技術・家庭科


平成元年学習指導要領(平成5年実施)

昭和60年に入り,情報化社会に対応するため,学校教育にコンピュータを取り入れようとする動きが起こってきた。また,「婦人差別撤廃条約」の批准に伴い,家庭科の女子のみの必修が問題となっていた。
臨時教育審議会の答申をうけた教育課程審議会は,社会の変化に対応する教育,基礎・基本の指導の徹底,幼・小・中・高を通じた調和のある教育などを検討し,答申を行った。技術・家庭科については,それまでの領域が整理され,「情報基礎」「家庭生活」の2領域が新設された。また,男子と女子で履修の範囲が異なっていたのを改め,男女同一の扱いとした。

目標

生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して,家庭生活や社会生活と技術とのかかわりについて理解を深め,進んで工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。

年間授業時数

必修 1年70,2年70,3年70〜105 選択

領域構成と履修方法

A木材加工 B電気 C金属加工 D機械 E栽培 F情報基礎
G家庭生活 H食物 I被服 J住居 K保育

・7領域以上を履修させる。木材加工,電気,家庭生活,食物を必修とし,木材加工と家庭生活は1年で履修させるのを標準とする。





第8節   技術・家庭

第1 目標 生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して、家庭生活や社会生活と技術とのかかわりについて理解を深め、進んで工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。
 
第2 各領域の目標及び内容A 木材加工1 目標
 簡単な木製品の設計と製作を通して、木材の特徴と加工法との関係について理解させ、使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を養う。
 
2 内容
(1)木製品の設計について、次の事項を指導する。
 ア 使用目的や使用条件に即して、製作品の機能と構造について知ること。
 イ 製作品の構想表示の方法を知り、製作に必要な構想図と製作図をかくことができること。
 ウ 製作工程と作業計画を知ること。
 
(2)木製品の製作に必要な材料について、次の事項を指導する。
 ア 木材の特徴とその適切な使用法を知ること。
 イ 接着剤や緊結材の特徴とそれらの適切な使用法を知ること。
 ウ 塗料の特徴とその適切な使用法を知ること。
 
(3)木工具と木工機械の使用法及びそれらによる加工法について、次の事項を指導する。
 ア 木工具や木工機械の仕組みと適切な使用法を知ること。
 イ 木工具を適切に使い、けがき、切断及び切削などができること。
 ウ 木工機械を適切に使い、切断及び切削などができること。
 エ 構想図や製作図に基づいて組立てが的確にできること。
 オ 木製品の用途に応じた塗装が的確にできること。
 
(4)日常生活や産業の中で果たしている木材の役割について考えさせる。
 
3 内容の取扱い
(1)内容の(1)のイの構想図及び製作図については、等角図、キャビネット図及び第三角法によってかくことを標準とする。
 
(2)内容の(3)のア、イの木工具についていは、のこぎりとかんなを重点的に取り上げるものとする。
 
B 電気1 目標
 電気機器の取扱いや簡単な電気回路の設計と製作を通して、電気回路の構成及び電子の働きと利用について理解させ、電気機器を安全かつ適切に活用する能力を養う。
 
2 内容
(1)電気機器の保守の方法について、次の事項を指導する。
 ア 電気機器の点検ができること。
 イ コードと電気機器及び配線器具との接続ができること。
 ウ 屋内配線について知り、漏電、感電、過熱及び短絡による事故の防止がでること。
 
(2)簡単な電気回路の設計と製作について、次の事項を指導する。
 ア スイッチ、抵抗器、トランジスタなどの電気回路要素の図記号と回路図を知ること。
 イ スイッチ、抵抗器、トランジスタなどの電気回路要素の働きと使用法を知ること。
 ウ 簡単な電気回路の設計ができること。
 エ 部品の配置、取付け及び配線ができること。
 
(3)電気機器の仕組み及び電気材料について、次の事項を指導する。
 ア 電気機器の回路図の読図ができること。
 イ 電気機器の仕組みを知ること。
 ウ 導電材料と絶縁材料の特徴を知ること。
 
