通勤怪速への道(その6)

-カブ病改造症候群-


前回の失敗に懲りず、またまたC70(C90)カムを買ってきました。
掲示板の方で、『原因は、「慣らし運転の不足とオイル管理の不備」なんかではなく、 ロッカーアームがC50用のままだったことです。』と教えていただいたので、ロッカーアームも合わせて調達しました。
失敗に懲りてC70カム以外のハイカムを選ぼうかと迷っていた所ですが、これに励まされて再びチャレンジです。

ロッカーアーム。左がC50、右がC90用ロッカーアームも削れていました。無残。

同じ方から、C90用のスプリングは両方とも使うと硬すぎるので、C50の純正スプリングをアウターに使って、インナースプリングの追加だけでよいと教わりました。
確かめてみると、なるほどC90のアウタースプリングはC50のノーマルスプリングより2mmほど長くなっており、この2mmを圧縮するのにだいぶ余分に力が必要なことがわかりました。単に逆巻きなだけじゃないんですね。
バルブスプリングが強すぎたことと、ロッカーアームの幅が狭かったことで、カム面にかかる圧力が強くなりすぎ、高回転時に油膜切れを起こしていたということでしょう。

カムシャフトも、ロッカーアームも、バルブスプリングも、別のバイクの部品でありながら取り替えるとピタリと付きます。これがカブいじりの楽しさの1つではないかと思います。もっと高性能を謳う社外品を使わないのは私の趣味によります。

前回に懲りて、組み込んでからいきなり限界を試すことはせず、簡易な慣らし運転から始めました。
まずは10分間のアイドリング。そして初日は5000回転シバリで走行。
メーター読み32キロまでしか出せません。他の交通のないところでノンビリと走行します。
驚いたことに(当然か?)、ポート拡大前には5000回転シバリでは耐えられないぐらいトルクが細かったのが、我慢してトコトコ走れる程度までトルクが太くなっています。

翌日は6000回転シバリで通勤。40キロまで使えれば行動範囲は広がりますが、幹線道路は走れません。
さらに翌日は7000回転シバリで通勤。このへんまで来るとノーマルのカブに比べてもそう見劣りのしない使い勝手と思われますが、車の流れを邪魔しないで走るのは困難です。

そしていよいよ8000回転以上を回してみました。
ポート拡大以前の、硬いスプリングで走っていた頃は、7000回転以上回さないとパワーバンドに入らなかったので、パワーバンドをキープする走り方に気を使っていました。
今度は5000回転ぐらいから(あくまでも50ccなりに)実用的なパワーが得られるので、パワーバンドに入ったぞというグッとくる加速感はありません。
10000回転まで回しても異常な金属音などしないし、それ以上の回転域(とりあえず10500回転は試しました)でもカムは持ちこたえているようです。

シフトアップするとパワーバンドを外すという欠点がなくなって、しかも静かでマイルドな特性のエンジンになりました。
ピーキーで乗り手を選ぶマシンを操るうれしさが失われてしまったことは残念ですが、これは欠点とはいえないでしょう。
また、ピークのパワーはポート拡大前のハイカムのみの頃とそう変わっていない感じがします。あくまでも体感的なものですが。

ポート拡大をしてから気になり始めたのは、低回転のときにスロットルを開けてもパワーが立ち上がらなかったり、急にスロットルを開けた時にエンジンが失速してしまう傾向がいくぶん強まったことです。
今までポートやマニホルドが14φだった頃は、混合気の流速が高かったために何とかなっていた部分(慣性吸気)が失われてしまったということでしょう。
PBキャブはシンプルな構造なのでもともとそういう傾向はあるものだと思っています。そしてエンジンの回転を見てキャブレターと対話しながらスロットルを開けていくというのも操る楽しみの一つなのだろうと思います。

さて、ポート拡大の効果がほぼわかったところで、次の一手を打ってみましょう。
話は7月の四国ツーリングに遡ります。
参加者それぞれの自慢のカブが7台揃った中で、私のカブが一番走りの性能的にはミソッカスだったらしいことは、私としても非常に不本意でした。

