技術・家庭科


昭和44年学習指導要領(昭和47年実施)


昭和37年度から実施された教育課程は,その後の社会の変容,経済の発達,科学技術の進歩に対応するため内容を刷新する必要があった。技術・家庭科については,実践的教科の性格を明確にする,男子向きと女子向きの関連を図る,基本的な事項を精選する,地域や学校の実態および生徒の必要性に応じて弾力的な指導ができるように配慮する,などの方針で改定がなされた。

目標

生活に必要な技術を習得させ,それを通して生活を明るく豊かにするためのくふう創造の能力および実践的な態度を養う。

年間授業時数

各学年105

領域構成と履修方法

(男子向き) 1年 製図,木材加工,金属加工
2年 木材加工,金属加工,機械,電気
3年 機械,電気,栽培

(女子向き) 1年 被服,食物,住居
2年 被服,食物,家庭機械
3年 被服,食物,保育,家庭電気

・男子向き,女子向き別,学年別に示された内容はすべて取り扱うが、3年では必要により一部の内容を削除・代替することができる。





第8節   技術・家庭
 
第1 目 標
 
 生活に必要な技術を習得させ,それを通して生活を明るく豊かにするためのくふう創造の能力および実践的な態度を養う。
このため,
 
1 計画,製作,整備などに関する基礎的な技術を習得させ,その科学的な根拠を理解させるとともに,技術を実際に活用する能力を養う。
 
2 家庭や社会における技術と生活との密接な関連を理解させ,生活を技術的な面からくふう改善し,明るく豊かにする能力と態度を養う。
 
3 仕事を合理的,創造的に進める能力や協同・責任および安全を重んじる態度を養う。
 
第2 各学年の目標および内容
 
男子向き
[第1学年]
 
 1 目 標
(1) 図面の製図と読図を通して,投影法について理解させ,製作意図を的確に表現する能力を養う。
(2) 主として板材で構成する木製品の設計と製作を通して,木材の性質と加工法との関係について理解させ,使用目的に即して製作品をまとめる能力を養う。
 
(3) 主として板金で構成する金属製品の設計と製作を通して,塑性加工の特徴について理解させ,使用目的に即して製作品をまとめる能力を養う。
 
 2 内 容
  A 製 図
 
(1) 立体を図示する方法について指導する。
ア 立体を斜投影法や等角投影法によって図示する方法を知ること。
イ 直方体などの立体を斜投影法や等角投影法によって図示できること。
ウ 立体を第一角法によって図示する方法を知ること。
エ 立体を第三角法によって図示する方法を知ること。
オ 第一角法と第三角法の違いを考えること。
カ 立体を第三角法によって図示する場合の正面の選び方を考えること。
キ 直方体の組み合わせによって構成された立体を第三角法によって図示できること。
ク 第三角法によって図示された立体の投影図をもとにして,その立体を斜投影法や等角投影法によって図示できること。
ケ 斜投影法や等角投影法によって図示された立体の投影図をもとにして,その立体を第三角法によって図示できること。
 
(2) 製図用具の使用法について指導する。
ア 水平線,垂線および斜線をひくのに必要な製図用具を適切に使うことができること。
イ 円と弧をかくのに必要な製図用具を適切に使うことができること。
ウ 必要な寸法を測りとるための製図用具を適切に使うことができること。
 
(3) 製作図のかき方について指導する。
ア 設計と図面との関係を知ること。
イ 製作に必要な組立図と部品図について知ること。
ウ 製作図として必要な図の数と配置を考えること。
エ 製図用紙の大きさと尺度について知ること。
オ 線の用途に基づいて,その使い分けができること。
カ 寸法線,寸法補助線,引出線および寸法数字を知ること。
キ 形状と加工法を表わす記号について知ること。
ク 基準面や基準線をもとにして,寸法記入が適切にできること。
 