(4)日常生活や産業の中で果たしている電気の役割について考えさせる。
 
C 金属加工1 目標
 簡単な金属製品の設計と製作を通して、金属材料の特徴と加工法との関係について理解させ、使用目的や使用条件に即して製作品をまとめる能力を養う。
 
2 内容
(1)金属製品の設計について、次の事項を指導する。
 ア 使用目的や使用条件に即して、製作品の機能と構造について知ること。
 イ 製作品の構想を具体化し、製作に必要な構想図や製作図をかくことができること。
 ウ 製作工程を知り、作業計画を立てることができること。
 
(2)金属材料、接合材料及び工具材料の特徴とそれらの使用法について理解させる。
 
(3)金属用手工具と工作機械の使用法及びそれらによる加工法について、次の事項を指導する。
 ア 金属用手工具や工作機械の仕組みと使用法を知ること。
 イ 金属用手工具を適切に使い、材料の切断、やすりがけ及び折り曲げができること。
 ウ 工作機械を適切に操作して、穴あけや旋削ができること。
 エ 構想図や製作図に基づいて組立てが的確にできること。
 
(4)日常生活や産業の中で果たしている金属の役割について考えさせる。
 
D 機械1 目標
 簡単な動く模型の設計と製作や機械の整備を通して、機械の仕組みやエネルギーの変換と利用について理解させ、機械を適切に活用する能力を養う。
 
2 内容
(1)機械の機構、機械要素及び機械材料について、次の事項を指導する。
 ア 運動伝達の仕組みを知ること。
 イ 機械要素の特徴と働きを知ること。
 ウ エネルギーを動力として利用する機械の仕組みを知ること。
 エ 機械材料とその特徴を知ること。
 
(2)簡単な動く模型の設計と製作ができるようにする。
 
(3)機械の整備の方法について、次の事項を指導する。
 ア 整備の目的に応じた分解と組立てができること。
 イ 各部の異状の有無の点検と調整ができること。
 
(4)日常生活や産業の中で果たしている機械の役割について考えさせる。
 
E 栽培1 目標
 作物の栽培を通して、作物の生育条件と栽培技術との関係について理解させ、作物を計画的に育成する能力を養う。
 
2 内容
(1)作物の栽培計画について、次の事項を指導する。
 ア 作物の種類とその生育過程を知ること。
 イ 栽培の目的に即した栽培計画を立てることができること。
 
(2)作物の栽培に適する環境条件について、次の事項を指導する。
 ア 作物の生育と光、温度、水などとの関係を知ること。
 イ 作物の生育と土及び肥料との関係を知ること。
 
(3)作物の栽培法について、次の事項を指導する。
 ア 作物の生育過程に即した管理作業が適切にできること。
 イ 作物の病気や害虫について知り、適切な防除ができること。
 ウ 環境調節などを利用した栽培ができること。
 
(4)栽培と生活との関係について考えさせる。
 
F 情報基礎1 目標
 コンピュータの操作等を通して、その役割と機能について理解させ、情報を適切に活用する基礎的な能力を養う。
 
2 内容
(1)コンピュータの仕組みについて、次の事項を指導する。
 ア コンピュータシステムの基本的な構成と各部の機能を知ること。
 イ ソフトウェアの機能を知ること。
 
(2)コンピュータの基本操作と簡単なプログラムの作成について、次の事項を指導する。
 ア コンピュータの基本操作ができること。
 イ プログラムの機能を知り、簡単なプログラムの作成ができること。
 
(3)コンピュータの利用について、次の事項を指導する。
 ア ソフトウェアを用いて、情報を活用することができること。
 イ コンピュータの利用分野を知ること。
 
(4)日常生活や産業の中で情報やコンピュータが果たしている役割と影響について考えさせる。
 
3 内容の取扱い
(1)内容の(1)のアについては、入力、演算、制御、記憶及び出力を取り上げるものとする。
 
(2)内容の(3)のアについては、日本語ワードプロセッサ、データベース、表計算、図形処理などのソフトウェアを取り上げ、情報の選択、整理、処理、表現などを行わせるものとする。
 

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