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向山洋一先生は、『知的授業の組み立て方』(明治図書)の中で次のように述べています。
| 「発問」の対して、「できる子も、できない子も」くいついてきて、しかも、誰が正解 になるか分からないーというのは、実にスリリングな発問である。私は、このタイプの発問を求める。もっといいのは、「勉強できる子がまちがえ」て、「勉強できない子が正しい」という発問である。−私は、これこそ、最も向山らしい発問だと思う。 |
このように、「逆転現象を起こすことが、向山実践の根底に流れているものである」とも言えるでしょう。
ところが、「まだまだできる子が正解になり、できない子が間違う授業」が蔓延しているのが、実態なのではないでしょうか。
そこで、本特集では、具体的な実践をご紹介いただきながら「逆転現象」の原理原則解明について、読者に分かりやすくお示しいただきました。 ところで、向山洋一教育実践原理原則シリーズ第3巻「この発問で起きた!『逆転現象』」(明治図書)では、「逆転現象」を引き起こす原理原則について豊富な実践例とともに詳しい分析・検討がなされています。ぜひ併せて、ご高覧いただきたく存じます。
◆ ◆ ◆
1.一般常識を覆して「逆転現象」を起こす
「逆転現象」を引き起こすためには、第一に
| いわゆる一般的な常識を覆すような教材 |
が必要である。このような教材を数多くストックしておき、学年・教科・領域ごとに検索できるようなシステムがあれば、いつでも意図的に「逆転現象」を引き起こすことができる。インターネットの活用も考えられるであろう。原理原則シリーズ等の文献の活用も考えれよう。ともあれ、まず各人が「逆転現象ノート」を作り、ストックしていくことから始めたい。
一般的な常識を覆すような教材とは、どのようなものだろうか。
理科の分野なら次のような授業が「逆転現象」を引き起こす。
下のような図を提示して、発問する。

| ザリガニの足は、ハサミも入れて胸に5本ずつ10本、腹にもう5本ずる10本の足があります。もう6本あるのですが次のうちどこでしょうか。 |
A.顔 B.胸と腹の間 C.しっぽ
圧倒的に、BとCと考える子が多い。いつも泥んこで生き物を取っている子が3人だけAと答える。一般的な常識から考えると顔に足があるわけないと考えるわけである。無論正解は、Aである。あご足と呼ばれるもので、餌を口に入れる時に使うのである。
引き続き、発問する。
| ウンコは、しっぽの穴からします。では、おしっこは図のABCのどこからするでしょうか。 |
やはり、BやCと考える子が大多数である。誰も、顔からおしっこするとは考えないのである。 正解は、Aで、口の上にある2つの穴からするのである。こうした、意表をつく教材は「逆転現象」が起きやすい。
似たようなケースとしては、次のような発問例がある。
発問 弥生時代は、比較的平和な時代でしたか。
戦乱の時代でしたか。(正解 戦乱)
発問 弥生時代になったら日本の人口が急増しています。どうしてでしょう。
(正解 大陸から大勢の人が移り住んだ)
2.自分の頭で考える
さて、次に大切なことは、「逆転現象」を引き起こすためには、
| 事実が、既習の知識と異なっている教材 |
を用意することが上げられる。そしてその際に、自分の経験をもとに自分の頭で考えれば正解に行き当たるようなものがよい。
向山先生は、「事実のみを根拠とし、自分の頭で考えるという私の信念は、自分の青春とひきかえに手に入れた」と言われる。頭が本当によいということは、通り一遍の知識があるということではなく、事実のみを根拠とし、自分の頭で考えることができることなのである。
例えば、石橋山の戦いで破れ、味方がわずか7人となった貧乏な流浪人の源頼朝がわずか2カ月で20万の兵を集めたことを子ども達に知らせ、
| 源頼朝は、どのようにして兵を集めましたか。 |
と発問する。よく勉強をしている子は、「平氏の悪口をいった」とか、「平氏に不満を持つものを集めた」と答える。少し考える子は、「農民を武士にしたのだろう。」とか「立派な演説をしたのではないか。」と答える。
しかし、全く予備知識がない「やんちゃ坊主」2〜3人は、人を組織した自分たちの経験から、「お金とか人が欲しがる物をやると言ったのではないか」と考える。これは、一昨年に実践した時も今年も同じような傾向だった。
正解は、「最も関東の武士が欲しかった『土地を安堵するという大量の手紙』を書きまくった」であり、少数の勝利となった。
向山先生は、
| 子どもの認識にはある傾向性があり、そのことを理解していると、授業を組み立てやすい。 |
と「教室ツーウェイ」45号で述べている。
「できると思われていた子」は、予備知識をもとに考える傾向があるために間違える。「できないと思われていた子」は、予備知識が無いので自分の実体験から考える傾向があるために正解になる。こうした教材を準備すれば「逆転現象」を引き起こす一方法となるのではないかと私は考えている。
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