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向山洋一先生は、「プロ教師への道」(明治図書)で次のように述べています。
| 私は、「教師が教える」ということを、あまりしないのだ。「子どもが、自分で学んでいく」というシステムを作るのである。 教師の仕事は「学習システムを作る」のが第一で、「教える」のは第二であると思っている。 |
これは、「学習システム」の基本的な原理と言えそうです。
さてそこで、教師がいちいち指示しなくても、子どもが自分で生活する学級のしくみを「クラスのシステム」と呼ぶことにしましょう。
深刻ないじめや登校拒否、やんちゃ坊主の反乱やクラス全員からの反抗など「学級崩壊」を招いているクラスでは、学級経営を成功に導く「クラスのシステム」がうまく稼働していないのではないでしょうか。逆に、学級経営を失敗に導くシステムが稼働しているのかもしれません。
それでは学級経営を成功へ導くには、教師はどのような「クラスのシステム」を作るべきなのでしょうか。
本特集では、学級経営を成功に導くために、新学期に教師が必ず作るべきであると考えられる「クラスのシステム」をご紹介いただきました。
そして、そのシステムにはどのような向山実践の思想を反映しているのか。
また、作った後一年間うまく稼働させるには、どのような指導の原理原則や技術が必要なのかをお示しいただくことにしました。
◆ ◆ ◆
1.子ども同士がチェックする
「クラスのシステム」とは、具体的には何なのだろうか。
私の場合では、係や当番、日直、給食準備・片付け、掃除、班活動、集金、提出物点検、席替えなどのルールがそれである。
向山先生は、「学級を組織する法則」(明治図書)で、
| 「担任がいないでも一週間子供が生活できる状態を思い浮かべるといい。(中略)チェックするしくみも必要となる。」 |
と述べている。
ここで大切なポイントは、子ども同士のチェックがあるということである。これがあれば、教師がいなくてもシステムが作動するわけである。
私のクラスでは、給食当番・掃除当番・係活動を除いた当番は、次のようなものである。
朝の会司会、健康観察、朝ワーク、出欠記入、号令、日誌、日付、窓あけ、レスキュー119、宿題システム、給食台出し、給食号令、袋付け、袋はずし、事務官、黒板消し、配達、ガードマン、体育、電気。
例えば、私のクラスでの子ども同士のチェックは、次のような場面である。
以前は、給食終了の「ごちそうさま」の後、給食当番が食器類を持って行くようにしていた。こうすると、やんちゃ坊主の給食当番が外へ遊びに言ってしまい、空の食缶が残っていた。
そこで、すべて片付けのチェックができてから「ごちそうさま」をするシステムにした。
給食の号令当番が、給食当番への片付けの指示や台片付け当番への声かけをするのである。
12時40分が来たら、給食号令当番は、「給食を片付けてください。」と言う。それまでは、早く食べた子も待つ。この合図で給食を食べた子どもから片付けを始める。
12時45分になったら、「給食当番は、持って行ってください。」と給食号令当番は指示する。この時、万一持って行くべき給食の空容器が残れば、給食号令当番が、持って行くきまりにしている。したがって、給食号令当番は何か残っていれば、「給食当番は、前に出て来てください。何を持って行きましたか。」と確認をする。すると「あっ、僕忘れてた。」と慌てて走る子が出てくるのである。全員が何かを持って行っていたとすれば、物の重さの軽重を、集まったみんなで判断する。
ともあれ、全部片付かなくては昼休みとならないので、座って待つ集団から、「オイ、まだか。」という声が上がる。台をふき、台を片付けてすべて完了となる。
この間、私は何も指示しないが、昼休みに食器などが残りっぱなしになることは、4月から一度もない。
ただし、このチェックのシステムを稼働させる上で、気をつけることがある。
授業開始の局面で次のような情景を見たことはないだろうか。
教師が、教卓の前に立つ。怖い顔で「日直さん。号令!」と言う。間が空いて、日直が「姿勢を正して。これから○○の授業を始めます。」と分かりきったことを言い、その後、「A君。B君。Cさん!」と姿勢が悪い子を注意するのである。注意された子は、「おれは、ちゃんとしてるぞ。」とすごい形相で反撃。そうこうしているうちに、他の集団がおしゃべり。この間5分。
これは、子どもにチェックさせているのではなく、子どもに評価させているのである。
授業開始以前から、これでは教室は大混乱だ。
くれぐれも、子どものチェックと評価は別であることを肝に銘じたい。
2.教師がチェックする
子ども同士のチェックを当番活動の中に入れておけば、教師のチェックは必要ないかといえば、実は、そんなことはない。
教師の評価がなければ、「クラスのシステム」は、日ごとに低迷してゆくのである。
私は、せっかく当番のシステムを作っても、稼働しないは、教師の評価がないことが一つの原因であると考える。
私は、朝の会の後、半月に一度くらい少しの時間をとって評価するようにしている。
この評価は、特A・A・B・C・特Cの5段階できっぱりとするのがポイントである。
一度でも仕事をしていれば、Cや特Cは、付けない。子ども達の仕事ぶりを適正に評価したい。
「事務官は、よく気がついて先生の手伝いをよくしてくれました。このように、人が喜ぶことをどんどんやるのがいいのです。特A。レスキューは、怪我の人をよく保健室に連れていきました。特A。出欠記入は、時々忘れていました。残念。B。」といった具合である。
こうした、教師の評価が入れば、俄然子どもの動きが変化する。
係(会社)活動を活性化するには、社長さんに前へ出てもらい、このごろの活動のようすを報告させればよい。こうした方法は、向山先生から学んだ。
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詳しくは、向山洋一教育実践原理原則シリーズ(明治図書)向山洋一監修 岡田健治・小林幸雄編集 向山洋一教育実践原理原則研究会著をご高覧ください。