特にカブ部幹事長のマシンは完全にノーマルと聞いていたので、内心最大のライバルと思っていたのですが、チョットハイカム・チョット大径キャブの私のマシンが数々の走りの場面で圧倒されたので「絶対そんなハズはないやろ!」と思いながら、文字通り後塵を拝していました。
例えば国道2号線バイパスで、私のマシンが3速11000回転以上回ってこれ以上は絶対ムリなところを同じ3速でスイスイ先に行ってしまったり、寒風山林道に上る道や京柱峠で、私が1速21キロしか出せない所を23キロぐらいで行ってしまうなど、その差はわずかなのですが、私がカム山が削れるほど回しているところで、いつも微妙に余裕があるのです。

そして、四国ツーリングから帰って何日か経ってからその秘密を伺うことができました。
フロントスプロケット14Tと15T

「フロントのスプロケを1丁上げてあるけど、あとはノーマルじゃ。下り坂限定のチューニングじゃ。」
それで私の疑問が氷解しました。

元々13Tのスプロケットが14Tになれば、トルクが13/14になる代わりにエンジン回転数は13/14で済むわけです。しかもFスプロケットなんてパーツ代にしたら1000円そこそこです。
四国ツーリング当時の私のマシンでは、中低速のトルクが不足してFスプロケの歯数を上げることはできなかったのですが、ここにきてようやく試すことができそうです。

いざスプロケットを止めているボルトを外そうとすると、エンジン内のシャフトが回転してしまい、うまく回せません。
間抜けな状況に悪戦苦闘していましたが、やっと思いついた解決法は、一度外したチェーンを再び掛けて、バイクに前後逆にまたがり、左足でリアブレーキのペダルを踏みながら右手でレンチを使うという体位でした。チェーンに負担がかかるでしょうが致し方ありません。どうするのが正しいのでしょうか?

さて、早速試走です。いきなり通勤経路にある壁(その3参照)にチャレンジしてみました。 予想通り、時速50キロまでが2速の守備範囲に入っています。加速しながら登り切ることはできないまでも、オッチャンの軽トラに迷惑顔でパスされることはなさそうです。
下り坂でも回転数に余裕ができたのでオーバーレブを心配する必要がなくなりました。
Fスプロケ交換で確かにパワーは落ちて、3速でごく軽い上り坂を巡航するような時には以前と比べて馬力不足を感じることもあります。
発進直後から1速4000回転に達するまでの1秒あまりはかったるい加速しかしませんので、車に混じって発進停止を繰り返す場面では気を使います。この点ではノーマルのカブに劣るはずです。

さて、私の一風変わった改造を支えている資料はサービスマニュアル、C50と、C70,90のパーツリスト、そして'82,83年のC50パーツリストです。
サービスマニュアルで各年式の性能をつかみ、その差の元になる仕様の違いを推理します。それからC50のパーツとC90のパーツを見比べ、周辺パーツが共通だったらポン付けできるのではないかと判断します。
カムシャフト、バルブスプリング、インテークマニホルド、ロッカーアーム、いずれもそうして吟味を重ねて調達してきました。
カブって、どのパーツをどのモデルに付けてもとりあえず付くという、メーカーのコダワリがあってのひそかな楽しみです。

今日もまた、あてどなくパーツリストを見比べていて、妙なことに気が付きました。
C50とC90で、ジェネレーターのステータ(コイルが多数集まっているパーツ、点火タイミングのパルサーコイルも含む)の部品番号は共通しています。
しかもパルサーコイルの位置を決めている土台「ベース、ステータ」も共通部品です。
そんなこととは思いもよりませんでした。

C50は点火時期が27°で固定進角です。これに対してC90は2000rpmあたりまで15°進角でその後3150rpmまでで13°自動進角します。(15+13で28°まで進角する)
点火タイミングの違いや自動進角の実現はステータやベースの違いによって実現しているのかと思っていましたが、実際にはCDIユニットとフライホイールの違いによって自動進角を実現しているようです。
さらに調べると、CDIのピン配置は3速のC50とC90で共通のようです。
ではでは、CDIを単に交換するだけでC50は自動進角するのでしょうか?