(4) 図面と生活との関係について指導する。
ア 規格の必要性について知ること。
イ 図面が日常生活や工業製品の生産に重要な役割を果たしていることを知ること。
 
  B 木材加工
(1) 主として板材で構成する木製品の設計について指導する。
ア スケッチによる構想表示の方法を知ること。
イ 製作品の使用目的に即して機能,材料,構造,費用などの設計の要素を考慮し,製作品の構想図をかくことができること。
ウ 板材のじょうぶな使い方と接合法を考えること。
エ 構想図をもとにして,製作図を第三角法でかくことができること。
オ 製作図をもとにして,材料の見積もり方および製作工程表の作り方を知ること。
 
(2) 木材,接合材料および塗装材料の特徴ならびにそれらの使用法について指導する。
ア 繊維方向による木材の強さの違いを知ること。
イ 木材の収縮について知ること。
ウ 接着剤と緊結材の性能と使用法を知ること。
エ 透明塗料と目止め剤の性能と使用法を知ること。
 
(3) 木工具と木工機械の使用法およびそれらによる加工法について指導する。
ア 切りしろと削りしろを考慮して木取り寸法を決め,けがきができること。
イ 糸のこ盤や自動かんな盤の構造と操作法を知ること。
ウ 平かんなや両刃のこぎりの切削作用を知ること。
エ 両刃のこぎりや糸のこ盤を適切に使い,板材ののこぎりひきができること。
オ 平かんなや自動かんな盤を適切に使い,板材のかんな削りができること。
カ 接着剤や緊結材を適切に使い,製作図に基づいて組み立てができること。
キ 木材の素地を生かした透明塗装ができること。
 
(4) 加工作業における測定について指導する。
ア さしがね,直角定規などの用具を使って,加工部分の正確さの検査ができること。
 
(5) 加工作業における安全について指導する。
ア 木工具を使用する場合に起こりやすい事故と,その防止法を知ること。
イ 加工法に応じて木材を確実に保持できること。
ウ 糸のこ盤や自動かんな盤の安全な使用法を知ること。
エ 換気や火気に注意し,塗料と溶剤の安全な取り扱いができること。
 
(6) 日常生活における木材,接合材料および塗料の選択について指導する。
ア 使用目的,使用条件,価格などに応じて,木材,合板,接着剤,緊結材および塗料の選び方を考えること。
 
(7) 木材と生活との関係について指導する。
ア 木製品に関するデザインと加工技術の進歩について知ること。
イ 生活を豊かにするための木材の利用について考えること。
 
  C 金属加工
(1) 主として板金で構成する金属製品の設計について指導する。
ア 模型による構想表示の方法を知ること。
イ 製作品の使用目的に即して機能,材料,構造,費用などの設計の要素を考慮し,製作品の構想模型を作ることができること。
ウ 構造の強さを増す方法を考えること。
エ 構想模型をもとにして,組立図を第三角法でかくことができること。
オ 組立図をもとにし,ふち折りしろや仕上げしろを考慮して展開図をかくことができること。
カ 製作図をもとにして,材料の見積もり方および製作工程表の作り方を知ること。
 
(2) 板金材料と接合材料の特徴およびそれらの使用法について指導する。
ア 金属の塑性変形について知ること。
イ 軟鋼板,亜鉛鉄板,アルミニウム板などの板金材料の性質を知ること。
ウ はんだ,リべットなどの接合材料の使用法を知ること。
 
(3) 金工具の使用法およびそれらによる加工法について指導する。
ア けがき用具を適切に使い,板金にけがきができること。
イ たがねや金切りばさみの切断作用を知ること。
ウ 切断工具を適切に使い,板金の切断ができること。
エ 穴あけ工具を適切に使い,板金に穴あけができること。
オ 折り曲げ用具を適切に使い,板金の折り曲げができること。
カ 接合用具を適切に使い,板金の接合ができること。
キ 塗装用具を適切に使い,板金の塗装ができること。
 
(4) 加工作業における測定について指導する。
ア 測定における誤差について知ること。
イ 鋼尺,直角定規などの用具を使って,加工部分の正確さの検査ができること。
 
