技術・家庭科


昭和52年学習指導要領(昭和56年実施)


昭和51年の教育課程審議会の答申では,人間性豊かな児童生徒を育てること,ゆとりのあるしかも充実した学校生活が送れるようにすること,国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること,などがあげられた。技術・家庭科については,実践的,体験的な教科の性格を一層明確にすること,男子向きと女子向きの履修方法を改めること,弾力的な履修措置を拡大すること,などの方針で改定が行われた。

目標

生活に必要な技術を習得させ,それを通して家庭や社会における生活と技術との関係を理解させるとともに,工夫し創造する能力及び実践的な態度を育てる。

年間授業時数

必修 1年70,2年70,3年105 選択 3年35

領域構成と履修方法

A木材加工(1,2) B金属加工(1,2) C機械(1,2)D電気(1,2) E栽培
F被服(1,2,3) G食物(1,2,3) H住居 I保育

・男女のいずれにも地域や学校の実態及び生徒の必要並びに男女相互の理解と協力を図ることを考慮して,7以上の領域を選択して履修させる。





第8節   技術・家庭
 
 
第1 目 標
 
 生活に必要な技術を習得させ,それを通して家庭や社会における生活と技術との関係を理解させるとともに,工夫し創造する能力及び実践的な態度を育てる。
 
 
 
第2 各領域の目標及び内容
 
   A 木材加工
 
 1 目 標
 
(1) 簡単な木製品の設計と製作を通して,木材の特徴と加工法との関係について理解させ,製作意図に従って製作品をまとめる能力を養う。
(2) 木製品の設計と製作を通して,荷重と材料及び構造との関係について理解させ,使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を伸ばす。
 
 
 
 2 内 容
  〔木材加工1〕
 
(1) 木製品の設計について,次の事項を指導する。
ア 製作に必要な構想表示の方法を知ること。
イ 使用目的に即して製作品の構想を具体化し,斜投影図や等角投影図によって構想図をかくことができること。
 
(2) 木材と接合材料の特徴及びそれらの使用法について理解させる。
(3) 木工具の使用法及びそれらによる加工法について,次の事項を指導する。
 
ア のこぎりとかんなを適切に使い,材料ののこぎりびきとかんな削りができること。
イ 接着剤や緊結材を適切に使い,順序よく組立てができること。
 
(4) 木材の効果的な利用と生活との関係について考えさせる。
  〔木材加工2〕
(1) 木製品の設計について,次の事項を指導する。
ア 使用目的や使用条件に即して,製作品の構想図による表示ができること。
イ 部材や構造の強さを増すための木材の使用法を考えること。
 
ウ 構想図をもとにして,製作図を第三角法でかくことができること。
 
(2) 木材と塗料の性質及びそれらの使用法について理解させる。
(3) 木工具と木工機械の使用法及びそれらによる加工法について,次の事項を指導する。
 
ア 木工具や木工機械を適切に使い,材料の切断と切削ができること。
イ 木工具や木工機械を適切に使い,ほぞ組み加工ができること。
 
ウ 製作図に基づいて,組立てが的確にできること。
 
エ 木製品の用途に応じた塗装が的確にできること。
 
(4) 日常生活や産業の中で果たしている木材の役割について考えさせる。
 3 内容の取扱い
 〔木材加工1〕は第1学年,〔木材加工2〕は第1学年又は第2学年で取り扱うことを標準とする。
 
 
   B 金属加工
 1 目 標
 
(1) 簡単な金属製品の設計と製作を通して,金属材料の特徴と加工法との関係について理解させ,製作意図に従って製作品をまとめる能力を養う。
(2) 金属製品の設計と製作を通して,金属材料の性質と構造との関係について理解させ,使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を伸ばす。
 
 2 内 容
  〔金属加工1〕
 
(1) 金属製品の設計について,次の事項を指導する。
ア 製作に必要な構想表示の方法を知ること。
イ 使用目的に即して製作品の構想を具体化し,斜投影図や等角投影図によって構想図をかくことができること。
 
(2) 加工材料と接合材料の特徴及びそれらの使用法について理解させる。
(3) 金工具の使用法及びそれによる加工法について,次の事項を指導する。
 
ア 金工具を適切に使い,材料の切断,やすりがけ及び折り曲げができること。
イ 接合用具を適切に使い,材料の接合ができること。
 
(4) 金属の効果的な利用と生活との関係について考えさせる。
  〔金属加工2〕
(1) 金属製品の設計について,次の事項を指導する。
ア 使用目的や使用条件に即して,製作品の構想図による表示ができること。
イ 部材や構造の強さを増す方法を考えること。
 
ウ 構想図をもとにして,製作図を第三角法でかくことができること。
 
(2) 加工材料と工具材料の性質及びそれらの使用法について理解させる。
(3) 金工具と工作機械の使用法及びそれらによる加工法について,次の事項を指導する。
 
ア 金工具を使って,材料の切断と切削が的確にできること。
イ 工作機械を適切に繰作して,穴あけや旋削ができること。
 
ウ 接合用具を使って,材料の接合が的確にできること。
 
(4) 日常生活や産業の中で果たしている金属の役割について考えさせる。
 3 内容の取扱い
(1) 〔金属加工1〕は第1学年又は第2学年,〔金属加工2〕は第2学年で取り扱うことを標準とする。
(2) 〔金属加工1〕の(1)のア及びイ並びに〔金属加工2〕の(1)のウについては,〔木材加工1〕の(1)のア及びイ並びに〔木材加工2〕の(1)のウとの関連を考慮して,むだな重複をしないように指導する必要がある。
 