4速のC50は自動進角のCDIが付いていますが、これは5.5馬力あったC50C−スーパーデラックスEDからの系譜です。
以前にも書いたように、私の推理では4速と自動進角はハイパワー化の代償としての低回転時のトルクの痩せをカバーするための技術だったのではないかと思います。実際には低回転域での自動遅角により、発進時のダッシュとアイドリング燃費を向上させるためのわりと消極的な意味合いのパーツなのではないかと思うのです。
低回転のもたつきを軽減するためのパーツが、純正パーツでポン付けできる。
そう考えたらぜひぜひ試してみたくなりました。

ただし、但しですよ、自動遅角の効果があるのはゼロ発進直後のコンマ何秒かの間だけです。3150rpm以上でエンジンが回っているときには一切恩恵はありません。走行時間の99.9%はその恩恵を受けることがないパーツに6930円(現在のパーツ単価)を支払うことは、決してペイすることのない愚かな投資であると肝に銘じてください。
それでもやってみるのは、カブ病改造症候群に毒されているせいでしょう。人柱志望です。

結局買ってしまった、右がC90のCDI。ひと回り大きい。

本当はCDIだけでなくフライホイール(点火タイミングを示す磁石がへばり付いている)も交換しなければ設計どおりの進角をしないのですが、これには裏技があって、一旦フライホイールを取り外し、クランクシャフトにくっついているウッドラフキーという位置決め部品を取り外してやれば、クランク軸とフライホイールの位置関係を自由に調整できるようになるのです。 この作業にはユニバーサルホルダーとフライホイールプーラーという工具が必要になります。


まず、フライホイールにマジックで進角角度を表す目盛りを書きます。Tマークが0°、Fマークが27°で、測ってみると28mm離れていました。これを9等分した目盛りを書くと1目盛りが3°になります。書いているうちにどっかで1mmがうやむやになるよう、けっこういい加減に書いてあります。
それから、ユニバーサルホルダーでフライホイールを固定し、真ん中のナットを外すのですが、ユニバーサルホルダーが案外ユニバーサルに使えないので、どう使ったらいいのかわかるまでここで何時間も時間を費やしました。

フライホイールプーラー

フライホイールプーラーは逆ネジになっている大きいネジを先にフライホイールにねじこんでおいて、十字レンチみたいになっている細い方のネジを締めこんでいくとフライホイールがポコンと取れます。
音がして…取れると思ったのですが、かなり磁力が働いていて、引っぱると逆らって引き戻されたりします。
このときにあわてず、Tマークと上の切り欠きを合わせておきます。
上死点には圧縮の上死点と排気の上死点があり、1回転おきに上死点近辺の抵抗が違います。上死点付近でクランクがクルクル回らず安定しているのは排気上死点のようですから、こちらに合わせてからフライホイールを抜き取ります。

ウッドラフキー

それから、写真中央のウッドラフキーを取り外します。このウッドラフキーがフライホイールとクランクシャフトの位置関係を保つ部品ですから、これを取り外すと点火時期を自由に設定することができます。
ものの本には「はめ込んでいるだけですから簡単に外せます」とか書いてありますが、相手はエンジンの中枢部であるクランクシャフトです。激しく叩いたりしたらベアリングや周辺部品を傷めたりするかもしれないのでおそるおそる小さなドライバーをあててコンコン叩いて外しましたが、力の加減がわかるまでに相当な時間を費やしました。

さて、ウッドラフキーを取り外したら、クランクシャフトがちゃんと上死点で止まっていることを再度確認します。
上の写真では小さく点を打ってあります。が、この場所ではフライホイールをはめ込んだら見えなくなってしまうのでネジを切っているそのまた先にごく小さく打っておく方がいいでしょう。

そしてフライホイールを9°遅角方向にずらして再び取り付けます。 9°遅角の根拠は、C90のCDIが13°自動進角するため、アイドリング時に(27−9=)18°進角、自動進角終了時に(27−9+13=)31°進角となり、アイドリング安定と高回転での伸びが両方期待できると計算したからです。 (結局、この判断は誤りでした)

試走してみると、あんまりフィーリングは変わりません。ちょっとエンジンの音が太くなったぐらいですか。…あれ?9500回転までしか回らない?
何か考察に間違いがあったようなので、タイミングライトを借りて翌週仕切りなおしをすることになりました。

タイミングライト(借用品)

さて、タイミングライトを借りてきました。
ノーマルの点火タイミングを測ると、どんぴしゃ27°です。
C90CDIに交換してタイミングを測ると、アイドリング時15°進角、回転数を上げるとこれがグイッと動いて22°進角ぐらいになります。

