レーザープリンタを使用したプリント基板の作成
電子工作になれていない中学生には,ICピッチのユニバーサル基板での配線は困難である。オリジナルな回路を製作させるときにはプリント基板を用意することになる。以前はサンハヤトの感光基板をしていたが,久しぶりに試作してみると,露光時間が変わったこともあり,適切な露光条件がつかめず見事に失敗してしまった。以前に使っていたスプレー式の現像剤も使用できないようだ。そこで,ネットを調べてみるとレーザープリンタ利用してプリント基板を製作できることがわかった。この方法によると高価な感光基板やインクジェットフィルムを使う必要がなく,安上がりにプリント基板が作れそうだ。以下にその製作手順を示す。
@プリントパターンの作成
パターンの作成のためのCADもフリーソフトにあるが,プリントパターンに少しこだわりがあるので,あえて,Windowsに付属の「ペイント」を使って製作した。方眼紙の上で考えたパターンをスキャナで読み込み,ペイントをつかって仕上げた。最終的に必要なパターンは,銅箔面のパターンを反転させたものが必要になる。最初から部品面から見たパターンを描いてもよいし,銅箔面のパターンを描いたものを反転させてもよい。
Aレーザープリンタによる印刷
でき上がったプリントパターンをレーザープリンタを使って印刷する。この方法では電気アイロンを使ってトナーをとかして転写するので,インクジェットプリンタで印刷した場合はコピーをする必要がある。このとき使用する用紙は,Fuji Filmの画彩「かっさい」という,インクジェットプリンタの用紙(表にぶどうの絵があるのでネット上では「ぶどう紙」と呼ばれているらしい)を使用する。
印刷するパターンは実物と同じ大きさになるように調整する。もとの画像ファイルそのものの大きさを拡大または縮小しておけば,印刷の度に調整する手間が省ける。実物のICソケットなどのピッチと印刷したパターンを合わせながら,試行錯誤を繰り返した。(大きさが決まるまでは「ぶどう紙」は使わない。)
B基板磨き
ネットで入手した「生基板」の表面をグラスウールなどを使って磨く。その後,アルコールで油脂を拭き取っておけば,トナーの定着がよい。
C転写
印刷した用紙を軽く水でぬらし,パターン面を内側にして四辺を折り曲げる。セロテープなどは,後で粘着材を取るのに苦労するので使わない方がよい。
木片に基板を置き,中〜高温に暖めたアイロンをかける。この時,体重をかけるように押さえつけ,アイロンのエッジをこすりつけるようにして転写させる。紙の一部が茶色く変色するぐらい(10分程度)アイロンをかける。最後に,水に濡らしたタオルを上に置いて蒸し上げると紙がはがしやすくなる。
D紙はがし
基板を水につけて紙をはがす。大まかに紙を破いた後,指の腹を使ってていねいに紙の繊維を取る。パターンの間の細かい部分はつまようじなどを使って取り除く。取れたように見えても,乾くと白く紙の繊維が残っていることがある。
Eパターンの修正
この方法で100%パターンを転写させることは難しく,油性のフェルトペンなどでトナーが転写できていない部分を修正する必要がある。
Fエッチング
エッチング液は処理剤付きのものを購入するのがよいが,美術準備室などに長年使ってないエッチング液があったりする。エッチングのための容器は,100均で基板より少しだけ大きいタッパーを購入する。作業は流し台の水を流しながら行う。タッパーに基板を入れ,基板が浸かるだけのエッチング液を入れる。ときどきタッパーを傾けて液を動かしながらエッチングをする。この方法が一番経済的で時間もかからない。必要があれば途中で基板を取り出し,けがき針などで不要な部分を削る。
Gフラックスの塗布
水洗いをした基板の表面のトナーを,水に濡らしたままスチールウールではがす。
次に,基板を乾かしてフラックスを塗る。スプレー式のものがあれば作業が簡単。
H穴開け
ミニボール盤などを使って穴開けをする。半月ドリルがあれば貫通したときに基板が持ち上がらないので能率がよい。
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