(5) 加工作業における安全について指導する。
ア 金工具を使用する場合に起こりやすい事故と,その防止法を知ること。
イ はんだごての安全な取り扱いができること。
ウ 板金材料の安全な取り扱いができること。
 
(6) 日常生活における板金製品の選択について指導する。
ア 使用目的,使用条件,価格などに応じて,板金製品の選び方を考えること。
 
(7) 金属と生活との関係について指導する。
ア 塑性加工技術の進歩について知ること。
イ 生活を豊かにするための金属の利用について考えること。
 
 3 内容の取り扱い
(1) 内容のAの指導に関する製図規格については,「JIS Z 8302 製図通則」によることを原則とする。
(2) 内容のBの(3)および(5)の木工機械については,第2学年において取り扱うことができる。また,その指導を欠くこともできる。
 
(3) 内容のCの(3)のカ,キおよび(5)のイについては,取り上げる題材によって,その指導を欠くことができる。
 
 
[第2学年]
 
 1 目 標
(1) 主として角材で構成する木製品の設計と製作を通して,荷重と材料および構造との関係について理解させ,使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を伸ばす。
(2) 主として棒材で構成する金属製品の設計と製作を通して,切削加工の特徴について理解させ,使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を伸ばす。
 
(3) 機械の整備などを通して,機械のしくみについて理解させ,機械を適切に使用する能力を養う。
 
(4) 電気機器の取り扱いなどを通して,電気回路のしくみについて理解させ,電気機器を安全に,しかも適切に使用する能力を養う。
 
 2 内 容
  A 木材加工
 
(1) 主として角材で構成する木製品の設計について指導する。
ア 製作品の使用目的や使用条件に即して機能,材料,構造,加工法,費用などの設計の要素を考慮し,製作品の構想図または構想模型による表示ができること。
イ 曲げ応力が生じるような荷重が加わる部材のじょうぶな使用法を考えること。
ウ 角材の接合法を知ること。
エ 構造の強さを増すための補強法を考えること。
 
オ 構想図または構想模型をもとにして,製作図を第三角法でかくことができること。
カ 製作図をもとにして,材料表と製作工程表の作成ができること。
 
(2) 木材と塗料の特徴およびそれらの使用法について指導する。
ア 引張り強さ,圧縮強さなどの材料の強さについて知ること。
イ 木材の強さと比重および含水率との関係を知ること。
ウ 不透明塗料の性能と使用法を知ること。
 
(3) 木工具と木工機械の使用法およびそれらによる加工法について指導する。
ア 丸のこ盤や角のみ盤の構造と操作法を知ること。
イ 両刃のこぎりや丸のこ盤を適切に使い,角材ののこぎりびきができること。
ウ 平かんなや自動かんな盤を適切に使い,角材のかんな削りができること。
エ のみや角のみ盤を適切に使い,ほぞ穴あけができること。
オ 木工具を適切に使い,ほぞ作りができること。
カ 製作図に基づいて,組み立てが的確にできること。
キ 木材の透明塗装または不透明塗装ができること。
 
(4) 加工作業における測定について指導する。
ア さしがね,直角定規などの用具を使って,加工部分の正確さの検査が的確にできること。
イ 加工不良の原因を考えること。
 
(5) 加工作業における安全について指導する。
ア 木工機械を使用する場合に起こりやすい事故について知ること。
イ 丸のこ盤や角のみ盤の安全な使用法を知ること。
ウ 木材の形状や寸法をもとにして,機械加工の適否の判別ができること。
 
(6) 日常生活における家具の選択について指導する。
ア 使用目的や住居の条件に応じて,家具の選び方を考えること。
イ 自分のからだに適合するいすや机の形状と寸法を知ること。
 
(7) 木材と生活との関係について指導する。
ア 生活様式の変化と加工技術の進歩との関係について知ること。
イ 日常生活や産業の中で果たしている木材の役割について考えること。
 
