用水をなぜ川の底にくぐらせたりするのでしょうね?
立体交差のこの場所で汲み上げるのも違いはなかろうし、それでなくても井堰の北岸で汲み上げれば済みそうに思われます。
いくつか立体交差を調べていくうちに、その疑問に対する答えは、数年に一度の渇水にでも耐えるために汲み上げ口を大規模なものに統合したのだろうと考えるようになりました。
かつては私の近所でも大きな川は2キロごとぐらいの間隔で小規模な井堰が点在していました。
小さな井堰では干上がるのも早く、干ばつに備えるためには、より大きな井堰、より大きな落差が必要とされたために井堰が統合されてきたのだろうと思われます。
干ばつの時の稲を見たことがあります。
稲は水不足で枯れる時、しおれて倒れるわけではありません。細長い葉が筒のように巻き、乾けば乾くほど細く巻き込みます。このため稲はいっそうまっすぐ上を向いてピンと立つのです。それから、しだいに枯れた藁の色になっていきます。
今ではほとんど目にすることのない光景ですが、このような稲を見るたびに決して水の枯れることのない用水を多くの人が望み、そのためにはかりしれない努力が払われたことは間違いありません。
なお、水道局の浄水場への取水経路も嵯峨井堰から汲み上げられて同じような経路をたどっていると思われますが、完全に地下配管になっているので素人には伺い知ることが出来ません。
次は作陽高校の下の、とっても小さな立体交差です。
さいごに、一方の立体交差を見に行きました。
場所は一方の県営住宅の近くの皿川です。ここは両岸が一方地区です。(「両方が一方」と書くとちょっとだじゃれてしまいますので)
前回に引き続き川の立体交差を堪能してしまいました。
なお、津山の農業用水路では江戸時代に築かれた近平用水が歴史的に有名です。
また、土木工事の水準という点では多くの用水がパイプライン化されており、技術的にも内容的にも複雑なものとなっています。
私が単に現代でも中世でもない、近代的な川の立体交差マニアであるからこういうものを探索しているのであって、津山にはこのようなものしかないのかと誤解しないようお願いします。