ちなみにこの状態(C90CDIポン付け)で走ると、(私の現状のカム、ヘッドでは)3000回転あたりからトルクがあって、2速を多用する街乗りだったらこれも結構楽しいかなと思われます。しかし7000回転ぐらい回してもその上の盛り上がりが遅く、9000回転ぐらいから頭打ちになり10000回転超は厳しい感じです。

またもやフライホイールを外して、6°遅角にずらして取り付けます。
これでアイドリング時21°、自動進角時28°ぐらいになったぞ。と。(またしても、この判断は誤りでした)

早速、タイミングライトで測ってみます。すると、なんと進角前15°、進角後22°の点火タイミングが全く変わっていません。 それならと、もう少しフライホイールをずらして取り付け直すと、…やはりタイミングは変わりません。???
中国は戦国時代、ある男が非常に大切にしていた剣を舟から川に落としてしまった。彼は急いで舟縁に印を刻みつけ「ここが剣を落としたところだ」と言った。舟が岸に着いてから男は印の下の水中を一生懸命探したが、剣は見つからなかった。 −刻舟求剣−
ええと、フライホイールにくっついている磁石が点火タイミングを決めているので、フライホイール自身に目盛りを書いていてもクランク軸に対する進角時期はわからないわけですね。

さて、改めて進角時期を調整して試走です。

あれぇ。パワーない。回らない。
元気なのは1速3000回転〜5000回転あたりで、めちゃくちゃ鋭く吹け上ります。しかし7000回転あたりからのパワーバンドが感じられず、その先も加速フィーリングが良くありません。
結局、この日もフライホイールを元々のタイミングに付け直して、翌週の仕切りなおしとなりました。

その夜、寝る頃になって、「あ、6°遅角じゃなくて6°進角にずらさないと思ったとおりの進角にならないんだ。」と気がつきましたがあとのまつりでした。エンジンをバラしてから考えるのではなく、はじめによく考え抜いてから作業しましょう。遅角の方にはあまり危険はありませんが、進角し過ぎは間違えるとエンジンを壊します。

さて、3週ごしとなる点火タイミング調整ですが、進角について私の知識の範囲内でおさらいしておきましょう。
エンジンに点火するのは混合気の圧縮がほぼ終了した圧縮上死点のタイミングで行われますが、本当に圧縮上死点で点火すると、燃焼室内に炎が燃え広がるのに時間がかかるため、最適の効率が得られません。
そのため、圧縮上死点の直前で点火して、ピストンが圧縮上死点に達した瞬間に爆発圧力の前端がピストンを打つようにタイミングを決めれば最高の効率が得られます。
遅く点火しすぎたら未燃焼の混合気を上死点を過ぎたピストンが引っぱる形となり力が出ませんし、早く点火しすぎたら爆発して燃えている炎の塊をさらに圧縮する区間というのが生じて効率も落ちるし温度が上りすぎてエンジンを傷めることにつながります。
そういうことを考え合わせたら、カブの27°という進角は案外早いタイミングで設定してあるけれどもなかなか絶妙なタイミングであるように思います。

さて、点火タイミングの理屈が以上のようなことであるならば、回転数ごとに最適な点火タイミングがあり、低回転では遅めに、高回転では早めに点火すると常に最高の効率で点火できるということになります。(あと、4輪車では吸気負圧なども加味してあります)
これを実現するのが自動進角で、C90カブの場合、かなり原始的な方法をとっています。
これは私の推測によるたぶんですが、ピックアップコイルがフライホイールに固定してある磁石の通過により発生するパルスを拾ってCDIが点火タイミングを決めることになっている、そのCDIの感度を上げてやると、回転数が上った時に磁気の変化が大きくなり、磁石の通過前に磁石が「近づく」パルスを拾うようになります。
その結果、回転数が低い時には磁石が目前を通過するタイミング、回転数が高いときには磁石が近づいたタイミングでCDIは点火パルスを出します。
この方法は単純で故障がありませんが、調整の幅がなく、中回転と高回転でさらに点火タイミングを変えるということはできません。自動進角が終わる3150回転というのは遠心クラッチがつながる回転数とほぼ違いがありませんから、実用上はアイドリングを安定させるためだけの自動遅角と考えた方がいいでしょう。
パワーを出すための進角のことを真剣に考えるなら、デジタル式のもっと高度なCDIをチョイスすべきでしょう。