  B 金属加工
(1) 主として棒材で構成する金属製品の設計について指導する。
ア 製作品の使用目的や使用条件に即して機能,材料,構造,加工法,費用などの設計の要素を考慮し,製作品の構想図または構想模型による表示ができること。
イ 金属の接合法を知ること。
ウ 公差について知ること。
エ 構想図または構想模型をもとにして,製作図を第三角法でかくことができること。
オ 製作図をもとにして,材料表と製作工程表の作成ができること。
 
(2) 加工材料と工具材料の特徴およびそれらの使用法について指導する。
ア 炭素鋼,黄銅などの加工材料の性質と用途を知ること。
イ 炭素鋼,合金鋼などの工具材料の性質と用途を知ること。
ウ 同じ材質でも熱処理の方法によって性質が異なることを知ること。
 
(3) 金工具と工作機械の使用法およびそれらによる加工法について指導する。
ア けがき用具を適切に使い,材料にけがきができること。
イ 切断工具を適切に使い,材料の切断ができること。
ウ やすりがけが適切にできること。
 
エ 卓上ボール盤や小型旋盤の構造と操作法を知ること。
オ ドリルやバイトの切削作用を知ること。
カ 卓上ボール盤を適切に操作して,材料に穴あけができること。
キ 小型旋盤を適切に操作して,端面削りや外周削りがでさること。
ク ねじ切り工具を適切に使い,ねじ切りができること。
ケ 塗装用具などを適切に使い,表面の処理ができること。
 
(4) 加工作業における測定について指導する。
ア ノギス,マイクロメータなどの用具を使って,加工部分の正確さの検査が的確にできること。
イ 平面,直角,平行などの工作の精度の検査ができること。
ウ 加工不良の原因を考えること。
 
(5) 加工作業における安全について指導する。
ア 工作機械を使用する場合に起こりやすい事故について知ること。
イ 卓上ボール盤や小型旋盤の安全な使用法を知ること。
ウ 加工法に応じて材料を確実に保持できること。
 
(6) 日常生活における金属製品の選択について指導する。
ア 使用目的,使用条件,価恪などに応じて,金属製品の選び方を考えること。
 
(7) 金属と生活との関係について指導する。
ア 切削加工技術の進歩について知ること。
イ 日常生活や産業の中で果たしている金属の役割について考えること。
 
  C 機 械
(1) 動く模型または生活用品の設計と製作を通して,機械のしくみについて指導する。
ア 運動の方向や速さを変えるしくみをもつものを設計し,製作することができること。
イ 回転運動を往復運動に変えるしくみをもつものを設計し,製作することができること。
ウ 平行運動のしくみをもつものを設計し,製作することができること。
 
(2) 機械の整備に必要な工具の使用法について指導する。
ア 締めつけ力や締めつけ順序を考慮し,ねじ回しやスパナの使用ができること。
 
(3) 機械の整備作業における安全について指導する。
ア 整備工具の安全な取り扱いができること。
イ 換気や火気に注意し,潤滑油と洗浄油の安全な取り扱いができること。
 
(4) 機械の整備の方法について指導する。
ア 整備の目的に応じた分解と組み立てができること。
イ 組み立てを考慮した分解部品の整理の方法を考えること。
ウ 機械部品のスケッチの方法を知ること。
エ 部品の洗浄および部品の異常の有無の点検ができること。
オ 部品の交換ができること。
カ 回転部やしゅう動部に,給油が適切にできること。
 
(5) 機械の機構と機械要素について指導する。
ア ベルト車と歯車の運動伝達のしくみを知ること。
イ カムとリングの運動伝達のしくみを知ること。
ウ つりあいおもりとはずみ車のしくみを知ること。
エ 平軸受けと玉軸受けの特徴を知ること。
オ ねじ,ピン,ばね,ブレーキなどの機械要素はたらきを知ること。
 
