インターネットとその利用

インターネットとは
 インターネットは世界中のコンピュータネットワークどうしを互いに接続したもので,その起源は1969年にアメリカの国防総省によって開発されたARPAネットにあるといわれ,もともとは学術研究用のネットワークとして発達した。ところが,視覚的な閲覧ソフトであるWWW(ワールドワイドウェブ)ブラウザが開発されたことによって,またたく間に接続されるコンピュータは世界中に広がり,利用者も急速に増加を続けている。インターネットに接続して利用できるサービスには,WWWのほかにニュース,電子メール(E-Mail),FTPなどがある。

インターネットの利点と活用
 インターネットのWWWを利用すれば簡単な操作でホームページ(WWWページ)を見ることができる。インターネットが一般的になる以前の代表的なパソコンネットワークといえばパソコン通信であった。インターネットはパソコン通信よりも容易に広範囲の情報を収集することができる。アドレス(URL)を入力するだけで,あるいはキーワードで検索するだけで,世界中のホームページを画面に表示することができるのである。また,ホームページはいわゆるハイパーテキストといわれる形式をしており,アンダーラインのある語句をクリックしていけば,次々とリンクされた新しいページを見ることができる。インターネットの学習は情報基礎の中では応用発展的な内容であるが,逆に領域の導入として体験させる方法もあるのではないか。
 そして,インターネットのホームページをつくったり,電子メールで情報を発信したりすることは,パソコンを使った創造的な表現活動であり,生徒に身につけさせたいコンピュータリテラシーのひとつである。インターネットの導入によって,コンピュータはコミュニケーションの窓口となる。インターネットは個人の情報を世界に伝えることができる初めてのメディアといっても過言ではない。生徒の作ったホームページだけでなく,生徒が製作した木材加工などの作品の写真を公開することもできる。
 教師が教材としてのホームページをつくることも有用である。インターネットのホームページは、HTMLという言語を使って作成されている。このHTML言語を使えば文字だけではなく,画像や音声の入ったマルチメディア教材を作ることができる。今までは,いろいろなオーサリングツールによって教材がつくられてきたが,HTML言語を用いて書かれたファイルはブラウザソフトさえあればだれでも見ることができる。HTML言語を用いて教材をつくれば,自作教材の蓄積や教育情報の交流も容易にできるようになる。

インターネットの問題点
 インターネットのホームページもまた発展途上にあり,教育的な価値があって,しかもすぐに授業に役立つページはまだ限られている。その中で,テレビやビデオゲームの画面を見慣れた,今の中学生が興味を引くページはそれほど多くない。
 また,インターネットのホームページの中には教育上好ましくない有害なページも存在する。インターネットの特性上,これらの有害情報を規制することは基本的には不可能である。生徒が有料のページに接続して支払いを要求される可能性もある。
 インターネットで受け取るデータの中にはウイルスと呼ばれるプログラムやデータを破壊するプログラムが含まれいてる可能性もある。むやみにアンケートなどに答えていると,意図に反して個人情報を発信してしまうなど,プライバシー保護の問題もある。

インターネットに必要な環境
 インターネットに接続するためにはデジタル回線(ISDN回線)を学校に引き,プロバイダという接続サービスを行う業者と契約を結ぶことが必要である。普通の電話回線(アナログ回線)にモデムをつないでもできないことはないが,画像データの表示速度を考えると実用的ではない。DSU(デジタルサービスユニット)とTA(ターミナルアダプタ)そしてブラウザソフトのインストールされたWindowsパソコンが一台あれば端末型のインターネット接続ができる。これでもインターネットを紹介する程度ならできるが,一斉授業の中で生徒に体験させるには無理がある。
 効果的な授業を行うためには,複数のパソコンが一度にインターネットに接続できなければならない。しかし,一台ずつモデムやTAをつないでいたのでは台数分の電話回線が必要となってしまう。普通このような場合には,LAN経由でインターネットに接続することが行われる。LANを構築するためにはハブと呼ばれる中継器が一台,LANボードが台数分,そしてネットワークケーブル(10BASE−Tという規格がよく使われる)が必要である。Windows95の場合にはLANに必要なソフトは最初から付属している。
 LAN経由のインターネット接続の方法としては,ISDNルーターを用いる方法と,ソフトウェアルータを用いる方法がある。ISDNルータは、TAの代わりにDSUとハブの間に接続する装置で,これを用いるとLANにつながれた複数台のパソコンを一度にインターネットに接続することができる。ソフトウェアルータはこのルーティング機能をソフトウェアで実現するものである。この場合はTAが必要である。LAN型のダイアルアップ契約は通常の端末ダイアルアップ契約に比べるとコストが高くなるが,ソフトウェアルータであれば端末ダイアルアップ契約でよい。ISDNルータでもNATという機能を持っていれば端末ダイアルアップ契約ですむが,プロバイダによっては許可していない場合がある。
 いずれにせよインターネットに接続するためにはWindowsマシンが必須となるが,教室のパソコンをすべてWindows環境にしてしまうと,今までのプログラミングや制御の学習ができなくなる。技術・家庭科の授業を考慮すれば,新しく機械を導入する場合でも,DOSマシンを残しておいて,インターネット専用のWindowsマシンを複数台追加するのが良いのではないか。この場合,インターネット専用機には17インチ以上のモニタを取り付けたい。

ホームページをつくる
 最近の中学生は絵や文章で自分を表現することが得意な生徒が多い。生徒ひとりひとりにプリクラのような感覚で自己紹介ページをつくらせ,ブラウザソフトで見せるといった使い方もできる。もちろん,できたページをインターネット上で公開することも簡単であるが,プライバシーの問題もあるのでハードディスクやフロッピーディスクにデータを保存しておき,オフラインで見せるのがいいだろう。
 ホームページに使われているHTML言語はテキストファイルである。専用の作成ソフトもあるが,エディタを使って書くこともできる。したがって,ホームページをつくるだけならDOSマシンでもよい。ソフトは漢字入力とテキストファイルの編集ができれはよいので,フリーソフトで十分である。
 画像を取り込むこむにはデジタルカメラなどが必要になる。キャプチャーボードがあれば普通のビデオカメラでとった画像を取り込むことができる。一般的に使われている画像ファイルはBMP形式が多いが,インターネットの画像はGIF形式(またはJPEG形式)なので,データ変換ができるソフトが必要な場合もある。

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