 
 
   C 機 械
 1 目 標
 
(1) 機械の整備や模型の製作を通して,機械の仕組みについて理解させ,機械を適切に使用する能力を養う。
(2) 内燃機関の整備を通して,エネルギーの変換と利用について理解させ,機械を適切に活用する能力を伸ばす。
 
 2 内 容
  〔機械1〕
 
(1) 機械の整備の方法について,次の事項を指導する。
ア 整備の目的に応じた分解と組立てができること。
イ 部品の点検と交換及び給油が適切にできること。
 
(2) 簡単な機構模型又は動く模型の設計と製作ができるようにする。
(3) 機械の機構,機械要素及び機械材料について,次の事項を指導する。
 
ア 運動伝達の仕組みを知ること。
イ 機械要素の特徴とはたらきを知ること。
 
ウ 鋳鉄,合金鋼及び軽合金の特徴を知ること。
 
(4) 機械の効果的な利用と生活との関係について考えさせる。
  〔機械2〕
(1) 内燃機関の整備の方法について,次の事項を指導する。
ア 内燃機関を適切に運転し,機関の作動状態の良否が判断できること。
イ 目的に応じた機関本体の分解と組立てができること。
 
ウ 異状の有無の点検及び部品の交換が的確にできること。
 
(2) 内燃機関及びその動力伝達装置について,次の事項を指導する。
ア 燃料の燃焼によって生じる熱エネルギーを仕事に変えて,軸の回転運動を取り出す仕組みを知ること。
イ 潤滑と冷却の仕組みを知ること。
 
ウ 動力の伝達を断続する仕組み及び変速装置の仕組みを知ること。
 
(3) 日常生活や産業の中で果たしている機械の役割について考えさせる。
 3 内容の取扱い
(1) 〔機械1〕は第2学年,〔機械2〕は第3学年で取り扱うことを標準とする。
(2) 〔機械2〕を履修しない場合には,〔機械1〕の(1)又は(2)については,そのいずれかの指導を欠くことができる。
 
(3) 〔機械1〕の(3)については,取り上げる題材に即して重点的に指導するものとする。
 
 
 
   D 電 気
 1 目 標
 
(1) 電気機器の取扱いや電気器具の製作を通して,電気回路の構成について理解させ,電気機器を安全にしかも適切に使用する能力を養う。
(2) 増幅回路を用いた装置の設計と製作を通して,電子のはたらきと利用について理解させ,電気機器を適切に活用する能力を伸ばす。
 
 2 内 容
  〔電気1〕
 
(1) 電気機器の保守の方法について,次の事項を指導する。
ア 電気機器の点検ができること。
イ コードと電気機器及び配線器具との接続ができること。
 
ウ 漏電,感電,過熱及び短絡による事故の防止ができること。
 
(2) 簡単な電気器具の設計と製作ができるようにする。
(3) 電気機器の仕組み及び電気材料について,次の事項を指導する。
 
ア 電気機器の回路図の読図ができること。
イ 電気機器の仕組みを知ること。
 
ウ 導電材料と絶縁材料の特徴を知ること。
 
(4) 電気の効果的な利用と生活との関係について考えさせる。
  〔電気2〕
(1) 増幅回路を用いた装置の設計について,次の事項を指導する。
ア ダイオード,トランジスタなどの図記号を用いてかいた回路図の読図ができること。
イ 電源回路と増幅回路の仕組みを知ること。
 
ウ 使用目的に即して増幅回路を用いた装置の設計ができること。
 
(2) ダイオード,トランジスタなどの電気回路要素のはたらきと使用法について理解させる。
(3) 増幅回路を用いた装置の製作について,次の事項を指導する。
 
ア 部品の配置,取付け及び配線が適切にできること。
イ 組み立てた装置の調整ができること。
 
ウ 測定器具を使って,製作品の検査が的確にできること。
 
(4) 日常生活や産業の中で果たしている電気の役割について考えさせる。
 3 内容の取扱い
(1) 〔電気1〕は第2学年又は第3学年,〔電気2〕は第3学年で取り扱うことを標準とする。
(2) 〔電気2〕を履修しない場合は,〔電気1〕の(1)又は(2)については,そのいずれかの指導を欠くことができる。
 
(3) 〔電気1〕の電気機器については,電熱器具,照明器具又は電動機を備えた電気機器のうち一以上を選んで指導するものとする。
 
(4) 〔電気2〕の(2)については,取り上げる題材に即して重点的に指導するものとする。
 
 
 
   E 栽 培
 1 目 標
 
 作物の栽培を通して,作物の生育条件と栽培技術との関係について理解させ,作物を計画的に育成する能力を養う。
 2 内 容
(1) 作物の栽培計画が立てられるようにする。
(2) 作物の栽培に適する環境とその調節法について,次の事項を指導する。
 
ア 作物の生育と環境条件との関係を知ること。
イ 作物の生育と土及び肥料との関係を知ること。
 
(3) 環境調節を利用した作物の栽培法について,次の事項を指導する。
ア 作物の生育過程に即した管理作業が適切にできること。
イ 作物の病気や害虫の防除が適切にできること。
 
ウ 保温,日長調節,温度処理などの環境調節を利用した草花又は野菜の栽培ができること。
 
(4) 栽培と生活との関係について考えさせる。
 3 内容の取扱い
(1) この領域は,第2学年又は第3学年で取り扱うことを標準とする。
(2) 内容の(3)のウについては,地域や学校の事情に即して適切なものを選んで指導するものとする。この場合,露地を利用した普通栽培と代替して取り扱うこともできる。
 


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