(6) 機械に用いられる材料の特徴について指導する。
ア 機械部品として広く用いられる炭素鋼の特徴を知ること。
イ 複雑な形状の部品や圧縮力を受ける部品に用いられる鋳鉄の特徴を知ること。
ウ 機械の摩耗,さびなどを防ぐためや機械を軽量化するために用いられる合金鋼と軽合金の特徴を知ること。
エ ゴム,皮,プラスチックなどの非金属材料の特徴を知ること。
オ 潤滑油の性能を知ること。
 
(7) 日常生活における機械の選択について指導する。
ア 使用目的,使用条件,価格などに応じて,機械の選び方を考えること。
イ 機械の説明図や仕様書の読み方を知ること。
 
(8) 機械と生活との関係について指導する。
ア 機械の品質の向上と部品の互換性との関係について知ること。
イ 生活を豊かにするための機械の利用について考えること。
 
  D 電 気
(1) 電球,ブザ,スイッチ,電池などを用いた電気器具の設計と製作を通して,電気回路のしくみについて指導する。ア 抵抗器,スイッチ,電池,交流電源などの図記号を用いてかいた回路図の読図ができること。
イ 電球,ブザ,スイッチ,電池などを用いた電気器具の回路の設計ができること。
ウ 製作品の回路図をもとにして,製作に必要な材料の見積もりができること。
エ ねじ回し,ニッパ,ラジオペンチ,はんだごてなどの工具を適切に使い,回路図に基づいた製作ができること。
 
(2) 電熱器具,照明器具および電動機を備えた電気機器の点検について指導する。
ア 回路計のはたらきを知ること。
イ 抵抗の測り方を知ること。
ウ 電気機器の導通試験による点検ができること。
エ 直流電圧と交流電圧の測り方を知ること。
 
(3) 電熱器具,照明器具および電動機を備えた電気機器の保守の方法および安全な使用法について指導する。
ア コードの許容電流および接続器やスイッチの定格について知ること。
イ 使用する電気機器に適するコードと接続器やスイッチを選ぶことができること。
ウ 接地の目的と方法を知ること。
エ 感電,過熱,短絡などによる事故の防止ができること。
オ コードと電気機器の接続ができること。
 
(4) 屋内配線ならびに電熱器具,照明器具および電動機を備えた電気機器のしくみについて指導する。
ア 電燈,コンセント,スイッチ,配電盤などの図記号を用いてかいた屋内配線図の読図ができること。
イ 屋内配線のしくみを知ること。
ウ 電熱器具のしくみを知ること。
エ 照明器具のしくみを知ること。
オ 電動機を備えた電気機器のしくみを知ること。
 
(5) 電気機器に用いられる材料の特徴について指導する。
ア 導電材料の特徴を知ること。
イ 絶縁材料の特徴を知ること。
 
(6) 日常生活における電気機器の選択について指導する。
ア 使用目的,使用条件,価格などに応じて,電熱器具,照明器具および電動機を備えた電気機器の選び方を考えること。
イ 電気機器の銘板やカタログの読み方を知ること。
 
(7) 電気と生活との関係について指導する。
ア 日常生活に必要な電気に関する法的制限について知ること。
イ 生活を豊かにするための電気の利用について考えること。
 
 3 内容の取り扱い
(1) 内容のAの(3)および(5)の木工機械については,その指導を欠くことができる。
(2) 内容のAの(3)のエおよびオについては,取り上げる題材によって,その指導を欠くことができる。
(3) 内容のBの(3)および(5)の「小型旋盤」については,その指導を欠くことができる。また,「卓上ボール盤」については,第1学年においても取り扱うことができる。 
(4) 内容のBの(3)のクおよびケについては,取り上げる題材によって,その指導を欠くことができる。(5) 内容のCの(1)のア,イおよびウについては,生徒の必要に即して,この中のいずれか一つ以上を選択して指導するものとする。
(6) 内容のDの「電動機を備えた電気機器」については,単相交流用のものを取り扱うことを原則とする。
 
 
[第3学年]
 
