技術・家庭科


平成20年学習指導要領(平成24年実施)

 前学習指導要領の「学習指導要領はミニマム」という考え方は誤解をまねき,「ゆとり教育」が学力低下の原因とされた。また, OECDの学習到達度調査(PISA)や全国学力状況調査でも,日本の子供たちの学力低下が明らかとなった。「生きる力」を継承し,知識や技能の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成を重視する新学習指導要領は,授業時間数が30年ぶりに増加するなど,「脱ゆとり教育」をめざすものとなった。

目標

 生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して,生活と技術とのかかわりについて理解を深め,進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。

年間授業時数

必修 1年70,2年70,3年35

領域構成と履修方法

(技術分野) A技術とものづくり B情報とコンピュータ
(家庭分野) A生活の自立と衣食住 B家族と家庭生活




第8節   技術・家庭


第1 目標
 生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技術の習得を通して,生活と技術とのかかわりについて理解を深め,進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。
 
第2 各分野の目標及び内容
〔技術分野〕
1 目標
 ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して,材料と加工,エネルギー変換,生物育成及び情報に関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに,技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め,技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる。
 
2 内容
 
A 材料と加工に関する技術
 
(1) 生活や産業の中で利用されている技術について,次の事項を指導する。
 ア 技術が生活の向上や産業の継承と発展に果たしている役割について考えること。
 イ 技術の進展と環境との関係について考えること。
 
(2) 材料と加工法について,次の事項を指導する。
 ア 材料の特徴と利用方法を知ること。
 イ 材料に適した加工法を知り,工具や機器を安全に使用できること。
 ウ 材料と加工に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
 
(3) 材料と加工に関する技術を利用した製作品の設計・製作について,次の事項を指導する。
 ア 使用目的や使用条件に即した機能と構造について考えること。
 イ 構想の表示方法を知り,製作図をかくことができること。
 ウ 部品加工,組立て及び仕上げができること。
 
 
B エネルギー変換に関する技術
 
(1) エネルギー変換機器の仕組みと保守点検について,次の事項を指導する。
 ア エネルギーの変換方法や力の伝達の仕組みを知ること。
 イ 機器の基本的な仕組みを知り,保守点検と事故防止ができること。
 ウ エネルギー変換に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
 
(2) エネルギー変換に関する技術を利用した製作品の設計・製作について,次の事項を指導する。
 ア 製作品に必要な機能と構造を選択し,設計ができること。
 イ 製作品の組立て・調整や電気回路の配線・点検ができること。
 
 
C 生物育成に関する技術
 
(1) 生物の生育環境と育成技術について,次の事項を指導する。
 ア 生物の育成に適する条件と生物の育成環境を管理する方法を知ること。
 イ 生物育成に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
 
(2) 生物育成に関する技術を利用した栽培又は飼育について,次の事項を指導する。
 ア 目的とする生物の育成計画を立て,生物の栽培又は飼育ができること。
 
 
D 情報に関する技術
 
(1) 情報通信ネットワークと情報モラルについて,次の事項を指導する。
 ア コンピュータの構成と基本的な情報処理の仕組みを知ること。
 イ 情報通信ネットワークにおける基本的な情報利用の仕組みを知ること。
 ウ 著作権や発信した情報に対する責任を知り,情報モラルについて考えること。
 エ 情報に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
 
(2) ディジタル作品の設計・制作について,次の事項を指導する。
 ア メディアの特徴と利用方法を知り,制作品の設計ができること。
 イ 多様なメディアを複合し,表現や発信ができること。
 
(3) プログラムによる計測・制御について,次の事項を指導する。
 ア コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。
 イ 情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。
 
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A材料と加工に関する技術」の(1)については,技術の進展が資源やエネルギーの有効利用,自然環境の保全に貢献していることや,ものづくりの技術が我が国の伝統や文化を支えてきたことについても扱うものとする。
(2) 内容の「Bエネルギー変換に関する技術」の(1)のイについては,漏電・感電等についても扱うものとする。
(3) 内容の「C生物育成に関する技術」の(2)については,地域固有の生態系に影響を及ぼすことのないよう留意するものとする。
(4) 内容の「D情報に関する技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
 ア (1)のアについては,情報のディジタル化の方法と情報の量についても扱うこと。(1)のウについては,情報通信ネットワークにおける知的財産の保護の必要性についても扱うこと。
 イ (2)については,使用するメディアに応じて,個人情報の保護の必要性についても扱うこと。
(5) すべての内容において,技術にかかわる倫理観や新しい発想を生み出し活用しようとする態度が育成されるようにするものとする。


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