向山洋一教育実践原理原則研究論文/6学年 社会 /戦国時代/
          

  「向山式歴史の授業」から何を学ぶかB
  今の時代の特徴をひとことで言う

  岡山県津山市立北小学校    岡田健治


 前回では、向山式歴史授業で「前の時代の特徴をノートに書きなさい。」と指示し、検討したところであった。
 次に向山先生は、「この時代の特徴をひとことで言いなさい。」と指示している。そこで私も次のように発問した。

発問3 戦国時代の特徴をノートに書きなさい。
指示2 ノートに書けたら、先生の所に持ってきなさい。

子ども達から出た意見は、次の9通りだった。
・戦い方が、鉄砲の伝来により大きく変化した。
・大名の力が強くなり、各地で争いが続く。
・秀吉が、全国を統一する。
・ザビエルがキリスト教を伝えた。
・応仁の乱が起きる。
・信長が、安土城を築いた。
・いろいろな大名が、全国統一をめざした。
・信長や秀吉が、天下統一をめざした時代。
・天下を統一しようとする戦国大名が出てくる。
 初めて戦国時代の単元に入って、この発問で授業が成立するだろうか。
答えは、「否」である。全く戦国時代を知らず、どうしてその時代の特徴が書けようか。書けるわけがないのである。子どもの内部情報が不足している状態では、到底答えられない発問である。
 ところが、私のクラスでは、先に示すようにたくさんの意見が出た。それは、次のような理由による。
 私は、教科書の教材配列にそって一通り授業を済ましてからこの実践を行ったのだ。つまり、本実践は「江戸時代の授業」終了後に組んだのである。
 この件に関して、私は向山先生に「全く新しい時代に入った導入の時に『この時代の特徴をひとことで言いなさい』と指示するのでしょうか。全く内部情報がなければ、難しいように思います。私は、教科書の流れで授業した後で、この実践を追試しました。」とお尋ねしてみた。
向山先生の答えは、次のようなものだった。
 

私は、教科書を読ませます。全部先まで読んで行きなさいと。自分で読
 んで、まとめるわけですよ。教科書に書いてありますから。
  でも、半知半解でよく分かんないわけですよ。わかったつもりになって
 も、よく分かんない。じゃあ、本当に一人一人取り上げてやってみよう。
 そこで初めて、いろんな事が地に着いた授業になってくるわけですから。

 やはり、「向山式歴史授業」は、子どもに内部情報を蓄積させた上で組み立てるべきものだったのである。これは、大切なポイントである。
 さて、ノートを持って来させて、異なる意見を板書させる。板書が完成したら、やはり検討する。向山洋一実践記録集によると向山先生の解は、「下克上」であった。私のクラスでは、「下克上」は出なかった。なぜなら、教科書にこの用語が無かったからである。
 さて、たくさん意見がでたが、どの意見を正解とするか。ここが、教師の腕の見せ所である。
 向山先生は、次のように述べられた。

時代の特徴ですから、解は出すべきです。いろんなことが出たら、第一
 候補がこれで、まあ5点の解だとか。4点、これは、まちがいとは言えな
 いとか。温度差をつけるのはあり得ますが、解は出すべきです。

 私は、「・いろいろな大名が、全国統一をめざした。・天下を統一しようとする戦国大名が出てくる。」を正解とした。
ところで余談であるが、「・戦い方が、鉄砲の伝来により大きく変化した。」は、時代の特徴とはいえないが、面白い。城の形状も、鎌倉時代あるいは戦国時代でも鉄砲伝来以前とはずいぶん変化しているのである。大きな石垣を築いて、天守閣を建てるようになっている。これは、鉄砲の弾を防ぐために、織田信長が考案したとされている。現在、城の形として一般的なあの形は、安土城が、初めての物なのである。
次回は、いよいよ人物の選択である。


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