 1 目 標
(1) 内燃機関の整備を通して,エネルギーの変換と利用について理解させ,機械を適切に活用する能力を伸ばす。
(2) 増幅回路を用いた装置の設計と製作を通して,電子のはたらきと利用について理解させ,電気機器を適切に活用する能力を伸ばす。
(3) 作物の環境調節や化学調節を加味した栽培を通して,作物の生育条件と裁培技術との関係について理解させ,作物を計画的に育成する能力を養う。
 
 2 内 容
  A 機 械
 
(1) 内燃機関の整備に必要な工具と測定具の使用法について指導する。
ア 整備工具を適切に使用できること。
イ すきまゲージなどの測定具を適切に使用できること。
 
(2) 内燃機関の整備作業における安全について指導する。
ア 換気や火気に注意し,燃料の安全な取り扱いができること。
イ 感電に注意し,電気系統の点検ができること。
ウ 換気や火傷に注意し,内燃機関の運転ができること。
 
(3) 内燃機関の整備の方法について指導する。
ア 機関本体の分解ができること。
イ 合い印などに注意し,順序よく組み立てができること。
ウ 部品の洗浄および部品の異常の有無の点検が的確にできること。
エ 部品の交換が的確にできること。
オ 内燃機関の運転が適切にできること。
カ 暖機運転の必要性を考えること。
キ 潤滑油を定朗的に交換する必要性を考えること。
ク 排気ガスの色や機関から出る音をもとにして,機関の作動状態の良否が判別できること。
 
(4) 内燃機関およびその動力伝達装置の機構について指導する。
ア 燃料と空気の混合および点火のしくみを知ること。
イ シリンダに混合気または空気を吸い込み,シリンダから燃焼したガスを排出するしくみを知ること。
ウ 燃料の燃焼によって生じる熱エネルギーを,軸の回転運動に変えて仕事をさせるしくみを知ること。
エ 潤滑のしくみを知ること。
オ 冷却のしくみを知ること。
カ 動力の伝達を断続するしくみを知ること。
キ 変速装置のしくみを知ること。
 
(5) 内燃機関に用いられる機械材料と燃料の特徴について指導する。
ア 燃料の燃焼による高温と高圧に耐えるのに適したアルミニウム合金や合金鋳鉄の特徴を知ること。
イ 動荷重を受ける部品の材質および材料処理の方法を知ること。
ウ ガソリン,燈油などの燃料の性質を知ること。
 
(6) 日常生活における内燃機関を備えた機械の選択について指導する。
ア 使用目的,使用条件,価格などに応じて,内燃機関を備えた機械の選び方を考えること。
イ ガソリン機関とディーゼル機関の得失を知ること。
 
(7) 機械と生活との関係について指導する。
ア 機械技術の進歩について知ること。
イ 日常生活や産業の中で果たしている機械の役割について考えること。
 
  B 電 気
(1) 増幅回路を用いた装置の設計について指導する。
ア コイル,コンデンサ,真空管,トランジスタ,ダイオードなどの図記号を用いてかいた回路図の読図ができること。
イ 電源回路のしくみを知ること。
ウ 増幅回路のしくみを知ること。
エ 使用目的に即して,増幅回路を用いた装置の設計ができること。
オ 製作品の回路図をもとにして,材料表と製作工程表の作成ができること。
 
(2) 電気回路要素のはたらきと使用法について指導する。
ア 抵抗器のはたらきと使用法を知ること。
イ コイルのはたらきと使用法を知ること。
ウ コンデンサのはたらきと使用法を知ること。
エ 真空管やダイオードの整流作用と,その使用法を知ること。
オ 真空管やトランジスタの増幅作用と,その使用法を知ること。
カ 電池のはたらきと使用法を知ること。
キ 変圧器のはたらきと使用法を知ること。
ク スピーカのはたらきと使用法を知ること。
 
