まず、「人物資料集」づくりのポイントについて述べる。私は、子ども達に「きみたちも、人物資料集を作って発刊
しましょう。」と投げかけ、5ミリ方眼のB4版ファックス用紙を配布した。
そして、図書室へ連れて行き、自分が 選択した人物についての本を探させた。
本は、教室へ持ち出させた。教室だと他の本がないので、目移りせず集中できるのである。机は、班ごとの6人ず
つけさせて版下を作成させた。
できた版下は、36人でB5版72ページ。全員分印刷して、紙取りをした。
各班ごとに人物を一人に限定していないので、いろいろな人物が入る。例えば、1班なら織田信長と豊臣秀吉というふうにである。
ところで、前号では、「みんなが選んだ人物は、戦国時代をどのように生きようとしましたか。」と発問し、各自ノートに書かせた所であった。
そこで、私は次のように指示した。
| 指示6 これから、1人5枚ずつカードを配ります。このカードにみんな がノートに書いた証明するできごと、エピソードを書きます。 1枚のカードに1つのエピソードを書くのです。エピソードを調査 する時に、この前作った「人物資料集」を活用しましょう。もちろん、 他の班が作った人物資料集も活用しましょう。 |
子ども達は、すぐに調査を開始した。調査の作業が終了したところで、私は次の指示をした。
| 指示7 1人5枚書けたら班毎に集めて、似たようなエピソードごとに 固まりにして分類します。 班で、よく話し合って「最も象徴的な出来事」を人物1人1つ 決めてノートに記録しましょう。 1班で2人とか3人の人物がいたら、どの人物についてもやり なさい。 |
子ども達は、カードを分類し始めた。すると、「先生、たくさんのカードがあるエピソードが最も象徴的な出来事ですか。」という質問があったので、私は、「集まったカードの数は、飽くまで一つの資料です。少なくても、よく話し合ってみると最も象徴的な出来事と言えるかもしれないのです。」と答えた。
子ども達は、討論を続けた。各班6人で「指名なし・起立なし討論」となった。司会役などは決めなかったが、カードという具体物を分類しながらの、しかも小人数の班での討論は、やりやすいらしく、日頃おとなしい女の子もよく発言していた。さすがに、向山式歴史授業である。学習形態が変化のあるくり返しとなっているのだ。
各班で「最も象徴的なエピソード」が、決まったら黒板に出て板書させた。黒板には表の罫線を私が書き、縦軸を人物とし、横軸を班とした。
各班の代表の子が、表に記入をする。どの班も3人の人物を選択するわけではないので、空欄となる部分も出る。今度は、机を話し合いの形に移動させて、指示した。
| 指示8 黒板の表をよく見てごらん。他の班と違いがありますね。おか しいと考えるものについて、意見を自由に発表しましょう。 |
子ども達からは、豊臣秀吉の「朝鮮出兵」は、最も象徴的とはいえないという意見が出た。家康については、調べた子が少なかったせいか、あまり意見がでなかった。以上のようにして、私は、仮説の証明の部分を追試した。
ところで、「K.J法とは、どのようにするのですか。」という私の質問に対して、向山先生は、「K.J法というのは、野外観察をして、まとめていく、いわば論理化していくことの、極めて分かりやすい方法ですので、川喜田二郎の原典に当たりなさい。」と言われた。目下、私は、中公新書の「野外科学の方法」を紐解いて、本年度の実践に備えている所である。
次回は、「向山式歴史授業」全単元の授業の様子を写真でご紹介する。