翌週、フライホイールに進角用の目盛りを書き加え、純正状態より9°進角の位置にフライホイールを固定しました。
さて、これで高回転時31°の進角になりました。控えめの進角ですがパワーアップにつながったでしょうか。

中回転域ではC90CDIポン付け状態よりトルクが細くなります。ポート拡大の恩恵がありますから。極端にフィーリングが悪化したわけではなく、ノーマルレベルに戻った感じです。
高回転はスムーズに10000回転超まで回りますから、進角の効果は確かにあります。たぶん8000回転の少し上ぐらいに最適な進角なのだろうと思います。
通勤に使ってみましたが、通勤経路の壁を車の流れに乗りながら上りきるのに何とか間に合うパワーを絞り出すことができるようになったようです。
初日は音ばかり大きなエイプ50、次は完全に油断しているスカイラインGTR、そして荷物の重そうな運送会社のトラック…、微妙な相手ばかりですが、その微妙な差の勝負に負けなくなりました。
 進角前進角終了低回転中回転高回転
ノーマル27°27°発進後1秒ほどもたつく5000回転あたりから実用的で、7000回転あたりからもう1段加速できる10000回転あたりまで実用的でその上も少し回る
CDIポン付け状態14°22°1速3000〜5000回転あたりが鋭く吹け上がる5000〜7000回転あたりがトルクフル9000回転あたりで加速が鈍り、10000回転超は厳しい
CDI変更&9°進角23°31°発進のもたつきは気のせいか少ない7000回転あたりからトルクが盛り上がる9000回転超も衰えず10000回転オーバーも可(使う場面なし)

上の表で見ても、C90CDIの恩恵は値段ほどではなく、数値的にはノーマルとほとんど差はないようです。
ただ、点火時期をいじることで最適化する回転数を自分で決められるというのは意外と効果的で、楽しい体験です。
私の場合は成り行き上点火時期を進めることになりましたが、点火時期を遅らせたカブも実用域でトルクフルになって結構楽しいと思います。

気がつくと「2ちゃんねる」のカブ50スレにこのページが紹介されていました。
この記事を読んで、「ハイカムを付けてもFスプロケ1丁上げにかなわないのか」と理解された方もあるようです。
このことについての誤解を解いておく必要はあるでしょう。

この記事の翌年も、サイドワインダー号(Fスプロケ13T設定)はカブ部ツーリングで幹事長のC50−Hと2日間を共にしました。 そして登りでは勝ちましたが、緩やかな下り坂ではまたもや後塵を拝する結果になりました。
ハイカム+16Φキャブ+ポート拡大でも、Fスプロケ14Tにはかなわないのでしょうか?

これは車のポテンシャルの問題ではなく、乗り手の問題です。
車の性能そのものは燃費以外のあらゆる点で先輩のC50−Hを凌駕していると思われます。
しかし先輩のカブには付いてなくて、私のカブには付いている余計なものがあるために最高速の巡航ではどうしても勝負に勝つことが出来ません。

それは…タコメーターです。
通常のカブなら3速おわkm/hの時にエンジン回転は8800rpmです。
すると11000rpmの時にはやえkm/hが出ているということです。
この時先輩のカブは10200rpmあたりで回っているということです。
(こんなこと書くと法定速度を守れというツッコミがありそうですが、あくまでも電卓片手の思考実験ということでご承知ください。)
サイドワインダー号は、夏場なら11000rpm以上の回転数で回すことはできます。しかし、タコメーターを見ているがゆえにそれが出来ないのです。

高回転を常用していると、シリンダヘッド周りがまずイカれて、やがてクランクシャフトにダメージが来るといいます。
シリンダヘッドならいくつか持っているので平気ですが、クランクシャフトがイカれた場合、自分の技術力では対応できないので、高回転の常用は避けるようにしているのです。
本当のレッドゾーンがどこからかは判然としないのですが、10000rpm以上で巡航しない、11000rpm以上は決して回さないと心に決めています。
大切に使えば一生モノのスーパーカブ、いたわって使ってやりましょう。

(10.03.19追記)
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