(3) 増幅回路を用いた装置の組み立てと調整の方法について指導する。
ア 製作品の性能を低下させないような部品の配置および配線の方法を考えること。
イ 部品の取り付けが適切にできること。
ウ 回路図に基づいて順序よく配線ができること。
エ 組み立てた装置の調整ができること。
オ 電気的な雑音の防止について知ること。
 
(4) 組み立て作業における試験方法について指導する。
ア 回路計のしくみを知ること。
イ 直流電流の測り方を知ること。
ウ 抵抗測定によって回路部品の検査ができること。
エ 抵抗測定,電圧測定,電流測定などの方法により,増幅回路を用いた装置の検査ができること。
 
(5) 組み立て作業における安全について指導する。
ア 作業中における感電や短絡の防止ができること。
イ 工具の安全な取り扱いができること。
 
(6) 日常生活におげる電気機器の選択について指導する。
ア 使用目的,使用条件,価格などに応じて,音響機器の選び方を考えること。
 
(7) 電気と生活との関係について指導する。
ア 電気技術の准歩について知ること。
イ 日常生活や産業の中で果たしている電気の役割について考えること。
 
  C 栽 培
(1) 作物の環境調節や化学調節を加味した栽培計画の立て方について指導する。
ア 栽培する作物の性質およびその品種の特性を知ること。
イ 作物の環境調節や化学調節を加味した栽培法を知ること。
ウ 作物の生育過程と管理作業との関係を知ること。
エ 栽培に必要な施設,用具および資材について知ること。
オ 栽培の目的に応じた栽培計画を立てることができること。
 
(2) 作物の栽培に適する環境と,その調節法について指導する。
ア 作物の生育と温度,湿度,日長などの環境との関係を知ること。
イ 作物の生育に適する土の性質を知ること。
ウ 作物の生育に必要な肥料の戊分と,その効果を知ること。
エ 栽培に適する環境の調節法を考えること。
 
(3) 作物自体の生育の調節法について指導する。
ア 作物の生育と摘心,摘芽などの生育調節法との関係を考えること。
イ 作物の生長,着果などの化学調節の方法を知ること。
 
(4) 栽培に必要な施設,用具および資材の使用法ならびに管理作業について指導する。
ア 栽培に必要な施設や用具を適切に使うことができること。
イ 栽培に適する土の調製ができること。
ウ たねまき,さし芽,移植,植え付けなどの作業が適切にできること。
エ 作物の摘心,摘芽,整技などの作業が適切にできること。
オ 保温,換気,かん水,日おおい,施肥,除草などの作業が適切にできること。
カ 殺菌剤と殺虫剤の特性と,その安全な使用法を知ること。
キ 作物の病気や害虫の防除が適切にできること。
 
(5) 作物の環境調節や化学調節を加味した栽焙について指導する。
ア ガラス室,ビニルハウスなどを利用した草花または野菜の加温栽培ができること。
イ 温度処埋の効果を利用した草花の栽培ができること。
ウ 日長処埋を利用した草花の裁培ができること。
エ 生長調節のための薬剤使用を加味した草花の栽培ができること。
オ 着果剤の使用を加味した野菜の栽培ができること。
カ 草花または野菜の養液栽培ができること。
 
(6) 栽培と生活との関係について指導する。
ア 作物の品種改良および栽培技術の進歩について知ること。
イ 生活を豊かにするための作物の栽培について考えること。
 
 3 内容の取り扱い
(1) 内容のAの題材として車両を取り上げる場合は,運転技術の指導は行なわないものとする。
(2) 内容のAの(2)のイについては,取り上げる題材によって,その指導を欠くことができる。
(3) 内容のBの(2)の「電気回路要素のはたらき」については,それぞれの特徴を理解させる程度にとどめ,定量的に取り扱わないことを原則とする。
(4) 内容のCの(4)のイおよびエについては,取り上げる題材によって,その指導を欠くことができる。
(5) 内容のCの(5)のアからカまでについては,地域や学校の事情に即して,この中のいずれか一つ以上を選択して指導するものとする。
 


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