向山実践の極意でピンチを乗り越える 岡山県津山市立北小学校 岡田健治 |
新学期も始まり、学級経営や授業は順調なスタートを切ったはずなのに、思いもよらない事件が勃発したりする事もあるものです。
指導が暗礁に乗り上げるケースでは、ゴールデンウイーク明けの頃にその芽があるようです。
例えば、新学期初めに創ったルールやシステムが機能しなくなったり、授業が成立しにくくなったりなどです。また、「いじめ」ややんちゃ坊主の反乱、保護者の苦情や突発的な事件・事故などさまざまな授業や学級経営上のピンチが考えられるでしょう。
ほおっておくと深刻な状況をも招きかねない、こうした「指導のピンチ」に立ち向かい、乗り越えたエピソードをご紹介いただきたく存じます。(ただし、エピソードは、この時期の事に限定する必要はありません。)可能なら、「〜な時は、…する。」といった「極意」を明確に導き出していただければ幸いです。もし、ピンチを乗り越えたヒントが向山実践にあれば、それもご紹介ください。若い読者に分かりやすいように、お書きください。よろしくお願いします。
以下は、私の実践です。
◆ ◆ ◆
学級が崩壊していく一つのターニングポイントがこの5月にあるように私は思う。
4月は、比較的子どもたちも気が張っており、学級の雰囲気も良い場合が多い。当初作ったルールもうまく機能し始める。
ところが、5月のゴールデンウイークを明けたくらいから、ルール破りやいじめなど学級に不協和音が出始めることがある。
向山先生は、「教室ツーウエイ」96年4月号で
| このようなアドバルーンには、最初にピシッと対処しなくてはならない。最初の甘さが後悔のもととなる。 |
と述べているが、学級が崩壊するケースでは、ここがいい加減な場合が多いようだ。
例えば、教室でボール遊びをした場合である。「教室でボール遊びをした人がいるようですが、いけません。今度からやめましょう。」
このような指導は、必ず近いうちにクラスが崩壊すると見た方良い。
最初が肝心だからと言って、子どもにビンタをする先生はいないだろうが、万一、全く何も知らずにこんなことをする若い教師が近くにいたらすぐにやめさせなくてはならない。
では、どうするか。
「いじめの構造を破壊せよ」向山洋一著(明治図書)の冒頭、向山先生が机を隣の子と離した子どもと闘う場面がある。その中で、
| ○○君、立ちなさい。 |
という指示がある。この指示こそ絶対に忘れてはならない大切な武器である。つまり、だれが良くてだれが悪いか明確にするのである。そして、集団と切り離すのである。
指導が甘い教師は、強い口調で言っているのだが、これが無いのである。
全員座らせたままで、「教室でボール遊びをしてはいけません!」と言っても、「俺やってねーよ。なあ。教師のくせに俺たちを疑ってるぞ。」と反対にやり込められるのが落ちである。
まず、事実をつかむ。集団と切り離す。そして、闘う。
これこそ、向山実践の極意である。
私は、教室でボール遊びをした子どもたちに次のように向山式で指導している。
| お昼休みに、教室でボール遊びをした人は、起 立します。(1人起つ。)他にいませんか。後 でばれると大変です。(皆起つ)今立った人、 前へ来なさい。先生は、君たちを信頼していた のに、こんなわがまま勝手な行動をとるとは極 めて残念です。 教室でボール遊びをするのなら、室内の将棋や トランプやけん玉や一切を禁止します。(「エ ー」と集団の声)この人達は、良くない行動を したと思う人は、挙手します。(全員が挙手) みんなにもうしないと約束するのなら、先生は 許しますが、どうしますか。(「ごめんなさい 」 とやんちゃ坊主たち)着席します。 |
最初のアドバルーンを見逃さず、後は楽しい授業や企画を仕掛ければピンチは乗り切れるのだ。
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詳しくは、向山洋一教育実践原理原則シリーズ(明治図書)向山洋一監修 岡田健治・小林幸雄編集 向山洋一教育実践原理原則研究会著をご高覧ください。